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すべての人に健康と福祉を出典「国連の基礎知識」

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あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。2000年から2015年にかけての世界の妊産婦の死亡率、すなわち出生10万人に対する妊産婦の死亡数は37パーセント減少して、2015年には出生10万人に対する妊産婦の推定死亡数は216人であった。2016年SDG報告は、ほとんどすべての妊産婦の死亡は設備が不十分とか専門医へのアクセスが限られているような状況の下で発生しており、それは阻止しうるものであることを示している。世界的に、2015年には4人に3人は誕生時に熟練した医療従事者の支援を受けることができた。5歳児未満死亡率は2000年から2015年にかけて急速に低下し、グローバルに44パーセントの低下があった。それにもかかわらず、2015年には5歳未満のおよそ590万の子どもたちが死亡した。グローバルな5歳児未満死亡率は出生1000人に対して43人であった。

HIV/エイズ、結核、マラリアを含む主な感染症の発生は2000年には世界的に減少した。しかし、2015年には210万人が新たにHIVに感染し、推定2億1400万人がマラリアに感染した。世界人口のほとんど半数がマラリア感染の危機にある。しかし、サハラ以南のアフリカ地域では全症例の89パーセントを占める。

2012年の推定によると、世界の総死亡者数の68パーセントを占める年間およそ3800万人の死亡は、非感染性疾病によるものである。70才以下の人々で非感染性疾病による死亡の3分の2が心臓血管の病気やがんによるものであった。

不健康な環境条件は非感染性、感染性を問わず双方の病気のリスクを高める。2012年、およそ88万9000人が感染性の病気によって死亡した。その原因は主に水や土壌の糞便汚染、不適切な手洗いの設備、不十分な衛生サービスもしくはその欠如であった。同じ年、家庭内および環境の大気汚染によっておよそ650万人が死亡した。

SDG 3は生と生殖に関する健康および母子の健康を改善し、主要な感染症の流行を終わらせ、非感染性および環境上の疾病を削減し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成し、かつ安全、安価で効果的な医薬品へのアクセスを確保する。

世界のほとんどの国で人々の寿命は延び、幼児死亡率が下がり、常時治療が受けられるようになった。多くの人々が基礎的な保健サービスや予防接種、きれいな飲料水や衛生施設を利用できるようになったのがその理由である。国連はこうした前進の多くに深く係わってきた。とくに開発途上国において保健サービスを支援し、基本的な医薬品を届け、都市の健全化を計り、緊急時に保健支援を提供し、感染症と闘ってきた。しかし、ほとんどの感染症の原因と治療は知られており、ほとんどの場合病気や死亡は支払い可能な費用で回避できる。主要な感染症はHIV/エイズ、マラリア、結核である。「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)」(www.theglobalfund.org)は、こうした努力に大きく貢献する。

最初のエイズ患者が1981年に報告されて以来7,800万の人々がHIVに感染し、3,500万人がエイズ関連の病気で死亡したが、それでもHIV/エイズ対策ではかなりの進歩があった。国連合同エイズ計画(Joint United Nations Programme on HIV/AIDS: UNAIDS)(www.unaids.org)の推定によると、2015年末現在、HIV感染者の数は3,700万人であった。2016年6月までに、1,800万人以上のHIV感染者が命を救う抗レトロウイルス療法を受けた。HIVの母子感染を防ぐ努力は成功し、子どもたちのHIV感染は2010年の29万人から2015年の15万人まで減少した。しかし、HIV感染者の大多数は依然として治療にアクセスできず、HIV予防における進歩は減速した。2015年に新たに感染した人の数は2100万人であった2000年時に比べ35パーセントの減少であったが、HIVの新たな感染者は2010年以来わずか6パーセントの減少であった。2015年、10万人以上の子どもも含め、110万人がエイズ関連の原因で死亡した。これらの死亡者の3分の1が結核によるものであった。

UNAIDSはHIVに対してはライフサイクル的なアプローチをとっている。人生のそれぞれの段階でその人にもっともふさわしいHIV解決法を見出す。より効果的な、耐えられる、安価な治療法、それに治療やワクチンを発見するために研究への投資が依然として必要である。

総会は、国連HIV/エイズハイレベル会合(ニューヨーク、2016年6月8日-10日)で「HIVとエイズに関する政治宣言」を採択した。その中で参加国は、国民の健康への脅威としてエイズの流行を2030年までに終息させることを誓った。また、会合では、2020年までに達成すべき三つの暫定的な優先目標を採択した。HIVの新規感染者の数を50万人以下にする、エイズ関連死亡者を年間50万人以下にする、HIV関連のスティグマ(汚名)や差別を廃止する、ことである。

