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陸の豊かさも守ろう出典「国連の基礎知識」

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陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。2000年から2016年にかけて、グローバルな陸域、内陸淡水、山地の保護区でカバーされた主な生物多様性地区の割合はそれぞれ16.5パーセントから19.3パーセント、13.8パーセントから16.6パーセントへ、18.1パーセントから20.1パーセントへと増えた。こうした前進にもかかわらず、2015年には2万3000種の植物、菌類、動物が絶滅の危機が高いことが明らかになった。1999年以来、少なくとも7,000種の動物や植物が120カ国で非合法的取引として検知された。2016年SDG報告によると、全地球史を通じ、人間の活動によって種の絶滅が通常よりも1000倍の速さで進んでいる。

1990年から2015年にかけて、世界の森林地帯は世界の全陸塊の31.7パーセントから30.7パーセント減少した。それは森林が農業やインフラ開発のように他の目的のために利用されるようになったのが主な原因であった。他方、他の土地は植林、景観修復、もしくは自然の拡大によって森林となった。こうした進行中のプロセスや森林破壊を遅らせる努力のおかげで、グローバルな森林の純損失は1990年代の年730万ヘクタールから2010年から2015年の間の年330万ヘクタールにまで下がった。SDG 15は、森林と他の生態系に直接依存する者のために生活が守られ、生物多様性が維持され、これらの天然資源の恩恵を将来の世代も享受できるようにすることを目指している。

生物の多様性と汚染

生物の多様性―世界の植物や動物の種のまばゆいほどの多様性―は、人間の福祉に欠かせない強靭な生態系とサービスを維持するために不可欠である。これらの生物資源は気候変動と人間の活動によってとてつもない圧力を受けている。1992年の「国連生物の多様性に関する条約(United Nations Convention on Biological Diversity)(www.cbd.int)は、生物の多様性を保護かつ保存することを目的とする主要な国際文書である。195カ国と欧州連合が加入している。条約は、UNEPが管理し、生物の多様性を保存し、その持続可能な開発を確保し、遺伝資源の利用がもたらす恩恵を公正かつ公平に共有し、かつ条約の実施に対する貢献を述べた報告を提出することを締約国に義務付けている。2003年に発効した「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety)」は、遺伝子改変による有機物の安全な輸送、標識化、取り扱いを確保することを目的とし、締約国は170カ国である。「取得と利益の配分に関する名古屋議定書(Nagoya Protocol on Access and Benefit Sharing)」は利益の公平な配分を保証することを目的とし、2014年に発効し、現在の締約国は79カ国である。「生物多様性の戦略計画2011‒2020(Strategic Plan for Biodiversity 2011‒2020)」は「愛知目標」として知られる期限を定めた目標を掲げ、生物多様性の損失と闘う国家、国際の努力を組織しかつ優先度を決める。

ユネスコの「人間と生物圏計画(Man and the Biosphere Progamme)」(www.unesco.org/new/en/natural-sciences/environment/ecological-sciences/man-and-biosphere-programme)は、生物学的多様性の持続可能な利用と保存を進め、人間と環境との関係改善に努める。また、自然科学と社会科学、経済と教育の一体化を図ることによって生活を改善し、自然の生態系を守る。同時に、社会的に、文化的に健全で、かつ環境的に持続可能である経済開発への革新的なアプローチを促進する。他の生物多様性に関連する条約は以下の通りである。

