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人権の促進と擁護出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/Rick Bajornas

人権の促進と擁護に関する国連の役割と範囲は、現在も拡大を続けている。その中心的な任務は、国連憲章がその名のもとに書かれている「連合国の人民」の尊厳が十分に尊重されるようにすることである。

国連にとって教育は基本的な人権であり、人権促進のためのもっとも効果的な道具の1つである。人権教育は、公式、非公式の場を問わず、革新的な教授法や知識の普及、態度の修正を通して普遍的な人権の文化を助長することを目的とする。たとえば、「国連人権教育の10年、1995‒2004年(United Nations Decade for Human Rights Education, 1995-2004)」では、人権に関するグローバルな認識を高め、普遍的な人権の文化を育成するための特別の努力が行われた。この十年を通して、多くの国は学校のカリキュラムの中に人権問題を取り入れ、また全国的な行動計画を採択するなどして、人権教育の促進をはかった。

国際連合は、その国際的な機構を通して、以下のような多くの前線で活動を続けている。

  • グローバルな良心として――国連は各国によって受け入れられる行動の国際基準を確立する場を設定し、人権基準を損ねかねない慣行に国際社会の注意を喚起してきた。そして総会は、広範な宣言や条約を通して、人権の原則の普遍性を強調してきた。
  • 立法者として――国連はこれまで例を見ないほど多くの国際法の法典化の推進力となってきた。女子、子ども、受刑者、被拘留者、精神的障害者に関係する人権、それにジェノサイドや人種差別、拷問のような人権侵害が、今や国際法の主要な特徴となっている。これまでの国際法は、わずかな例外を除いて、ほとんどが国家間の関係に関するものであった。
  • 監視者として――国連は、単に人権の定義を行うだけではなく、それが実際に擁護されるようにする活動で中心的な役割を果たす。「市民的、政治的権利に関する国際規約」と「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」(双方とも1966年に採択)は、締約国がいかにしてその公約を果たしているかを監視する権限を国際機関に与えた最初の条約例である。条約によって設置された機関や特別報告者、人権理事会の作業グループは、それぞれ国際規準の順守を監視し、かつ人権侵害の申し立てを調査する手続きや機構を持っている。特定の事件に関するこれらの機関の決定は道徳的な重さを持つもので、それに公然と反抗する政府はほとんどいない。
  • 組織の中枢として――人権高等弁務官事務所(OHCHR)は人権侵害を訴える通報を団体や個人から受け取る。その数は年に平均しておよそ10万件以上にも及ぶ。OHCHRは、条約や決議によって確立された実施手続きを考慮に入れて、これらの通報を国連の適切な機関や機構に付託する。緊急の介入が必要な場合は、ファックス(番号:41-22-917-9022)もしくはE-mail(tb-petitions.hchr@unog.ch)で通報することができる。
  • 擁護者として――特別報告者もしくは作業ループの議長が重大な人権侵害、たとえば拷問もしくは裁判手続きに基づかない刑の執行が起こりそうだとの通報を受けた場合、彼もしくは彼女はまず関係国へ緊急メッセージを送って説明を求め、かつ人権侵害を主張する被害者の権利を保証するよう訴える。
  • 調査研究員として――国連は人権法の発達と適用にとって不可欠なデータを編纂する。国連の諸機関の要請のもとにOHCHRが作成した研究や報告は、人権の尊重を高める新しい政策や慣行、機構を示している。
  • アピールの場として――「市民的、政治的権利に関する国際規約の第一選択議定書」、それに「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」、「拷問禁止条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書」、「障害者の権利に関する条約の選択議定書」、「強制失踪からのすべての者の保護のための国際条約」の規定のもとに、利用しうるすべての国内救済手段を尽くした個人は、アピールの手続きを受諾した国家に対して人権侵害の申し立てを行うことができる。「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約の選択議定書」が将来発効すると、同じようなことが可能となる。「子どもに権利に関する条約」の選択議定書は現在交渉中である。さらに、人権理事会の特別手続きは、NGOもしくは個人が提出する申し立てを取り扱っている。
  • 事実調査員として――人権理事会はある種の人権侵害事件や特定の国における人権侵害を監視し、報告する制度を設けている。この政治的に微妙であり、かつ人道的な、そして時には危険を伴う任務を負わされているのが、特別報告者もしくは特別代表、作業グループである。彼らは事実を集め、現地グループや政府当局と連絡を取り、政府の許可が得られれば現場を訪問し、いかにして人権の尊重を強化するかについて勧告する。
  • 慎重な外交官として――事務総長と人権高等弁務官は被拘禁者の釈放や死刑の減刑、その他の問題など、人権に関する懸念を内密の扱いで加盟国に伝える。重大な人権侵害を防止するため人権理事会が人権状況に介入し、もしくはその状況を調査する専門家を派遣するよう事務総長に要請することもある。事務総長はその「あっせん」のなかでそうした静かな外交を進め、国連の正当な懸念を伝えて人権侵害の中止を求める。