何十年もの間、国連システムは病気との闘いで最前線に立ってきた。そのため、国連は健康問題の社会的側面に対処する政策やシステムを作り出した。国連児童基金(ユニセフ)(www.unicef.org)は子どもと母親の健康に焦点を合わせ、国連人口基金(UNFPA)(www.unfpa.org)はリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)と家族計画の問題に取り組んでいる。病気に関するグローバルな活動を調整する専門機関は世界保健機関(WHO)(www.who.int)である。WHOはすべての人の健康を実現するという野心的な目標を定め、誰もがリプロダクティブ・ヘルスを利用できるようにし、パートナーシップを構築し、健全なライフスタイルと環境を促進してきた。

WHOは各種の歴史的業績の推進力となってきた。たとえば、1979年の天然痘根絶がある。これを達成するには10年に及ぶキャンペーンが必要であった。国連のもう一つの機関、FAOは2010年の牛疫の撲滅では影の推進者であった。この疾病は、2001年以来野外では検知されておらず、撲滅された最初の動物の疾病であった。牛疫の撲滅は、人間の天然痘の撲滅に続く世界で二番目に撲滅された病気である。

WHOはそのパートナーとともに1994年に南北両アメリカ大陸から、2000年には西太平洋地域から、そして2002年にはヨーロッパ大陸からポリオをなくした。ポリオを完全に撲滅するグローバルな努力は現在も続けられている。「世界ポリオ撲滅イニシアチブ(Global Polio Eradication Initiative)」(www.polioeradication.org)が1988年に発足して以来、ポリオ患者数は99パーセント以上も減少し、その年の350,000人から2015年には66人にまで減少した。2016年、ポリオが残っている国は1988年の125カ国から2016年にはアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国だけとなった。このイニシアチブを通して、世界の25億人以上の子どもたちがこの病気についての予防接種を受けた。ポリオの撲滅から生じる公衆衛生部門の節約額は、400億ドルから500億ドルにも達すると推定される。

ロール・バック・マラリア(RBM)パートナーシップ(Roll Back Malaria(RBM) Partnership)」(www.rollbackmalaria.org)は、WHO、ユニセフ、UNDP、世界銀行が1998年に発足させた機関で、全世界的に調整された形でマラリアの問題に取り組む。それにはマラリア流行国、その二国間・多数国間開発パートナー、民間部門、NGO、地域社会ベースの組織、財団、研究・学術機関が参加し、ともにマラリアが死亡の主要原因とならず、かつ経済社会開発の障害とならないような世界を作り出すことに努める。RBMの総合的戦略は、支援の対象を普遍的なものにし、かつ医療制度を強化することによって疾病率と死亡率を引き下げることを目的としている。

グローバルな「ストップ結核パートナーシップ(Stop TB Partnership)」(www.stoptb.org)は2001年に設立され、結核になりやすいすべての人を支援し、必要とするすべての人が質の高い診断、治療、ケアを受けられるようにすることが目的である。国際機関や技術団体、政府プログラム、研究所や資金提供機関、財団、」NGOs、市民社会、コミュニティ・グループ、それに100カ国以上の国々の民間部門など、1,500のパートナーで構成される。

妊産婦及び乳幼児の健康を守るためのパートナーシップ(Partnership for Maternal, Newborn and Child Health: PMNCH)(www.pmnch.org)は、2005年9月に設立され、事務局はWHOに置かれている。「安全な母性と新生児の健康のためのパートナーシップ(Partnership for Safe Motherhood and Newborn Health)」、「健康な新生児のためのパートナーシップ(Healthy Newborn Partnership)」、「子どもの生存のためのパートナーシップ(Child Survival Partnership)」の三つの機関の80メンバーが集まってつくったもので、MDGsの達成を支援するために協力とコンセンサス形成を強化することを目的としている。今日では、パートナーシップは、性、リプロダクティブ、母性、新生児、子どもや青年期の健康などに関する団体など、77カ国の750以上の団体の同盟となっている。パートナーシップは「すべての女性すべての子ども(Every Woman EveryChild)」運動、「女性のためのグローバル戦略(Global Strategy for Women's)」,「子どもと青年の健康(Children's and Adolescents' Health)」を支援している。

もう一つの大きな国連の業績は、たばこの供給と消費を規制する画期的な公衆衛生条約を2003年に採択したことである。世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」はたばこの課税、喫煙防止と治療、不正取引、広告、スポンサー行為とプロモーション、生産規制などについて規定したものである。条約は、喫煙に関連した病気を削減するグローバルな戦略の一環として採択された。毎年、たばこの喫煙が原因で500万人近くの人々が死んできた。WHOはまた、肥満と闘う活動にも先導的な役割を果たしている。肥満はいまや世界的な健康上の問題となっている。2014年、19億の成人、すなわち18才以上の人々が標準体重を超えている。そのうち、6億人が肥満であった。

