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通常兵器、信頼醸成および透明性出典「国連の基礎知識」

小型武器と実際的な軍縮

冷戦の終焉とともに、世界の多くの地で国家内の紛争が続発するようになった。そうした紛争で選ばれたのが小型武器であった。これらの兵器は紛争の原因ではないが、暴力を激化させ、子ども兵士の利用を容易にさせ、人道援助を妨げ、紛争後の復興や開発を遅らせる。

現在世界には許可された何億もの銃器が存在する。これらのうち、おおよそ3分の2が市民社会の手の中にあり、残りが国の軍隊や法執行機関に所属する。ほとんどのその他のタイプの小型武器についての推定は、難しい。これらの武器の合法的な年間取引額は数十億ドルを超え、不正取引額は年間10億ドル相当になるものと信じられる。違法な武器の拡散を防ぐことが、小型武器のあらゆる問題を国際、地域、もしくは国内のレベルでコントロールするための第一歩である。

2001年、「小型武器非合法取引のあらゆる側面に関する会議」が国連で開催された。その結果生まれた行動計画の下で、参加国は以下のことに合意した。すなわち、ライセンスを受けた製造業者は生産過程でそれぞれの武器に信頼にたるマーキングをつけること、そうした武器の製造、所有、移転に関して包括的かつ正確な記録を保管すること、そうした武器の非合法取引を特定し、追跡する協力を強化すること、押収、没収、回収されたすべての小型武器は廃棄されると保証すること、などである。その結果は、政府の売買禁止活動が大幅に強化されたことであった。行動計画採択後の5年間、140カ国近くが非合法の銃取引について報告した。他方、全国家の3分の1が、法的に所有する権利を持たない人々から銃を回収する努力を行った。また、国境を越える非合法武器の流れを食い止める国家間、地域間の協力が強化された。2006年、政府、国際・地域機関、市民社会の代表、2,000人以上が、国連本部で開かれた2週間の会議に参加し、行動計画の実施について再検討を行った。2012年には別の行動計画再検討会議の開催が予定されている。

違法な小型武器の無規制な拡散は、子どものための活動から健康、難民、開発に関する活動に至るまで、国連活動の多くの側面に影響を与える。こうしたことから、1998年に「小型武器調整行動(CASA)」と呼ばれるメカニズムが発足した。これは、国連システムが一貫した方法で小型武器、武器による暴力行為、武器の取引、弾薬貯蔵管理のような武器に関する広範な問題に取り組むことを保証するものである。小型武器がもたらす惨害に対処する包括的なグローバルな活動も市民社会によって始められた。それは現在も続けられ、小型武器に関する研究、調整された国内行動の促進、武器の取引に関する国際条約の締結を求めるロビー活動などが行われている。

武器貿易条約(Arms Trade Treaty:ATT)

世界貿易のほとんどすべての領域が規則によって規制され、すべての国が合意による行動に従わなければならない。しかし、通常兵器の取引を規制するグローバルな規則はいまだ存在しない。各国政府は武器の移転に関する決定については自身で責任を取るよう期待されている。このことは、武器の国際移転を承認する前に、対立を悪化させる、もしくは国際人道法および人権法を侵害させるリスクを評価しなければならないことを意味する。

各国は2006年に国連の枠組みの中でこの問題を取り上げ、そして2012年、通常兵器の領域で歴史的なイニシアチブを取るために、すなわち武器貿易条約(ATT)について交渉するために国連本部に集まった。しかし、会議では条約文について合意は見られなかった。そのため、国連総会は、2012年に始まった作業を完了させる目的で2013年3月にATT 最終会議を開催した。2013年4月2日、総会は「武器貿易条約」を採択した。条約は2013年6月3日に署名のために開放された。

対人地雷

対人地雷がこれまで以上に世界各地に拡散し、無差別に使用されていることが、国連の特別の注意を集めてきた。1995年、特定通常兵器使用禁止制限条約(いわゆる残忍兵器禁止条約)運用の検討を行った結果、改定議定書IIが生まれた。改定議定書IIは1998年に発効した。それによって、地雷の使用、移転、型式(自己破壊および探知可能)に関する制限が強化された。2013年3月現在、98カ国がこの議定書による義務を負っている。条約には5つの議定書があり、地雷やブービートラップの禁止をはじめ、探知不能な爆弾破片、焼夷弾、盲目にするレーザー、爆発性戦争残存物を禁じている。

