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気候変動に具体的な対策を出典「国連の基礎知識」

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気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。気候変動は今やすべての大陸のすべての国に影響を及ぼす。人々はその重要な影響を経験している。変わる気象のパターン、海水位の上昇、より厳しい気象の出来事、などである。人間活動による温室効果ガスの排出は今や史上最高のレベルにある。2016年4月、175の加盟国は歴史的なパリ協定に署名した。それは地球の温度を摂氏2度以上上昇させないようにする野心的な気候変動対策の舞台を設定している。新しい協定は気候変動のペースを緩め、持続可能な低炭素未来に必要な行動と投資を強化することを目的としている。

気候変動はしばしば災害を悪化させた。1990年から2013年にかけて、160万の人々が国際的に報道された災害で死亡し、年間の死亡傾向は上昇した。その結果、より多くの国が、必須義務として、国及び地方の災害リスク軽減戦略を実施している。2015年、83カ国が災害危機管理のために立法もしくは規則を有していた。SDG 13は、気候変動とその影響と闘うばかりでなく、気候に関連した災害や自然災害に対応するレジリエンスを構築するための緊急な行動を求めている。

2015年3月、第3回国連防災世界会議が仙台市で開かれ、国連加盟国は「仙台防災枠組み2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015‒2030)」(www.unisdr.org/we/cordinate/sendai-framework)を採択した。2015年12月、加盟国はパリで開かれた国連気候変動会議(COP21)で「パリ協定」(https://unfccc.int/process-and-meetings/the-paris-agreement/the-paris-agreement)を採択した。協定の中で、すべての国は、世界の温度の上昇を摂氏2度以下に抑え、かつできれば摂氏1.5度以下に抑えるよう努力することに合意した。

気象と気候

気象の予測から気候変動の調査研究、自然災害の早期警報まで、世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)(https://public.wmo.int/en)は、地球の大気の状態と動き、その海洋との相互作用、それが作り出す気候、その結果である水資源の分布などに関して正確な情報を適時提供するグローバルな科学的な活動を調整する。WMOは、気象観測、水文観測、その他の観測を行う観測網を確立し、運営するための国際協力を進め、かつそれを容易にする。気象情報の迅速な交換、気象観測の標準化、観測結果や統計の統一発表を進める。また、航空、海運、農業、その他気象に左右される経済社会活動に気象学を応用させる活動も推進し、水利資源の開発を促進する。さらに研究や研修を奨励する。

WMO活動の根幹をなすのが「世界気象計画(World Weather Watch)」である。世界気象計画は、加盟国や地域が運営する観測システムと電気通信網を通して、分単位で最新の世界の気象情報を提供する。これらのシステムは人工衛星、航空機、地上観測所、船舶観測所、そして自動観測装置を持った停泊ブイや漂流ブイを利用する。得られたデータや分析、予報は毎日、自由かつ制限を受けることなく、WMOセンターと各国の気象台との間で交換されている。その結果、コンピューターの発達もあって、20年前には信頼できる予報は2日先までであったが、今日では5日先まででも可能である。

WMOのプログラムは、各国が気象学を応用して生命と財産を守り、経済社会開発を進めることができるように支援する。公共の気象サービスを改善し、海上、航空の旅行の安全を増し、砂漠化の影響を軽減し、農業と水、エネルギー、その他の資源の管理を改善する。迅速な気象情報は干ばつ、害虫、病気による損失を縮小できることを意味する。「熱帯低気圧計画(Tropical Cyclone Programme)」は、熱帯サイクロンの影響を受ける国々が予報と警報システム、防災態勢を改善することによって、破壊と生命の損失を最小限に食い止めることができるように支援する。「災害リスク削減計画(Disaster Risk Reduction Programme)」は、とくにリスク評価、早期警報システム、能力強化に関して、WMOの各種活動と国際、地域、国の機関の活動との統合を図る。

「世界気候計画(World Climate Programme)」は気候に関するデータを収集して保存し、加盟国政府が気候変動と変化に対応できるように支援する。また、差し迫った気候の変化(たとえば、エルニーニョやラニーニャのような現象)やそうした変化の数ヵ月後の影響について、また自然、人為を問わず人間の活動に影響をおよぼす変化について政府に警告する。WMO主導の「気候サービスのための世界的枠組み(GlobalFramework for Climate Services:GFCS)」は、気候に関連する部門での政策決定を支援する科学に基づく気候情報・サービスを開発する。

「世界天気研究計画(World Weather Research Programme: WWRP)」は、大気の構造と構成、雲の物理と化学、気象調節、熱帯気象、天気予報に関する研究の調整を図る。また、加盟国が研究プロジェクトを実施し、科学情報の配布、研究成果を予報、その他の技術への応用するのを支援する。「全球大気監視計画(Global Atmosphere Watch Progamme)のもとに、グローバルと地域の観測地点と人工衛星とが温室効果ガスのレベル、オゾン層、放射性核種、その他の大気中のガスや粒子について評価する。

