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人権理事会出典「国連の基礎知識」

人権理事会(Human Rights Council)(www.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil)は、人権と基本的自由の促進と擁護に責任を持つ国連の主要な政府間機関である。理事会は、60年間にわたって活動してきた「人権委員会(Commission on Human Rights)」に代わる機関として2006年に総会によって設置された。理事会は人権侵害に取り組み、それに対応する勧告を行う。理事会は人権の緊急事態に対処し、人権侵害を防止し、総合的な政策ガイダンスを提供し、新しい国際規範を発展させ、世界のいたるところで人権順守を監視し、加盟国が人権に関する義務を果たせるように支援する。また、人権についての関心事項について発言する場を国家(加盟国やオブザーバー国)や政府間組織、国内の人権機関、NGOsに提供する。

人権理事会の47理事国は、総会が秘密投票によって直接かつ個々に選出する。総会の192票の過半数を得なければならない。任期は3年で再選は可能であるが、連続して2期以上は務めることができない。理事国は公平な地理的配分に基づいて選出される。アフリカ・グループとアジア・グループがそれぞれ13議席、ラテンアメリカとカリブ海域が8議席、西欧およびその他が7議席、東欧が6議席である。

すべての理事国は、人権の促進と擁護で最高の基準を掲げ、理事会と全面的に協力しなければならない。理事国は、自らが施行しようとする基準を守っているかを証明するために、国連の192全加盟国による世界共通の定期的な審査を受ける。重大かつ組織的な人権侵害があれば、総会の出席し、投票する加盟国の3分の2の投票によって理事国としての資格が停止となる。

理事会は年間を通じ定期的に開かれる。10週間以上の会期を年に最低3回は開催する。さらに、理事国の3分の1の支持を得た1理事国によって、特別会期をいつでも開催できる。2010年、2回の特別理事会が開かれた。1回は、1月の巨大地震に続いてハイチの復興を支援するために開かれ、他は11月の大統領選挙に続くコートジボアールの人権状況に取り上げるためであった。

人権理事会のもっとも革新的な特徴は、「普遍的・定期的レビュー」である。このユニークな制度には、国連の192全加盟国の人権記録を4年ごとに審査することが含まれている。レビューは、理事会の主催のもとに、共同の、政府主導のプロセスである。理事会は、各国が自国の人権状況を改善し、かつ国際の義務を果たすために採った措置および今後対処すべき課題についての報告書を提出する機会を提供する。レビューはすべての国の扱いの普遍性と平等を確保するためのものである。

理事会は必要に応じて広範にわたる専門家グループや作業グループの独立性や専門的知識を活用する。理事会は、人権侵害の申し立てを調査するために事実調査団を派遣し、国家に支援を提供し、必要な改善を行い、かつ侵害を非難するために政府との対話を行う。その苦情手続きを通して、理事会は個人、グループまたはNGOsによる重大かつ組織的な人権侵害の申し立てを取り上げる。

人権理事会の作業は、また、諮問委員会(Advisory Committee)の支援を受ける。委員会は18人の専門家からなり、理事会のシンクタンクとしての役割を務める。行方不明者、食糧の権利、ハンセン病に関連した差別、人権に関する教育と研修のような人権問題に関して専門知識と助言を理事会に提供する。その任務の実施に当たっては、国家、政府間機関、国内の人権機関、NGOs、その他の市民社会の主体と互いに協力する。

特別報告者と作業グループ

人権に関する特別報告者と作業グループは人権擁護の最前線に立っている。(www2.ohchr.org/English/bodies/chr/special/index.htm)。人権侵害を調査し、「特別手続き」に従って個々のケースや緊急事態に介入する。人権専門家は独立している。個人の資格で務め、任期は最高6年であるが、報酬は受けない。そうした専門家の数は年々増えている。2010年末現在、31人のテーマ別、8人の国別の特別手続きの専門家がいる。

人権理事会と国連総会へ宛てた報告書を作成するに当たって、これらの専門家は個人からの苦情やNGOからの情報も含め、信頼にたるあらゆる情報を利用する。また、最高のレベルで政府に仲裁を求める「緊急行動手続き」を実施する。多くの調査研究は現地で行われる。当局と被害者の双方に会い、現場での証拠を集める。報告は公表され、それによって人権侵害が広く報じられ、かつ人権擁護に対する政府の責任が強調されることになる。

これらの専門家は、特定の国における人権状況や世界的な人権侵害について調査し、監視し、公表する。

  • 特定の国に関する特別報告者、独立した専門家、代表は、現在、ブルンジ、カンボジア、朝鮮民主主義人民共和国、コンゴ民主共和国、ハイチ、ミャンマー、1967年以来のパレスチナの被占領地、ソマリア、スーダンに関して報告する。
  • テーマ別特別報告者、代表、作業グループは現在、適切な住居、アフリカ系の人々、恣意的拘束、子どもの売買、文化的権利、教育、強制的もしくは不本意な失踪、略式裁判による刑の執行、極度の貧困、食糧の権利、対外債務の人権への影響、意見および表現の自由、宗教もしくは信条の自由、身体的および精神的健康、人権の擁護者、司法の独立、先住民族、国内避難民、外国人傭兵、移住者、少数者問題、人種主義と人種差別、奴隷制度、連帯と人権、テロリズム、拷問、有害かつ危険な製品や廃棄物の違法移動および投棄、人身売買、多国籍企業、水と衛生、女性に対する暴力などの問題について報告する。

技術協力計画

人権がもっとも良く擁護されるのはそれが地域の文化に根ざしたときである。このことから、国連は国、地域のレベルで人権を促進かつ擁護する努力を強化している。国際的な人権規範が国家の立法措置に反映され、国内機関によって支援されない限り、そうした規範が普遍的に受け入れられない。

国レベルでの多くの障害によって人権の普遍的な享受が依然として阻まれている。インフラ不備のために自国民の人権を効果的に促進かつ擁護することができない加盟国もある。こうしたことはとくに悲惨な内戦からまさに立ちあがろうとしている国、人道的危機から抜け出そうとしている国に多い。

加盟国政府に対する国連の諮問サービスと技術協力計画は、民主主義、開発、人権を促進し、かつ国内の法律や慣行に人権を取り入れることができるように、国家の能力を育成することを目的としている。 「人権のための技術協力計画(Programme of Technical Cooperation for Human Rights)」は、人権高等弁務官事務所の監督のもとに幅広いプロジェクトを管理している。その費用はおもに「人権分野における技術協力のための任意基金」からの資金でまかなわれる(www2.ohchr.org/English/about/funds/coop)。

技術協力計画は、国際人権文書の批准を奨励し、その実施を支援する。その中核となる領域が4つある。司法の運営、人権教育、国内制度、国内行動計画である。また、経済的、社会的、文化的権利、発展の権利、人種主義、先住民族の権利、女性と子どもの売買、女性の権利、そして子どもの権利などに特別の注意が払われている。

人権高等弁務官事務所(OHCHR)は地域戦略を進め、それを通して政府間協力を育成し、経験を共有し、共通の政策やプログラムを発展させるようにしている。OHCHRの地域事務所は、国レベルの要求に応えるリソース・センターとなっている。国連の改革計画は人権を国連システムの活動の分野横断的な要素だと見なしているが、OHCHRはその国連改革の線に沿って人権の基準を評価やプランニング、政策や方法論の開発に統合することも支援している。