• プリント

LGBT

discrimination_en_header

性的指向と性同一性を理由とする差別との闘い

「性的指向や性同一性は、扱いが難しい、微妙な問題であると言う人たちがいます。その気持ちはわかります。実際、私も若い頃、成長する過程で、同世代の多くの人たちと同じく、そうした問題について話しをしたことはありませんでした。しかし、私は声をあげることを学びました。それは生命にかかわる問題だからです。あらゆる場所で、あらゆる人の権利を守ることが、国連憲章と世界人権宣言によって私たちに課された責務だからです」
—潘基文国連事務総長の演説(人権理事会で、2012年3月7日)

 

Equality同性愛者や性同一性障害者に対する根深い差別的態度に、しばしば性的指向や性同一性を理由とする差別に対する法的保護の欠如が加わり、多くの同性愛者や両性愛者、トランス・ジェンダーの人々(LGBT=lesbian, gay, bisexual and transgender)は年齢や地域に関係なく、世界各地で甚だしい人権侵害を受けています。こうした人々は労働市場でも、学校や病院でも差別されているばかりか、自分たちの家族からも虐待されたり、家族の縁を切られたりしています。殴打や性的暴行、拷問や殺人など、身体攻撃の標的にもされています。およそ76カ国において、個人の同意に基づく同性愛が差別的な法律で犯罪と定められ、個人が逮捕や迫害、投獄され、さらに少なくとも5カ国では死刑判決さえ受けかねない状況に置かれています。

これらの人権侵害、および、これに関連する人権侵害に対する懸念は1990年代初頭以来、国連の人権機構によって繰り返し表明されてきました。こうした機構とは、国際人権条約の遵守状況を監視するために設置された条約機関のほか、人権理事会によって任命され、喫緊の人権課題に関する調査と報告を行う特別報告者や独立専門家などです。

SGSpeechナビ・ピレイ国連人権高等弁務官と潘基文・国連事務総長も、同様の懸念を表明しています。事務総長は2010年12月、ニューヨークでLGBTの平等に関する演説を行い、世界各国での同性愛の犯罪指定解除のほか、LGBTの人々に対する暴力や差別に取り組む措置を求めました。「私たちは良識ある男女として、差別全般、特に性的指向や性同一性に基づく差別を拒絶します。文化的な意識と普遍的人権の間に緊張がある場合には、人権を優先させなければなりません」と事務総長は述べました。

LGBTの人々を暴力や差別から守るために、あらたに、LGBT固有の権利を創ったり、国際人権基準を確立したりする必要はありません。LGBTの人々の人権を擁護する各国の法的義務は、世界人権宣言とその後に合意された国際人権条約に基づく国際人権法で、しっかりと確立されているからです。性別や性的指向、性同一性にかかわらず、すべての人々は、生存権、身体の安全とプライバシー、拷問や恣意的な逮捕、拘束を受けない権利、表現、結社および平和的集会の自由権に関するものを含め、国際人権法が定める保護を受ける資格があります。

LGBTの人々の人権保護に関する各国の主な法的義務には、下記が含まれています。

  • 同性愛者や性同一性障害者を標的とする暴力から個人を守ること
  • 拷問や残虐な、非人道的な、および品位を傷つける取り扱いを防止すること
  • 同性愛を犯罪とする法律を撤廃すること
  • 性的指向や性同一性に基づく差別を禁じること
  • すべてのLGBTの人々に表現の自由、結社の自由および平和的集会の自由を保障すること

この関連で適用される国際人権基準についてさらに詳しくは、2012年9月に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が発行した冊子をご覧ください。この冊子はここから閲覧できます。

最近の前進

IndiaTransPride多くの国々が近年、LGBTの人々の人権保護を強化するため、断固とした取り組みを展開しています。差別を禁止したり、同性愛者に対する憎悪犯罪に罰則を科したり、同性愛を正式に承認したり、トランス・ジェンダーの人々が自ら指向する性別を反映する公式文書を入手しやすくしたりする法律を含め、数々の新法が採択されています。警察や看守、教員、ソーシャル・ワーカーその他の職員を対象とする研修プログラムも策定されているほか、多くの学校では、いじめ防止の取り組みも行われています。

政府間レベルでも、LGBTの問題にかつてない関心が注がれています。人権理事会は2011年6月、性的指向と性同一性に関するものとしては初の国連決議となる決議17/19(A/HRC/RES/17/19)を採択し、個人の性的指向や性同一性を理由とする暴力や差別に対する「由々しき懸念」を表明しました。この決議の採択がきっかけとなり、OHCHRはこの問題に関する初の正式な国連報告書(A/HRC/19/41)を作成しました。この報告書の内容は、2012年3月に人権委員会で行われたパネル・ディスカッションのたたき台にもなりました。国連の政府間機関がこの問題を正式に討論するのは、これが初めてのことでした。

国連人権高等弁務官事務所の活動

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は各国政府、国内人権機関および市民社会と連携し、同性愛の全世界的な犯罪指定解除と、性的指向や性同一性を理由とする暴力と差別から人々を守るためのさらなる措置の実現に努めています。以下のような活動が計画されています。

  • 政府との対話において、非公式に懸念を表明し、改革に向けた提言を出すこと
  • OHCHR現地事務所による報告書の作成を含め、LGBTの人々に影響する人権侵害のパターンを監視し、これを明るみに出すこと
  • 演説や声明、新聞記事、ビデオ・メッセージその他各種の資料配布によるものを含め、犯罪指定の解除その他、LGBTの人々の人権保護強化に必要な措置を公に主張すること
  • 国連パートナーとの連携により、同性愛への嫌悪やLGBTの人々に対する敵意を動機とする暴力に対処することを目的に、各種の広報および関連の教育活動を実施すること
  • 事実関係調査活動や政府との極秘情報交換の関連で、特別手続きを支援すること
  • 人権条約機関を支援すること(その多くは、これまでの一般的コメントや結論的所見で性的指向に関連する差別の問題に取り組むとともに、この点に関する国際条約上の義務を遵守するために、各国が踏むべきステップを引き続き強調しているため)
  • LGBTの人々の権利に関する懸念をはっきりと表明し、提言を策定するためのフォーラムとなっている普遍的・定期的レビューを支援すること

ナビ・ピレイ人権高等弁務官は2013年7月26日、同性愛者や性同一性障害者に対する暴力と差別の問題に関する認識を高め、世界各地でLGBTの人々の権利尊重をさらに推進するため、1年間にわたる広報キャンペーンをスタートさせました。キャンペーン資料は専用のウェブサイト(www.unfe.org)でご覧になれます。キャンペーンの様子はフェイスブック(facebook.com/free.equal)やツイッター(@free_equal)でもフォローできます。

LGBTの人権に関する国連の活動は、OHCHRのニューヨーク事務所が調整を行っています。

メールアドレス:LGBTHumanRights@un.org