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その他の条約出典「国連の基礎知識」

世界人権宣言(www2.ohchr.org/English/law/index.htm#instruments)に触発されて広範な問題についておよそ80件の条約や宣言が国連の枠組みの中で締結された。こうした条約の中で最初に結ばれたのが「集団殺害罪に関する条約」と「難民の地位に関する条約」である。世界はまさに第2次世界大戦の恐怖、ホロコースト、家を失った何百万人という人々の問題からまさに抜け出そうとしていた時であった。これらの条約は今世紀に入ってもその意義は変わらない。

  • 「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide、1948年)」は、第2次世界大戦中の残虐行為に対する直接の対応として採択されたもので、集団殺害罪は、国民的、人種的、民族的、または宗教的な集団を破壊する意図を持って行われる行為であると定義付け、それを犯した者は法に照らして処罰することを国家に義務付ける。141カ国が加入している。
  • 「難民の地位に関する条約(Convention Relating to the Status of Refugees、1951年)」は、難民の権利、とくに迫害の恐れのある国へ強制的に送還されない権利を定めており、また労働、教育、公的援助よび社会保障の権利や旅行文書の権利など、日常生活のいろいろな側面について規定している。「難民の地位に関する議定書(Protocol Relating to the Status of Refugees、1967年)」は、条約は本来第2次世界大戦による難民を対象にしたものであったが、この議定書によって条約の適用は普遍的なものになり、戦後に生じた難民にも適用されるようになった。2010年末現在で、条約および議定書の締約国はともに147カ国であった。

前述の2つの規約と並行して、さらに7つのいわゆる「核」となる人権条約(www2.ohchr.org/English/law/index.htm#core)についても、締約国の順守状況は監視を受ける。以下に述べる条約はそれぞれ専門家委員会を設置している。一般に「条約機関」と呼ばれるもので、締約国が条約の規定を順守しているかをモニターする。これらの条約のいくつかは、特定の関心事項を扱う選択議定書によって捕足される。たとえば、人権侵害の犠牲者だと信じる個人は苦情を申し立てる可能性のような問題である。

  • 「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(InternationalConvention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination、1966年)」は、締約国の数は174カ国がある。人種的相違に基づくいかなる人種的優越の政策も正当化されることはなく、科学的に誤りであり、道徳的および法律的に非難すべきものであるとの前文で始まり、「人種差別」についての定義を行い、法律および慣行の双方においてそうした差別を撤廃する措置を締約国に義務付けている。条約のもとに監視機関、人種差別撤廃委員会(Committee on the Elimination of Racial Discrimination)が設置されており、締約国からの報告を審議し、また締約国が条約の選択手続きを受諾している場合は、条約の侵害を主張する個人からの請願も審議する。
  • 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women、1979年)」の締約国数は186カ国で、法の前における女性の平等を保証し、政治的・公的活動、国籍、教育、雇用、保健、結婚、家族における女性への差別を撤廃する措置を規定している。女子差別撤廃委員会(Committee on the Elimination of Discrimination against Women)は条約機関で、実施状況を監視し、締約国からの報告を検討する。条約の選択議定書(Optional Protocol、1999年)は、個人が条約侵害についての申し立てを委員会に提出することを認めている。100カ国が加入している。
  • 「拷問およびその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約(Convention against Torture and Other Inhuman or Degrading Treatment or Punishment、1984年)」は、締約国の数は147カ国で、拷問は国際的犯罪であると定義し、締約国は拷問防止に責任を持つと主張し、犯罪実行者を処罰することを締約国に求めている。拷問を正当化するいかなる例外も認めず、また命令による行為であったとする拷問者の弁解は認めない。条約のモニタリングを行う条約機関は拷問禁止委員会(Committee against Torture)である。締約国からの報告を検討し、その手続きを受けいれている国の個人からの請願を審議し、また拷問の慣行が深刻かつ制度化されていると信じる国に関して調査を行う。条約の選択議定書(2002年)によって「防止小委員会」が設置された。委員会は、国内の防止機関との協力で、国内の抑留場所を査察する。議定書はまた、国内に防止機構を設立することも規定している。57カ国が加入している。
  • 「子どもの権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child、1989年)」は、子どもの特別の脆弱性を認めている。あらゆるカテゴリーの人権の中における子どもの擁護を一つの包括的な法典の中にまとめている。条約は差別のないことを保証し、子どもにとって最善の利益がすべての行動の指針とならなければならないと述べている。難民の子どもまたは少数者の一員である子どもに特別の注意が払われている。締約国は子どもの生存、発展、保護および参加を保障しなければならない。条約はもっとも広く批准されており、193カ国が加入している。条約によって設置された子どもの権利委員会(Committee on the Rights of the Child)は条約の実施状況を監視し、締約国が提出する報告を検討する。条約には2つの選択議定書があり、1つは武力紛争における子供の関与に関するもので、もう1つは子どもの売買や売春、ポルノに関するものである。
  • 「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約(International Convention on the Protection of the Rights of All Migrant Workers and Members of Their Families、1990年)」は、移住のプロセスを通して、合法もしくは非合法を問わず、移住労働者の基本的権利の定義を行い、かつ彼らを保護する措置について規定している。条約は2003年に発効し、44カ国が加入している。そのモニタリングを行う条約機関は、移住労働者委員会(Committee on Migrant Workers)である。
  • 「障害者の権利に関する条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)、2006年」は、雇用、教育、保健サービス、運輸、司法へのアクセスなど、生活のすべての領域において世界の6億5,000万人の障害者に対する差別を非合法だとして禁止する。2008年に発効し、96カ国が加入している。モニタリングを行う機関は障害者の権利委員会(Committee on rights of Persons with Disabilities)である。条約の選択議定書は、個人が、すべての国内救済措置を尽くした場合にはその委員会に訴えることができるとしている。2010年末現在で、締約国の数は60カ国であった。
  • 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(International Convention for the Protection of All Persons from Enforced Disappearances)、2006年」は、強制失踪の慣行を禁止し、かつそうした行為を国内法のもとに犯罪とするよう締約国に求めている。また、強制失踪行為の犠牲者および家族は失踪の状況と失踪者の消息を知り、かつ補償を請求する権利を有することを確認している。2010年に発効し、その年末現在で、加盟国の数は21カ国であった。

世界人権宣言やその他の国連文書はまた、「欧州人権条約(European Convention on Human Rights)」、「米州人権条約(American Convention on Human Rights)」、「人および人民の権利に関するアフリカ憲章(African Charter of Human and Peoples Rights)」など、いくつかの地域的な人権協定の成立にも貢献した。