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条約の下に設置された機関出典「国連の基礎知識」

海洋法条約のもとには、海洋法のさまざまな側面を取り扱う三つの機関が設けられている。国連は以下に述べる機関の最初の2機関と関係協定を結び、また3番目の機関については事務総長が事務局を提供している。

国際海底機構(International Seabed Authority)(www.isa.org.jm)を通して、締約国は、「国の管轄権以遠の海底並びに海床およびその底土層」と定義づけられた国際海底地域にある深海底鉱物資源に関係した活動を組織、管理する。1994年に発足し、ジャマイカのキングストンに置かれている。海底機構は、この鉱区における多金属性団塊(2000年、2013年に改定)、鉱区における多金属硫化物(2010年)、コバルト・リッチ・鉄マンガン・クラスト(2012年)の探査と開発に関する規則を採択した。最初の15年探査契約は2001年に署名された。現在までに、ISAは26の契約者と最初の15年探査契約を結んだ。深海鉱業を規制し、かつ鉱業活動の有害な影響から海洋環境を保護することに加え、ISAは海底域の評価を行い、国際海底域資源に関するデータベース(POLYDAT)を維持し、深海海洋環境の科学知識の状況について監視する。

国際海洋法裁判所(International Tribunal for the Law of the Sea)」(www.itlos.org)は、条約の解釈もしくは適用から生じる紛争を解決するために設立され、1996年に活動を開始した。締約国が選ぶ21人の裁判官から構成され、ドイツの海港ハンブルグに置かれている。2016年11月現在、およそ25件の紛争が裁判所に付託された。事件のいくつかは条約に違反して拿捕されたとする船員や船舶の早急な釈放を求めたものであった。その他の事件は生物資源の保存に関する事件(ニュージーランド対日本、オーストラリア対日本)、海洋環境の保護と保存(アイルラド対イギリス、マレーシア対シンガポール)、海上境界線画定(バングラデシュ対ミャンマー、ガーナ対コートジボアール)のような事件であった。裁判所はまた、2件の勧告的意見も求められた。

大陸棚の限界に関する委員会(Commission on the Limits of the Continental Shelf)(https://www.un.org/depts/los/clcs_new/clcs_home.htm)の目的は、沿岸国の陸地の海面下部分がその海岸線から200海里を超えて伸びている大陸棚の外側の限界を設定することに関して、海洋法条約の実施を支援することである。条約の第76条の下に、沿岸国は、特定の科学的、技術的基準が満たされた場合、大陸棚の外側の限界線を設定することができる。委員会の第1回会期は1997年に国連本部で開かれた。条約の締約国によって選ばれる21人の委員は個人の資格で務める。全員、地質学、地球物理学、水路学、測地学の専門家である。2016年11月現在、委員会は82件の申請を受け、26件の勧告を採択した。