  • 「2004年食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約(International Treaty on Plant Genetic Resources for Food and Agriculture: TTPGR)」(http://www.fao.org/plant-treaty/en/)は、食料と農業のための植物遺伝資源の保全と持続可能な利用およびその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を確実にすることを目的とする。条約は食料と農業のためのすべての植物遺伝資源をカバーし、「アクセスと利益配分の多国間システム(Multilateral System of Access and Benefit‒sharing)」は特別リストに載せられた64の作物と牧草類に限定する。農民の権利についても規定している。
  • 「1979年長距離越境大気汚染条約(1979 Convention on Long‒range Transboundary Air Pollution)」とその議定書は、国連ヨーロッパ経済委員会のもとで交渉され、ヨーロッパ及び北米における大気汚染の防止と削減とを規定している。また、産業製造過程から生じる硫黄酸化物の排出による酸性雨はかなり削減された。条約には51カ国が参加。
  • 「1979年移動性の野生動物種に関するボン条約(1979 Bonn Convention on the Conservation of Migratory Species of Wild Animals)」(www.cms.int)は、UNEPが管理し、一連の関連した地域協定や特定の種に関する協定とともに、とくに絶滅の危険にさらされている種を中心に、移動性の陸生動物、海洋動物、鳥類の種や生息地を保存することを目的とする。条約には124カ国が加入している。
  • 「1973年絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(1973 Conventiono on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」(www.cites.org)は、UJNEPが管理し、割当制や生存確保のための全面禁止を通して、野生の動植物の種や生産物の国際取引を規制する。条約は、3万種以上の動植物の種をそれぞれの程度に合わせて保護する。
  • 「1972年 世界遺産条約(1972 World Heritage Convention)」(https://whc.unesco.org/en/convention/)は、ユネスコが管理し、世界の文化遺産や自然遺産を明らかにして保存する。そのため、全人類のために保存すべき優れた価値を持つ場所のリストを作成し、国家間の緊密な協力を通して保護する。
  • 「1971年湿地に関するラムサール条約(1971 Ramsar Convention on Wetlands)」(www.ramsar.org)は、湿地とその資源の保全と適正な利用を進めるための国家行動と国際協力のための枠組みを提供する。条約は、湿地の保全と適正な利用のあらゆる側面をカバーし、また、一般に生物の多様性の保全と人間社会の福祉とって極めて重要である生態系として湿地をみなしている。
  • 「1952年国際植物防疫条約(1952 International Plant Protection Convention)」(www.ippc.int)は、栽培植物、野生植物を問わず、世界の植物資源を保護することを目的とする。そのため、植物の病害虫の侵入、まん延を防止し、またその適切な対策措置を促進する。条約は「植物検疫措置に関する国際基準(ISPM)」を発展させ、ISPMや条約による他の義務を実施できるように加入国を支援するメカニズムを提供している。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム(Intergovernmental Science‒Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services: IPBES)」(www.ipbes.net)は政府間機関で、政策立案者からの要請に応えて、生物多様性や社会に提供する生態系サービスの現状を評価する。プラットフォームはUNEP、UNESCO、FAO、UNDPの国連4機関の後援のもとにあって、UNEPが管理する。その事務局はドイツのボンにある国連キャンパスの中に置かれいる。世界の1000人の科学者がボランタリーの形でIPBESの活動に貢献している。専門家同士による相互評価はIPBES活動の主要な一部を構成するもので、それによってさまざまな見解が反映され、その活動が最高の科学水準のものであるようにする。

持続可能な森林管理

林産物の国際貿易高は年間何千億ドルにも達するが、世界の16億人以上の人々が多かれ少なかれ生計を森林に頼っている。先住民の知識の基盤として、森林は大きな社会文化の恩恵をもたらす。そして生態系として、森林は気候の変動の影響を緩和し、生物の多様性を保護する。新たな植林や既存森林の自然拡張のおかげで森林の純消失率は下がってきているが、毎年およそ1,300万ヘクタールの森林が失われ、森林破壊が続いている。これは地球温暖化に貢献する世界の温室効果ガス排出量の20パーセントに相当する。世界の森林とその土壌は1兆トン以上の炭素を蓄えている。大気中の炭素の2倍である。

森林破壊のもっとも一般的な理由は持続不可能な形の木材のための伐採、森林の農地への転換、不健全な土地管理の慣行、そして人間の居住地の建設などである。国連は、森林原則に関する非拘束性の声明を採択した1992年の地球サミット以来、持続可能な森林管理の活動の最前線に立ってきた。