しかし、一部の国々は、重大な人道危機に対する対応が不十分だと考え、満足しなかった。こうした「同じ考えの」国々は、あらゆる対人地雷の全面禁止に関する協定について交渉を重ねた。「対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約=地雷禁止条約(Convention on the Prohibition of the Use, Stockpiling, Production and Transfer of Anti‒personnel Mines and on Their Destruction:Mine Ban Convention)」であった。同条約は1997年に署名のために開放され、1999年に発効した。2013年3月現在、条約の締約国は161カ国であった。

2つの文書の実施が成功し、被災国では貯蔵されていた地雷は破壊され、地雷の除去も行われて新しい犠牲者の数が少なくなった。2011年には新たな地雷による死傷者の数は4,286人を記録し、これは2009年と2010年に明らかになった死傷者の数と同じであった(www.icbl.orgを参照)。現場では、14の国連機関、計画、部局、基金が地雷関係の活動を積極的に進めている。

国連地雷対策サービス部(United Nations Mine Action Service: UNMAS)(www.mineaction.org)は、国連諸機関によるすべての地雷関連の活動を調整する。政策と基準を発展させ、地雷や不発弾がもたらす脅威について評価と監視を行い、地雷汚染地域でいかにして身の安全を守るかを人々に教え、被害者を支援し、貯蔵された地雷を廃棄し、対人地雷のグローバルな禁止を支援する普及活動を行い、かつ地雷禁止条約の実施を促進する。地雷除去活動や地雷の危険に関する教育活動の多くはNGOが行っているが、民間の契約者や時には軍隊も人道的な地雷対策の活動に従事している。

爆発性戦争残存物(ERW)と対車両地雷(MOTAPM)

対人地雷については重要な措置が採られてきたものの、他の爆発性弾薬によっても多くの人々が死に、負傷している。こうした兵器は、不注意な接触もしくは意図的にいじることによって人々に危険をもたらす。とくに、危険性がよく理解されていない場合がそうである。数は少なくても大きな被害を与える。戦略地域に敷設されると、一個の地雷だけで道路を閉鎖しなければならないほどの損害を与え、日常の活動を中断させてしまうほどの威力がある。たとえば除去防止のための装置や最低限の金属内容など、他の性格を持つMOTAPMとの組み合わせで使用すると、その人道上の影響はきわめて深刻となる。

CCWの議定書Vのもとに、武力紛争の当事国は爆発性戦争残存物を除去、撤去もしくは破壊しなければならない。また、爆発物の使用もしくは廃棄に関連した情報を記録し、保持、伝達しなければならない。また、一般市民や人道ミッションや団体の保護のために可能な限りの事前の注意を促す義務を有する。そうする立場にある締約国は、マーキング、除去、撤去、破壊、被害者支援について協力や支援を提供しなければならにない。議定書Vは2006年に発効した。

通常兵器の登録

国家間の信頼醸成と安全に貢献するために、総会は1991年、「国連通常兵器移転登録制度」(https://www.un.org/disarmament/convarms/register/)を設立した。「登録」は国連軍縮部(UNODA)が運営、管理している。この任意の報告取り決めによって、参加国政府は7つのカテゴリーの主要通常兵器システムの輸出入に関する情報を提供する。潜水艦を含む軍艦、戦車、装甲車、戦闘機、攻撃ヘリコプター、大口径大砲、それに短距離携帯式防空システムも含め、地対空ミサイルやミサイル発射台である。加盟国はまた、小型武器の移譲、国内生産による調達、軍事目的の保有についてのデータを提供することも求められている。国連はそうしたデータを集め、年に1回、公式文書として発行する。それは一般の人々も入手することができるし、また国連のホームページを通しても入手できる。1991年に登録を開始して以来、2012年までに、173カ国以上の国々が、数回に及んで「登録」にデータを提出した。2013年1月現在、UNODAは51件の国別報告を受け取った。「登録」は主要通常兵器のグローバルな取引の95パーセント以上を掌握していると推定される。