「水文・水資源計画(Hydrology and Water Resources Programme)」は、地球上の水資源を評価、管理、保存するのを助ける。また、水資源を評価し、水文に関するネットワークとサービスを発展させるための国際協力を促進する。いくつかの国が共有する河川流域内での協力を強化し、洪水の多い地帯では特別の予報を行って人命や財産を守る。

教育訓練計画(Education and Training Programme)」と「自発的協力計画(Voluntary Cooperation Programmed)」は、科学知識の交換、技術的な専門知識の開発、技術の移転を奨励する。「情報・広報計画(Information and Public Affairs Programme)」は、WMOの活動やWMOが取り上げるより広い問題について周知させる。

産業時代の幕開けとともに、大気に「温室効果ガス」が着実に、そして今では危険なまでに増えながら蓄積されてきた。これによって地球上の温度が上昇を続けている。エネルギーを生み出すために化石燃料を燃焼させたとき、森林を伐採して燃やしたとき、二酸化炭素が大気中に排出される。そうした「温室効果ガス」――メタン、亜酸化窒素、その他を含む--の蓄積は増大し、今では地球は巨大な、潜在的には破壊的な影響に直面するまでになった。国連システムはその気候変動に関する活動を通してこの課題に真正面から取り組んでいる(www.un.org/climatechange)。

1988年、利用可能な最善の研究が問題の深刻さを示し始めたとき、二つの国連機関――国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)――が集まって「気候変動政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)(www.ipcc.ch)を設置した。これは、その影響と将来のリスクも含め、気候変動に関する科学を評価し、それへの適応と緩和の選択肢を提供するものである。IPCC評価は、政府が気候に関連した政策を立案する際に科学的根拠を提供し、気候変動に関する国連会議での交渉――「気候変動に関する国連枠組み条約」の基礎となる。パネルは、問題に関する科学的な研究を見直し、問題に対して法的に拘束力のある、調整の取れたアプローチを発展させる。その活動が認められ、同パネルは、アルバート・アーノルド(AI)・ゴア・ジュニア元米副大統領とともに2007年ノーベル平和賞を受賞した。

世界の科学者の警告を心に留めて、世界の国々は1992年にリオデジャネイロに集まり、「気候変動に関する国連枠組み条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」(www.unfccc.int)に署名した。

1995年、IPCC科学者が提示した証拠によって、1992年の目標は地球の温暖化とそれに付随する問題を防止するには不十分であることが明らかになった。その結果、1977年、条約の批准国は京都に集まり、法的に拘束力のある「議定書」に合意した。この議定書の下に、開発先進国は、1990年のレベルを基準として、2008年から2012年までの間に6種の温室効果ガスの総排出量を5.2パーセント削減することになった。議定書の第一約束期間が2012年に終了した。2012年12月に採択された議定書のドーハ改正のもとに、開発先進37カ国と欧州連合は、温室効果ガスの排出を1990年比で平均5パーセント削減することを約束した。第二約束期間の間に、当事者は2013年から2020年の間に少なくとも18パーセント削減することを約束した。2015年のパリ協定はでは、各国は気候変動の脅威に対するグローバルな対応を強化することに合意した。同協定は、「自国が決定する貢献」を通して最善を尽くし、将来の努力を強化することをすべての当事者に求めている。

国連が、気候変動がもたらす脅威に取り組むために初めて世論を動員した当時は、そうした変化が起こっていることを納得していない人が多かった。しかし、2007年初め、IPCCは、最新の気候モデルの利用、データの収集と分析、もっとも最新の、専門家の審査を受けた科学論文を検討し、90パーセントの確率を持って、深刻な地球温暖化が進行中で、なおかつ強まっていると報告した。同時に、それはある程度は人間の活動に起因するものであり、さらに重要なことは、その影響はすでに現れており、大きな是正措置が採られなければそれはさらに悪化するであろう、と発表した。パネルの報告、「気候変動、2007年」は40カ国の気候科学者や専門家が全員一致で同意し、また113カ国政府が支持した。報告は、温室効果ガスの排出が現在のペースで増え続けるならば、世界の平均温度は今世紀末までに平均3度(摂氏)上昇することを示している。その結果、より極端な温度、熱波、新しい風のパターン、いくつかの地域のより激しい干ばつ、豪雨域の拡大、氷河や北極氷原の溶解、世界の海面水位の上昇が発生するであろう。そして、熱帯性サイクロン(台風やハリケーン)の数は減少すると予測されるものの、その激しさは増すと思われる。海水温度の上昇によって、最大風速が速まり、集中豪雨が多くなる。

「兵庫行動枠組み2005‒2015年」が、神戸で開かれた2005年国連防災世界会議で168カ国の参加国によって採択された。それには気候関連の災害による災害リスクの削減に効果的だと思われる勧告も含まれている。2015年3月に採択された「仙台枠組み2015‒2030年」は、この努力を踏襲している。しかし、究極的には、唯一の効果的な道は、大気の持続可能性を回復させることによって地球温暖化の波と闘うことである。幸運なことに、そうする手段はすでに概説されている。世界の人々がともにそれを実現させようとするならば、必ずやその目標は達成されるであろう。

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