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開発活動の調整出典「国連の基礎知識」

UN Photo/Eskinder Debebe

経済社会問題に関する国際議論は、貧富を問わずすべての国家間にみられる利害の共通性をこれまで以上に反映させるようになった。とくに国境を越える問題を解決する際にはそうである。難民人口、組織犯罪、薬物の取引、HIVとエイズ、気候の変動に関連する問題は、調整された行動を必要とするグローバルな課題だと見られる。ある地域における長引く貧困や失業がもたらす影響は他の地域においてもすぐに感じられる。それは移民とか社会的崩壊、紛争を通してではない。同様に、グローバルな経済の時代にあっては、一つの国に金融不安が生じると、他の国の市場もその影響を免れない。経済社会開発を発展させるにあたっては民主主義、人権、よい統治が大きな役割を果たすことについてのコンセンサスも高まっている。女性、若者、高齢者、障害を持つ人々、先住民、貧困のなかで生活する人々、こうした人々のエンパワーメントの果たす役割についても同様である。多くの分野で進歩が見られるにもかかわらず、世界の経済社会構造を特徴付けているのは依然として所得と富、福祉における大きな格差である。国内または国家間の貧困を削減し、不平等を是正することが、今日においてもなお国連の基本的な目標である。

国連の開発システムは、開発のための実務的活動のために拠出を受ける機関から構成され、さまざまな方法でその経済的、社会的目標の達成に取り組んでいる。政策分析を提供し、既存および新たな地球規模の課題に取り組み、開発計画や戦略について政府に助言する。また、国際規範や基準を設定し、国際開発協力における傾向や進展について見直し、開発計画のための資金を動員する。国連の各種の基金やプログラムをはじめ、専門機関のファミリーを通して、国連は、教育、航空の安全、環境保全、労働条件など、さまざまな領域で、世界中の人々の生活に深く係わっている。

経済社会理事会(Economic and Social Council: ECOSOC)(www.un.org/en/ecosoc)は、国連とその実施部門の経済社会活動を調整する主要な機関である。理事会はまた、国際的な経済社会問題を審議し、政策勧告を作成する中心的な場でもある。理事会の任務としては、より高い生活水準、完全雇用、経済的および社会的進歩を促進すること、経済、社会、健康の問題についてその解決策を明らかにすること、文化、教育に関する協力を容易にすること、人権および基本的権利の普遍的な尊重を奨励すること、などが含まれる。

社会開発委員会(Commission for Social Development)は、社会政策と開発の分野におけるECOSOCの準備、諮問機関として、合意された理事会の年間主要テーマに関連した社会的側面について報告する。また、ハイレベルの政治フォーラムのテーマ別レビューを支援し、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のフォローアップに貢献する。

開発政策委員会(Committee for Development Policy)は、経済社会理事会の下にあって、個人の資格で務める24人の専門家で構成され、新たな経済、社会、環境の問題に関する諮問機関としての役割を果たす。委員会はまた、「後発開発途上国(LDCs)」と指定する際の基準を定め、これらの国のリストの見直しを図る。

2年ごとに開かれる「開発協力フォーラム」は2005年の世界サミットによって設置されたもので、経済社会理事会によって開催され、関連するすべての利害関係者の参加を受けて、国際開発協力における傾向と進歩について再検討する。また、開発協力を改善するための政策指針や勧告を提供することも任務の一つとなっている。

国連開発グループ(United Nations Development Group)www.undg.org)は、国連システムの中にあって開発事業の管理や調整に関係する32の国連の基金やプログラム、機関、事務局の各部局で構成される。この執行機関は、政策決定機関とそれぞれの実施機関との協力強化に努める。

経済社会問題執行委員会(Executive Committee on Economic and Social Affairs)(www.un.org/development/desa/ecesa/)は、事務局の担当部局や地域委員会から構成され、政策の策定と管理のための機関である。経済社会局(DESA)の主導のもとに、経済や社会の分野で規範、分析、技術に関する作業に従事する国連機関の中で作業の一貫性をもたらすことを目的とする。

国連経済社会局(Department of Economic and Social Affairs: DESA)(https://www.un.org/development/desa/en/)は、各国が経済や社会、環境の課題を解決できるように支援する。国連開発アジェンダとして知られる国際的に合意された目標の枠組みの中で活動する。この枠組みの中で、DESAは分析に関する支援を提供し、社会、経済、環境の領域で加盟国に対して実質的かつ技術的支援を提供する。政策の分析や調整も行う。また、規範や基準を設定し、地球規模の課題に応えて共通の行動路線をとることについても加盟国を支援する。また、グローバルな政策と国家の行動を結びつけるとともに、研究、政策、実際の活動との間を結びつける重要な接点でもある。

5地域委員会(Regional Commissions)は経済社会情報の交換や政策分析を行い、アフリカ(ECA)(www.uneca.org)、アジア太平洋(ESCAP)(www.unescap.org)、ヨーロッパ(ECE)(www.unece.org)、ラテンアメリカ・カリブ(ECLAC)(www.eclac.org)、西アジア(ESCWA)(www.escwa.org)の五つの地域に設けられている。多くの国連の基金や計画はそれぞれの関係国で開発のための支援活動を行い、またいくつかの国連の専門機関は、国家の開発事業に支援と援助を提供する。人的資源や財政資源が限られていることから、各種国連機関の調整と協力を高めることは、開発目標の達成に不可欠である。

国連総会は、「4年毎の包括的政策レビュー(Quadrennial Comprehensive Policy Review: QCPR)(www.un.org/ecosoc/en/oas-qcpr)を通して、国連の開発協力や国家レベルの様式についてシステム全体の政策の主な方向性を確立する。4年ごとに採択され、国連の開発システムが開発を進める国々を支援する方法を定める主要な政策文書である。最新のQCPRは2016年に採択され、総会決議71/243へと発展した。これは、2030アジェンダの実施に対する国連開発システムの支援の手引きとなるものである。QCPRは、国連開発システムの事業活動の分野横断的な、調整の問題に焦点を当てており、すべての基金、計画、その他、総会の直接の責任の下にある機関に適用される。

※現在、その名称は、「国連持続可能な開発グループ(UN Sustainable Development Group=UNSDG)」に変わっている。国レベルにおける2020アジェンダの実施に対する国連開発システムの集団的な貢献を最大化すべく、戦略的な方向付けや監督を行い、アカウンタビリティーを強化し、40の基金・プログラム、専門機関、事務局の連帯を図っている。

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