軍事費の透明性

軍事問題の透明性を促進するもう1つのグローバルなメカニズムは、1980年に導入された「国連軍事支出報告制度」(www.un.org/disarmament/convarms/Milex)である。この任意の報告制度は、軍事要員、作戦と整備、調達と建設、調査研究と開発に関する支出に関する報告を求める。国連はこうした情報を集め、公表している。2012年7月現在、この制度の発足以来、30カ国がこの制度の下に少なくとも1回は軍事支出についての報告を行った。

宇宙空間における軍備競争の防止

宇宙空間に関連する問題は、2つの異なるラインに沿って国際の場で討議されてきた。1つは宇宙技術の平和目的の応用で、他の1つは宇宙環境における軍備競争の防止である。これらの問題は、総会や宇宙空間平和利用委員会とその補助機関、ジュネーブ軍縮会議で審議されてきた。こうした討議から宇宙空間の利用の平和的側面、軍事的側面に関する数多くの国際協定が結ばれた。宇宙空間の軍事化防止の重要性を反映し、第1回軍縮特別総会(1978年)は、この問題に関する国際交渉を呼びかけた。1982年以来、ジュネーブ軍縮会議は「宇宙空間における軍備競争の防止」を議題としてきたが、多国間協定については交渉するまでには至っていない。これは、メンバー国の中で意見の相違が続いているからである。

軍縮と開発との関係

効果的な国際管理のもとに一般軍縮から放出される資源を開発目的に利用して、とくに開発途上国の経済的、社会的進歩を促進する問題は、加盟国が長年にわたって討議してきた問題である。1987年には軍縮と開発との関係に関する国際会議が開かれた。総会は、軍縮・軍備制限条約を通して得られた資源の一部を経済社会開発に振り向け、開発先進国と開発途上国との格差を縮小させるよう国際社会に訴えた。

軍縮の地域的取り組み

国連は地域および小地域のレベルで行われる軍縮イニシアチブを支援し、域内の国家間の安全と信頼醸成措置を促進する。また、軍縮委員会が1993年に採択した軍縮の地域的取り組みのためのガイドラインや勧告を実施できるように支援する。地域の軍縮を進めるために、国連は政府機関や各種の取り決めと共同で作業を進めている。たとえば、アフリカ連合、欧州連合、欧州・大西洋パートナーシップ理事会(EAPC)、アラブ連盟、米州機構(OAS)、イスラム諸国会議機構(OIC)、欧州安全保障協力機構(OSCE)、南東欧安定協定などである。その他にも、国際、地域、ローカルの非政府組織などと協力する。

軍縮広報・教育活動

国連は「軍縮広報計画」の枠組みの中で多国間軍縮に関する広報、教育活動を行っている。そのために、出版物、特別行事、会議、セミナー、パネル・ディスカッション、展示会、軍縮問題に関する包括的なホームページなど、多様な活動を行っている。「国連軍縮フェローシップ計画」は総会が1978年に始めたもので、これまで160カ国の860人以上の担当官が研修を受けた。研修を受けた人々の多くは現在、それぞれの国で軍縮担当の地位についている。(軍縮に関する情報や教材については、https://www.un.org/disarmament/education/を参照のこと。)

軍縮におけるジェンダーの視点

この数年で戦争行為の様相が変わり、女性や女児が被害者として、また加害者として、ますます紛争の影響を受けるようになった。したがって、武器の回収と廃棄、地雷除去、事実調査の実施、また政策決定や和平プロセスへの参加など、軍縮のあらゆる側面にジェンダーの視点を取り入れることが重要である。国連はこのことを理解させることに努めている。たとえば、ジェンダーの視点から見た場合、小型武器の拡散はとくに女性にどのような影響を与え、その悪影響についてどのような措置が必要かについて、というような問題に取り組むことになるであろう。2000年10月、安全保障理事会は、画期的な決議1325(2000)を採択し、「軍縮、動員解除、社会への統合の企画に従事する者はすべて、女性および男性の元戦闘員のそれぞれのニーズを検討し、彼らの扶養家族のニーズを考慮するよう」奨励した。