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国際の平和と安全出典「国連の基礎知識」

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国際連合の主要な目的の一つは、国際の平和と安全を維持することである。創設以来、国連は何回となく紛争が戦争へと拡大するのを防ぎ、武力の行使に代えて交渉のテーブルへつくよう対立する当事者を説得し、紛争が始まるとその平和の回復に努めて来た。この数十年、国連は、しばしば安全保障理事会の行動を通して、数多くの紛争を終わらせることに成功してきた。安全保障理事会は、国際の平和と安全の問題に責任を持つ主要な機関である。しかし、安全保障理事会、総会、事務総長は平和と安全の促進において互いに大きな、相補的な役割を果たす。国連の活動は多岐にわたり、紛争予防、平和創造、平和維持、強制措置、平和構築など主要な領域を網羅している(www.un.org/peace)。こうしたタイプの活動は、重なり合う形で進めるか、もしくは同時進行の形で実施しなければ効果がない。

1990年代、冷戦の終焉とともに、グローバルな安全保障環境は一新した。国家間の戦争ではなく、国内紛争が注意を集めるようになった。21世紀に入って、新たなグローバルな脅威が出現した。同時に、内戦は国際社会の適切な対応について複雑な問題を提起した。たとえば、内戦において一般市民を保護する最善の方法とは何か、という問題である。2001年9月11日に米同時多発テロとそれに続くバリ(2002年)、マドリッド(2004年)、ロンドン(2005年)、そしてムンバイ(2008年)での残虐行為は、国際テロリズムの挑戦を如実に物語るものであった。それと並行して、その後の出来事によって、核兵器の拡散やその他の非通常兵器がもたらす危険に対しても懸念が高まり、それが世界の人々に暗い影を投げかけるようになった。

国連システムの各種機関は直ちにそれぞれの領域においてテロリスズムに対抗する行動を開始した。9月28日、安全保障理事会は、国連憲章の強制措置に関する規定のもとに、テロリズムへの財政支援を防ぎ、テロリスト支援のために資金を集めることを犯罪とし、かつテロリストの金融資産を直ちに凍結する幅広い内容の決議を採択した。同時にその実施を監視する反テロリスズム委員会を設置した。理事会はまた、アルカイダおよびタリバンの容疑の濃い指導者に対して制裁を課することも決めた。

国連はまた、これまで利用してきた道具を新しくし、その機能向上をはかった。平和維持活動が新しい挑戦に応えられるようにその能力を強化し、地域機関の関与を増大させた。また、紛争後の平和構築の能力を高め、予防外交の利用も復活させた。国内紛争に対処するために、安全保障理事会は、複雑かつ革新的な平和維持活動を承認してきた。こうしたことによって持続可能な平和の基礎を構築するための時間と空間が提供された。その結果、数十カ国の何百万もの人々が自由かつ公正な選挙に参加した。また、この十年間だけで50万人もの元戦闘員の武装解除を実現することができた。1948年以来、国連は紛争を終わらせ、和解を促進することに大きな役割を果たしてきた。 カンボジア、エルサルバドル、グアテマラ、リベリア、モザンビーク、ナミビア、シエラレオネ、タジキスタン、東ティモールへミッションが送られ、成功した。しかし、その他の紛争、たとえば1960年代早々のコンゴ民主共和国、ルワンダ、ソマリア、旧ユーゴスラビアでの紛争は、しばしば民族間の暴力を特徴とし、治安などの問題に対処する権力構造が国内に欠けていた。その結果、国連の平和創造と平和維持活動は新たな挑戦を突きつけられることになった。

国連平和維持活動の本来の役割は、1960年代の終わりに劇的に再確認されることになった。中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、コソボ、シエラレオネ、東ティモールで危機が続発し、安全保障理事会は5件のミッションを新たに設立しなければならなかった。平和維持活動の急増は2009-2010年に最高に達した。全世界に10万人以上の国連平和維持要員が展開された。近年、紛争の再発が続くことから、国連はこれまでにもまして平和の構築に力を入れるようになった。紛争管理の国家能力を強化して紛争へ発展し、または再発するリスクを軽減し、持続可能な平和と発展の基礎を築く努力である。経験からみて、恒久平和を創造するには、それぞれの国が経済開発、社会正義、人権の尊重、よい統治を育成できるようにあらゆる資源を活用しなければならない。

これらの任務を果たすにあたって、国連をおいてグローバルな正統性、多国間の経験、能力、調整力、公平さを備えた機関は他にない。コートジボアールやコンゴ民主共和国、ハイチ、リベリア、コソボのような国における複雑な活動に加え、国連は、アフガニスタン、ブルンジ、中央アフリカ共和国、ギニアビサウ、イラク、シエラレオネ、東ティモールなど、他の多くの国において特別政治ミッションや平和構築支援事務所を設置した。また、中央アジア、レバノン、中東、ネパール、ソマリア、西アフリカを対象に国連政治事務所が設けられている。

平和構築委員会は2006年に活動を開始した。国連の政府間諮問機関で、もっぱら国々が戦争から恒久平和へと移行するのを助けることを任務とする。そのために、平和構築に関連するあらゆる主体、すなわち国際援助国や国際金融機関、国民政府、部隊派遣国、市民社会代表を一堂に集め、紛争後の平和構築、復興のための統合戦略を提案し、初期復興活動のための予測されうる融資や持続可能な財政投資を確保できるように支援する。また、国際社会による支援を紛争後の復興にまで拡大し、政治、軍隊、人道、開発に関係する主体間の幅広い協力を必要とする問題について最善の慣行を発展させる。

「平和構築委員会」設立に関する総会と安全保障理事会の同時採択の決議は、「平和構築基金」(www.unpbf.org)と「平和構築支援事務所」(www.un.org/peace/peacebuilding)の設置も決めていた。2010年、「紛争下の性的暴力担当事務総長特別代表」のポストが作られた。これは、武力紛争時に民間人、とくに女性や子供に対するあらゆる性的暴力行為に対処し、非難することを目的に安全保障理事会が10年にわたって行ってきた努力の賜物であった。