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国連の平和維持活動(PKO)で活躍する女性たち
- 戦争で傷ついた女性たちに寄り添って

5月29日は「国連平和維持要員の国際デー」で、毎年ニューヨークの国連本部で記念のセレモニーが開かれます。国連事務総長が、殉職したピースキーパーらを悼む花輪を捧げ、前年の殉職者の栄誉をたたえるメダルの贈呈式が執り行われます。2012年には111人、2013人には103人のピースキーパーが命を落とし、国連のPKOが始まった1948年以来65年間で、累計で3100人以上が任務中に亡くなっています。この日の目的は、国連平和維持要員として従事し命を落とした人々を追悼するとともに、要員らのたゆまない努力への感謝と敬意を表すことにあります。

2013年末現在で、15のPKOミッションが展開し、軍・警察の制服組がおよそ9万8000人、文民がおよそ1万8000人、合計11万7000人が不安定な治安情勢の中、厳しい任務にあたっています。人員数・予算規模ともに、国連の通常予算と国連事務局をはるかにしのぐものに拡大しています。

では、平和維持活動にあたるピースキーパーに、女性はどれぐらいいるのでしょうか?軍・警察の制服組では、1993年に1パーセントにすぎなかった女性の割合は、その後少しずつ伸びてはいるものの、2012年でまだ軍3パーセント、警察10パーセントに過ぎません。文民担当官についても、国際スタッフでおよそ3割、そして現地スタッフでおよそ2割と、国連本部でスタッフ全体の5割が女性であるのと比べて、大きく下回っています。しかしながら、南スーダン、リベリア、コートジボワール、キプロス、そしてハイチの5つのPKOで、女性がトップを務めるようになっています(2014年3月現在)。そして、2014年5月、ノルウェーのクリスティン・ルンド少将が、女性初のPKO司令官に就任しました。国内外で34年の豊富な経験を持つルンド少将は、キプロスの平和維持活動を指揮します。

21世紀型のPKOは、従来の停戦監視などの役割から、国内紛争に対応する多機能型のものへと大きく進化しています。そこでは、和解を推進する政治プロセス、市民の保護、兵士の武装解除と社会復帰、選挙の実施、人権の推進、治安部門の改革、法の支配の整備など、きめ細かな配慮を要する分野での活動の比重が大きくなります。このような責務を担うには、女性のピースキーパーの存在が一層必要になります。紛争が起こると、常日頃から弱い立場に置かれた人たちに一番のしわ寄せが行ってしまいがちで、男性と女性とで紛争の経験は異なるからです。女性と女児は特に性暴力のリスクにさらされやすく、女性の参画はなかなか進みません。こうした女性特有の課題に心配りしながら平和維持活動をするには、女性のピースキーパーが不可欠なのです。

国連広報センターでは、PKOの現場で人々に寄り添いながら活躍する女性たちに焦点をあてて取り上げます。