非感染性疾患の予防と管理に関するグローバル行動計画(Global Action Plan for the Prevention and Control of Non‒communicable Diseases: NCDs 2013-2020)(www.who.int/nmh/events/ncd_action_plan)は、2011年の「非感染性疾患に関する国連政治宣言(UN Political Declaration on Non‒communicable Diseases)のコミットメントを達成することを目的にWHOが発展させた。NCDsは心臓病、脳卒中、がん、糖尿病、慢性呼吸器疾患、メンタル・ヘルスをはじめ、暴力や傷害なども含め、世界のすべての死亡原因の70パーセント以上を占める。これらの死亡のうちの10件に8件は低・中所得国で発生している。グローバル行動計画は、2025年までに達成すべき九つのグローバルなNCD目標の進歩に貢献する。その中にはNCDs 1による若年死を相対的に25パーセント減少させることや、2010年の比率に合うようにグローバルな肥満傾向を抑えることなども含まれる。

1980年から1995年にかけて、ユニセフとWHOの共同の努力によって、六つの殺人病、すなわちポリオ、破傷風、はしか、百日咳、ジフテリア、結核に対する予防接種率が5パーセントから80パーセントにまで引き上げられた。これによって年におよそ250万人の子どもたちの命が救われることになった。同じようなイニシアチブに「ワクチンと予防接種の世界同盟(Global Alliance for Vaccines and Immunization: GAVI)(https://www.gavi.org/our-alliance)がある。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の初期基金をもとに1999年に発足したものである。2000年以来、GAVIの支援によってB型肝炎、ヘモフィルス・インフルエンザ型菌(Hib)感染症、百日咳に対する定期的な予防接種が行われ、また、はしか、ポリオ、黄熱に対して一回きりの予防接種が行われた。世界同盟にはWHO、ユニセフ、世界銀行、民間セクターがパートナーとして参加している。

感染性疾患の領域でWHOが優先課題としていることは、グローバルなパートナーシップを通してマラリアや結核の影響を緩和すること、感染性の病気に対する監視、モニタリング、対応を強化すること、定期的250な予防・管理体制を強化すること、そして、開発途上国が利用できるように新しい知識、治療介入の方法、実施戦略、研究能力を生み出すこと、である。WHOは関係国とともに、HIV、結核、マラリア、それに顧みられない熱帯病の予防、治療、ケアへのアクセスを増加、維持し、ワクチンによる予防可能な病気を少なくすることに努めている。WHOはまた、プライマリー・ヘルスケアの促進、基本的な医薬品の提供、健全な都市の建設、健康的なライフスタイルや環境の促進においても重要な役割を担っている。また、健康に関する緊急事態においても重要な役割を果たしている。

WHOのもう一つの優先課題は「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage)」である。WHOは政策立案者、市民社会、学術団体や民間部門とともにそれぞれ国が信頼に足る国民医療制度を開発、実施、監視できるように支援する。また、各国が公平かつ平等で人間中心の公共医療サービスを受けられるようにするとともに、支払い可能な費用で安全かつ効果的な医療技術にアクセスできるようにし、保健医療情報システムと証拠に基づく政策決定を強化できるように支援している。

WHOは健康に関する研究のための原動力としての役割も果たしている。WHOはそのパートナーとともに、とくに開発途上国を中心に、現状とニーズに関するデータを集めている。これは遠く離れた熱帯林に固有の伝染病を研究することから遺伝子研究の進歩を監視することにまで及ぶ。WHOの熱帯病研究計画は、もっとも広く利用される薬品に対するマラリア寄生虫の抵抗力について研究し、また熱帯性感染症の新しい治療薬や診断法の開発を進める。そうした研究は、国家および国際の感染症監視体制を改善したり、新しい病気の予防戦略を開発したりすることにも役立っている。

WHOは生物学的物質と薬学的物質について国際基準を設定する。WHOは、プライマリー・ヘルスケアの基本要因として「必須医薬品」の概念を発展させてきた。WHOは、各国と協力して、安全かつ効果の高い薬品をできる限りの最低価格で提供し、かつそれがもっとも効果的な方法で利用されるように努める。そのため、WHOはすべての健康問題の80パーセント以上の予防もしくは治療のために不可欠だと考えられるおよそ数百種の薬品とワクチンを載せた「モデル・リスト」を作成した。リストは2年ごとに改定される。WHOはまた、加盟国、市民社会、製薬産業と協力して、貧しい国や中所得国の優先的な健康問題の解決に必要な新しい必須医薬品を開発するとともに、既存の必須医薬品の生産を続けさせている。

国連に与えられた国際的なアクセスを通して、WHOは感染症に関する情報のグローバルな収集を監視し、健康および病気の比較統計を編纂し、安全な食糧や生物学的製剤や医薬品の国際基準を設定する。また、ガンを作り出すリスクのある汚染物質を明らかにし、普遍的に受け入れられるHIV/エイズの予防や治療に関するガイダンスを作成した。

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