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環境法出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/John Isaac

国連は国際環境法の先駆者としてその発達に積極的に取り組んできた。その仲介によって、これまで世界各地の環境保全に貢献した多くの主要な条約が生まれた。国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)(www.unep.org)は、こうした条約の多くを管理している。残りの条約は、条約によって設置された事務局など、別の機関によって管理されている。

  • 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地帯に関する条約(Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat)、1971年」は、その管轄権のもとにある湿地帯を賢明に利用することを締約国に義務付けている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は条約の普及を進めている。
  • 「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(Convention concerning the Protection of the World Cultural and Natural Heritage)、1972年」は、ユニークな自然遺産および文化遺産を保護する義務を締約国に与えている。同様にユネスコによって促進されている。
  • 「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)、1973年」は、特定の野生動植物が生存できるように、割り当てや全面禁止を通してその種もしくは標本の国際取引を規制する。
  • 「移動性の野生動物種の保護に関するボン条約(Bonn Convention on the Conservation of Migratory Species of Wild Animals)、1979年」とそれと結びついた一連の地域協定や特定の動物種に関する協定は移動性の陸生動物類、海洋動物類、鳥類とその生息地を保存することを目的としている。
  • 「長距離越境大気汚染に関する条約(酸性雨条約)(Convention on Long-range Transboundary Air Pollution: Acid Rain Convention)、1979年」とその諸議定書は、国連ヨーロッパ経済委員会(ECE)の主催のもとに交渉されたもので、ヨーロッパおよび北米での大気汚染を規制し、かつ軽減させることを規定している。
  • 「海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)、1982年」は、多くの海事問題について包括的に規定している。それには商船および軍艦の通航の権利、沿岸国の保護と海洋環境、生物資源および非生物資源への権利、海洋の科学的研究などが含まれる。
  • 「オゾン層の保護に関するウィーン条約(Vienna Convention on the Ozone Layer)、1985年」、「モントリオール議定書(Montreal Protocol)、1987年」およびその改正(Amendments)は、太陽の有害な紫外線から生命を守るオゾン層の破壊を減少させる措置を求めている。
  • 「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約(Basel Convention on the Control of Transboundary Movement of Hazardous Wastes and their Disposal)、1989年」とその改正は、国境を越えて危険な廃棄物を運搬、投棄することを減らし、有害廃棄物の発生を最小限に抑え、できるだけ発生源に近いところで環境上適正な方法で管理することを締約国に義務付けている。締約国は1999年に議定書を採択し、有害廃棄物の国境を越えた移動から生じる責任と補償を決めた。
  • 「バルト海および北海の小型鯨類の保存に関する協定(Agreement on the Conservation of Small Cetaceans of the Baltic and North Seas)、1991年」は、移動性動物種に関する条約のもとに締結されたもので、小型鯨類の好ましい保存状態を達成、維持するために締約国間の緊密な協力を促進することを目的とする。締約国は、生息地の保存と管理、調査と研究、汚染の削減、広報活動を行う義務を有する。
  • 生物の多様性に関する条約(Convention on Biological Diversity、1992年)は、生物の多様性を保存し、その構成要素の持続可能な利用を促進し、かつ遺伝資源の利用から生じる利益が公平に配分されるようにする。その「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety)、2000年」は、現代のバイオ技術による遺伝子組み換え生物(LMOs)がもたらすかもしれない危機から生物の多様性を保護する目的をもつ。議定書は、意図的に環境に持ち込まれるLMOの最初の輸入に同意する前に、情報に基づく決定を行えるように、事前に書面による通告と情報を提供する通報手続きを定めている。
  • 「気候変動に関する枠組み条約(Framework Convention on Climate Change)、1992年」は、地球の温暖化とその他の大気問題の原因となる温室効果ガスの排出量を削減することを締約国に義務付けている。その京都議定書(Kyoto Protocol、1997年)は、気候変動に対する国際的な対応を強化し、2008-2012年の間に法的に拘束力のある排出目標を達成するよう先進工業国に要請している。議定書はまた、先進工業国がいかにしてその排出削減を行い、測定するかについて柔軟な取り組みを認めるいくつかの機構を設けている。
  • 「深刻な干ばつまたは砂漠化に直面している国(とくにアフリカの国)における砂漠化防止のための国際連合条約(United Nations Convention to Combat Desertification in Those Countries Experiencing Serious Drought and/or Desertification, Particularly in Africa)、1994年」は、砂漠化防止と干ばつの影響を緩和させる国際協力を促進する。
  • 「黒海、地中海および接続大西洋海域における鯨類の保存に関する協定(Agreement on the Conservation of Cetaceans in the Black Sea, Mediterranean Sea and Contiguous Atlantic Area)、1996年」は、地中海や黒海における鯨類に対する脅威を軽減することを目的としている。締約国は、計画的な捕鯨を禁止する立法措置など、具体的な鯨類保存計画を実施し、偶発的な捕鯨を最低限にし、保護海域を設けることが求められている。
  • 「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質および駆除剤についての事前の情報に基づく同意の手続きに関するロッテルダム条約(Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade)、1998年」は、有害な化学物質もしくは駆除剤が健康および環境に及ぼす危険についての情報を輸入国へ提供することをその物質の輸出国に義務づけている。
  • 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)、2001年」は、DDTやPCB、ダイオキシンなど、ある種の高度に有害で、かつ高度に移動性があって、食糧連鎖に蓄積するような駆除剤、工業用化学物資、副産物の排出量を削減もしくは排除することを目的としている。
  • 「戦略的環境アセスメントに関するキエフ議定書(Kyiv Protocol on Strategic Environmental Assessment)、2003年」は、計画案やプログラム案の環境上の影響を評価するよう加入国に要請している。