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国際テロリズム出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/AP Photo

国連は、法律、政治の双方のレベルで、一貫してテロリズムの問題と取り組んできた。国連もまたテロリズムの目標となった。アフガニスタンからアルジェリアまで、イラクからパキスタンまで、国連の職員は職務中に、平和と人権、開発のために仕えて生命を失った。

国連とその関連機関――国際民間航空機関(ICAO)、国際海事機関(IMO)、国際原子力機関(IAEA)など――は、テロリズムに対する基本的な法律文書を構成する国際協定ネットワークを発展させてきた。たとえば、以下の通りである。

  • 航空機内において行われた犯罪その他の行為に関する条約(Convention on Offences and Certain Other Acts Committed on Board Aircraft)。1963年に東京で採択。
  • 航空機の不法な奪取の防止に関する条約(Convention for the Suppression of Unlawful Seizure of Aircraft)。1970年、ハーグ。
  • 民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(Convention for the Suppression of Unlawful Acts against the Safety of Civil Aviation)。1971年、モントリオール。
  • 外交官も含む国際的に保護される人々に対する犯罪の防止および処罰に関する条約(Convention on the Prevention and Punishment of Crimes against Internationally Protected Persons, including Diplomatic Agents)。1973年、ニューヨーク。
  • 核物質の防護に関する条約(Convention on the Physical Protection of Nuclear Material)。1980年、ウィーン。
  • 国際空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書(Protocol for the Suppression of Unlawful Acts of Violence at Airports Serving International Civil Aviation)。1998年、モントリオール。
  • 海上航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(Convention for the Suppression of Unlawful Acts against the Safety of Maritime Navigation)。1988年、ローマ。
  • 大陸棚上に位置する固定平底船の安全に対する不法行為の防止に関する議定書(Protocol for the Suppression of Unlawful Acts against the Safety of Fixed Platforms located on the Continental Shelf)。1988年、ローマ。
  • プラスチック爆薬探知に関する条約(Convention on the Marking of Plastic Explosives for the Purpose of Detection)。1991年、モントリオール。

総会は以下の5つの条約を作成した。

  • 人質をとる行為に関する国際条約(International Convention against the Taking of Hostage、1979年)―この条約のもとに、締約国は人質行為を適切な刑罰を持って処罰することに同意する。また、その領土内においてある種の活動を禁止し、情報を交換し、あらゆる刑事手続きもしくは犯罪人引渡しの手続きを可能にすることに同意する。締約国が容疑者を引き渡さないときは、その国は訴追のために当該事件を自国当局に付託しなければならない。
  • 国際連合要員および関連要員の安全に関する条約(Convention on the Safety of United Nations and Associated Personnel、1994年)-フィールドで働く国連要員に対する攻撃が多発し死傷者が出ていることから総会が1993年に採択した。
  • テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約(International Convention for the Suppression of Terrorist Bombings、1997年)-犯人引渡しを要求する国家に引渡しを行わない場合は、締約国が犯人を訴追する義務を負い、テロリスト爆撃の捜査の対象となった者たちに「安全な避難所」を提供しない。
  • テロリズム資金供与の防止に関する国際条約(International Convention for the Suppression of the Financing of Terrorism、1999年)-テロリスト活動に資金を提供したと起訴された人の訴追もしくは引渡しを締約国に義務づけ、同時に疑わしい取引を明らかにする措置をとるよう銀行に要請している。22カ国の批准で発効する。
  • 核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約(International Convention for the Suppression of Acts of Nuclear Terrorism 2005年)-テロリズム行為、目標、危機の情勢および危機後の情勢など、幅広く網羅している。また、共犯も含め、そうした行為に実行もしくは参加するとの威嚇および試みもカバーしている。条約は犯人の訴追もしくは引渡しを規定しており、2007年7月7日に発効した。

1994年、総会は「国際テロリズムに関する廃絶措置宣言(Declaration on Measures to Eliminate International Terrorism)を採択し、1996年には「1994年宣言補足宣言(Declaration to supplement the 1994 Declaration)」を採択し、どこで誰が行おうと、いかなるテロリズム行為や慣行も犯罪であり、正当化できないとして厳しく非難した。総会は、国際テロリズムを廃絶するために国、国際のレベルで対策を講じるよう各国に訴えた。総会が1996年に設置したアドホク委員会は、現在、既存の条約が取り残した部分を埋めるために、国際反テロリズムに関する包括的な条約に関する交渉を進めている。

アメリカで起こった9月11日の同時多発テロを受けて、安全保障理事会は、反テロリズム委員会(Counter-Terrorism Committee)(www.un.org/sc/ctc)を設置した。その任務の1つとして、委員会は、理事会決議1373(2001年)および1624(2005年)の実施状況を監視する。決議は加盟国にある種の義務を負わせたものである。その中には、実行への支援も含め、テロリズムに関連した活動の犯罪化、テロリストに対する資金供与や安全な隠れ家の提供の拒否、テロリスト・グループに関する情報の提供などが含まれる。

2006年、総会による全会一致の採択に続いて、「国連グローバル対テロ戦略(United Nations Global Counter-terrorism Strategy)(www.un.org/terrorism)が打ち上げられた。いかなる形態のテロも受け入れることも、正当化することもできないとの基本的な確信に基づいて、戦略は、国家、地域、国際のレベルでとるべきさまざまなテロ対策措置を概説している。2010年、2年ごとに行う「戦略」の第2回レビューで、総会は実施に対する加盟国の第一の責任を再確認した。

潘基文事務総長は、2010年9月に安全保障理事会で演説し、とくに「文明の同盟」に触れて、それは「過激主義と不寛容に対する国連の対応の中心的な部分で、テロリズム戦略の大きな部分を占める扇動と憎悪に立ち向かうために必要な国連の代弁者」であるとのべた。