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先住民問題出典「国連の基礎知識」

世界のおよそ90カ国に3億7000万人以上の先住民が住んでいる。そこではしばしば差別に直面し、政治権力や経済力とは無縁である。そのあまりにも多くの人がもっとも貧しく、読み書きができず、極貧の生活を強いられている。先住民は戦争や環境災害のために避難を余儀なくされ、先祖の土地から追い出され、また物理的、文化的生存に必要な資源を奪われている。また、彼らの伝統的知識は彼らの同意や参加なしに販売され、特許がとられている。毎年8月9日は「世界の先住民の国際デー(International Day of the World's Indigenous Peoples)」として指定され、世界の先住民の権利を促進、支持する記念行事が行われる。

先住民問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」(www.un.org/indigenous)は2000年に経済社会理事会によって設置された。経済社会開発、文化、教育、環境、健康、人権に関連する先住民問題を審議する。フォーラムは、専門家のアドバイスや勧告を理事会に行い、また理事会を通して、国連の計画や基金、各種機関にアドバイスや勧告を行う。フォーラムは先住民についての理解を深め、国連システムの中で先住民問題に関連した活動の統合と調整を行い、先住民に関する情報を配布する。また、多くの国で先住民コミュニティへ注意を払うことが2030年までの目標達成に直接貢献するとの事実を踏まえて、SDGsが達成されるような形で先住民問題を取り上げる方法にも取り組んでいる。

2007年、総会は「先住民族の権利に関する国連宣言(United Nations Declaration of the Rights on Indigenous Peoples)」を採択した。宣言は土地、領土と資源、文化、アイデンティティ、言語、雇用、健康、教育の権利も含め、先住民族の個人、集団としての権利を提示している。宣言は、先住民族は自身の制度、文化、伝統を維持、強化し、自身のニーズと願望に従って開発を進める権利を持つと強調した。また、先住民族に対する差別を禁じ、彼らに関係するあらゆる事項について完全かつ効果的に参加できるようにすると同時に先住民族としての特色を維持し、自身の構想する経済社会開発を追求する権利も促進する。宣言はグローバルなコンセンサスを反映し、世界の先住民族の生存、尊厳、福祉のための最低基準を定めている。

2014年9月、「先住民族世界会議(World Conference on Indigenous Peoples)」として知られるハイレベルの会議を開催した。全員一致で採択された成果文書は、宣言の目的を達成する一連のコミットメントを載せている。