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強制措置出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/JC McIlwaine

国連憲章第7章の規定のもとに、安全保障理事会は国際の平和と安全を維持または回復するために強制措置をとることができる。強制措置は経済制裁から国際的な軍事行動にまで多岐にわたる。

制裁

安全保障理事会は、平和が脅かされ、外交努力が失敗に終わったときには強制的な措置として義務的な制裁に訴えてきた。近年制裁の対象となったのはアフガニスタン、朝鮮民主主義人民共和国、エリトリア、エチオピア、ハイチ、イラン、イラク、リベリア、リビア、ルワンダ、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、アンゴラの「アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)」、旧ユーゴスラビアである。制裁には包括的な経済制裁や禁輸措置が含まれ、より具体的には武器禁輸、渡航禁止、金融規制、外交関係の断絶などがある。

制裁の利用は武力の使用に訴えることなく、国家もしくは主体に圧力をかけることによって、安全保障理事会が求める要求を受諾させることである。従って、制裁は、理事会の決定を実施させる重要な道具を理事会に提供するものである。その普遍的な性格からみて、制裁を決め、監視するには国連がとくにふさわしい機関であると言える。同時に、多くの国や人道機関は、高齢者、障害者、難民、子供を持つ母親など、社会の最大の弱者に制裁が不本意に与える悪影響について懸念を表明してきた。また、制裁が、被制裁国との貿易や経済関係を中断しなければならない第3国の経済に及ぼす経済的、社会的、政治的な負の影響についても懸念がある。

制裁の方法と実施を改善する必要があることは、これまでにも増して認識されるようになった。安全保障理事会の決議の中に人道的例外事項を入れるとか、また制裁の対象をより明確にすることなどによって、制裁の負の影響を緩和することができる。いわゆる「スマートな制裁」が支持を得てきているが、これは国民一般ではなく、権力の座にある人々に圧力を加えることによって人道援助の費用を削減しようとするものである。たとえば、「スマートな制裁」の例としては、エリート階級の人々や最初に制裁の対象となる行動をとった主体の金融資産の凍結や金融取引を禁ずることなどがある。

軍事行動の承認

平和創造の努力が失敗に終わった場合、国連憲章第7章の規定に基づいて、加盟国によるより強力な行動が承認されることがある。安全保障理事会は、これまでにも加盟国が紛争に対処できるように軍事行動も含めた「すべての必要な措置」をとる権限を加盟国の連合に与えてきた。たとえば、イラク侵攻後のクウェートの主権を回復するためにこの権限が加盟国に与えられた(1991年)。そのほかにもソマリアで人道的な救援活動を行うために必要な安全な環境を作りだし(1992年)、ルワンダにおいては危険に曝されている一般市民を保護し(1994年)、ハイチで民主的に選ばれた政府を回復し(1994年)、アルバニアでは人道的活動を保護し(1997年)、東ティモールでは平和と安全を回復するために(1999年および2006年)、またリビアでは一般市民を保護するために(2011年)、この権限が与えられた。こうした行動を承認するのは安全保障理事会であるが、実際の行動はすべて参加国の管理のもとにおかれる。したがって、安全保障理事会が設立し、事務総長の指揮のもとにおかれる平和維持活動とは異なる。