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労働出典「国連の基礎知識」

開発の経済的、社会的側面の双方に関係しているのが国際労働機関(International Labour Organization: ILO)(www.ilo.org)で、すべての人にディーセント・ワーク(権利と十分な収入が保証され、適切な社会的保護のある生産的な仕事)を促進する政策やプログラムを策定するために政府、使用者、労働者の代表がともに集う国連の唯一の3者機関である。ILOを導く原則は、社会の安定と統合は社会正義、とくに健全な職場において公正な報酬を受けて労働する権利が達成されてはじめて持続する、ということである。ILOの四つの主要な目標は、労働に関する権利を促進し、ディーセントな雇用機会を奨励し、社会的保護を高め、かつ労働関連の問題についての対話を強化することである。ILOは、自由、公平、安全、尊厳が守られるような状況の下で、男性、女性、ともにディーセントかつ生産性の高い仕事に就くことのできるような機会を促進する目的で国際労働基準を作成し、監視する。その3者構造は、これらの基準が政府、雇用者、労働者の支持を受けられるようにするものである。したがって、国際労働基準はグローバルな経済においてすべての当事者が合意する基本的な社会的基準を定めたものである。

これまでの数十年、ILOは1日8時間労働、出産保護、児童労働法、家庭内労働者や船員を保護する立法措置、さらには安全な職場や平和な産業関係を促進する政策など、これまでの重要な成果に大きく貢献してきた。ILOが具体的に行っていることは以下の通りである。

  • 基本的人権を促進し、労働・生活条件を改善し、雇用の機会を創出する国際的な政策やプログラムを策定する。
  • 国家当局が健全な労働政策を実践する際のガイドラインとなる国際労働基準を設定する。
  • これらの政策を実効あるものにするために、受益国とのパートナーシップのもとに策定され、かつ実施される広範に及ぶ技術協力計画を実施する。
  • これらの努力を前進させる訓練、教育、研究および広報活動を行う。

ILOが取り上げる問題は多岐にわたり、例えば子どもの就労、働く人々の安全と衛生、雇用保障、中小企業の育成、社会的保護、技能の向上、知識と雇用可能性、若者の雇用、労働移住、差別撤廃とジェンダー平等、社会的対話、それにILO総会が1998年に採択した「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」の推進などである。

ILOは2019年に創立100周年を迎えることになり、将来は社会正義の実現に向けた課題を取り上げることができるようにする作業が進められている。これらの「100周年イニシアチブ」は、労働の将来、貧困、働く女性、国際労働基準、企業、グリーン経済、ILOのガバナンスなどに焦点を当てたものである。

開発協力については、ILOは、120の開発パートナーの支援とともに、100カ国以上の国々で630件の計画やプロジェクトを進めている。ILOは、グローバルな規模で構成機関との開発協力の効率と効果を高める目的で、既存の多くの技術プロジェクトを五つの旗艦プログラムに統合した。すなわち、ベターワーク(より良い仕事)計画(Better Work)――グローバルな衣料・履物産業における労働基準;社会的保護の土台計画(Social Protection)――すべての人に社会的保護の土台(社会的保護基盤)を実現する;児童労働撤廃国際計画(Elimination of Child Labour: IPEC+)――強制労働と児童労働を撤廃する;労働安全衛生(Occupational Safety and Health)――中小企業における;平和と強靭性のための雇用(Jobs for peace and resilience)――紛争被害国や災害の多い国において、とくに若い人々のための雇用創出。

ILO調査部は、ジュネーブにあり、ILOに関連する新たな問題について政策調査や公の場での討論を促進する。その「グローバル調査アジェンダ」は、雇用と社会的結果、グローバルな金融危機からの回復支援、持続可能な経済成長の強化を進めるような政策アプローチを明らかにする。

ILO統計局は、ディーセント・ワークの目標を達成する糸の政策の立案と評価のための関連性のある、時宜を得た、信頼しうる労働統計をILO内外の利用者に提供する。その作業には労働統計の収集と普及、労働統計のための国際基準の設定、労働統計における技術協力、支援、訓練などが含まれる。

ILO国際研修センター(International Training Centre)(www.itcilo.org)は、イタリアのトリノにあり、民間企業や公共企業の上級・中級管理職の人々、労働者組織や経営者組織の指導者、政府の担当官や政策決定者を対象に研修を行っている。毎年450以上のコースを提供し、180カ国からおよそ1万1000人が参加する。

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