1995年から2000年にかけて、「森林に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Forests)」と「森林に関する政府間フォーラム(Intergovernmental Forum on Forests)」が、森林政策に関する主要な政府間フォーラムであった。2000年、経済社会理事会は国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests)(www.un.org/esa/forests)を設置した。ハイレベルの政府間機関で、すべての国が参加でき、持続可能な森林管理のための長期的政治コミットメントを強化することを目的とする。フォーラムの事務局は、持続可能な森林管理のための能力強化を目的とした技術支援を行い、また分析、情報サービスを行っている。

2007年、フォーラムは国際森林政策と協力に関する画期的な合意、「あらゆるタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(Non‒Legally Binding Instrument on All Types of Forests)」を採択した。これは同じ年、総会によっても採択された。文書には、森林の被覆の損失を軽減する目的の四つのグローバルな目的が含まれている。すなわち、森林劣化を防ぐこと、全森林依存人口の持続可能な生計を促進すること、持続可能なように管理された森林を増大させること、森林のために追加資金を動員すること、である。2015年、総会はその決議70/199で文書を「国連森林文書(United Nations forest instrument)」に変え、森林に関するグローバルな目的の予定表を「2030アジェンダ」の予定表に合わせて2030年まで延長した。

2017年1月、フォーラムの特別会期は「国連森林戦略計画2017‒2030(UN Strategic Plan on Forests 2017‒2030)」と2017年―‒2030年間の作業計画を採択した。

砂漠化防止

砂漠化とは乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地域―いわゆる乾燥帯―における、気候変動および人間の活動を含む種々の要因に起因する土地の劣化である。持続可能な開発の観点から云えば、過度の乾燥帯(砂漠)は除外される。乾燥地帯は地上の陸地の41パーセントを占め、少ない降水量と高い蒸発力が特徴である。そこは20億人もの人々の故郷である。その中には世界の貧しい人々の半数が含まれる。これらの人々のうちの18億人が開発途上国に住んでいる。

乾燥地帯における土地の劣化とは、乾燥地帯の生物学的もしくは経済的生産性の低下もしくは損失である。そのおもな原因は過剰耕作、家畜の過剰放牧、森林の破壊と貧弱な灌がい施設である。UNEPの推定によると、それは地球上の表面積の3分の1と110カ国以上の国々に住む10億人の人々に影響を及ぼす。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国は、国土の3分の2が砂漠もしくは乾燥地帯で、とくにリスクが高い。

干ばつは自然に発生する現象で、降水量が普通より非常に低い時に発生し、深刻な砂漠化の原因となる。それは複雑かつゆっくりと忍び寄る自然災害で、重要かつ拡大する経済社会的影響や環境上の影響をもたらす。砂漠化や干ばつがもたらす結果は、食糧安全保障の欠如、飢餓、貧困である。

それに起因する社会的、経済的、政治的緊張は、対立を生み、一層の貧困化と土地の劣化を進める原因となる。世界の砂漠化の拡大によって、何百万という貧しい人々が新たに住宅と生計とを求めなければならなくなる。

「深刻な干ばつまたは砂漠化に直面している国(とくにアフリカの国)における砂漠化防止のための国際連合条約(United Nations Convention to Combat Desertification in those Countries Experiencing Serious Drought and/or Desertification, Particularly in Africa)」(www.unccd.int)は、この問題を解決しようとする条約である。土地の回復、土地の生産性の改善、土地と水資源の保存と管理に焦点を当てている。また、リスク軽減の原則に基づいて国家干ばつ政策の構築を進める国を支援する。世界の20億ヘクタールの劣化した土地は、土地や森林に再生される可能性を持っている。条約は、現地の人々が、「土地劣化ニュートラリティ」を中心に、陸上生態系に基づいて、自分たちで土地の劣化を転換できるような環境作りをする必要を強調している。また、被災国が国家行動計画を作成する際の基準を載せるとともに、行動計画の作成と実施にあたってはかつてなかった大きな役割をNGOに与えている。条約は、1994年に総会によって採択されて1996年に発効し、195カ国が締約国となっている。

IFAD、FAO、UNEP、世界銀行など、国連の多くの機関が砂漠化防止の活動を支援している。UNDPはナイロビにある「強靭な生態系及び砂漠化グローバル政策センター」への投資を通して砂漠化防止活動に財政的に支援している。