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難民の保護と支援出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/UNHCR/Alexis Duclos

2012年、国連難民高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Refugees: UNHCR)(www.unhcr.org)によると、世界で強制的に避難を余儀なくされた人は4,250万人を数えた。この中には2,640万人の国内避難民(IDPs)、1,520万人の難民、89万5000人の庇護を求める人々が含まれる。UNHCRは64カ国に住むおよそ350万人の無国籍者の身元を明らかにした。しかし、世界の無国籍者の総数はもっと高く、1,200万人前後に達すると推定される。

2011年末現在で、2,600万以上の人々がUNHCRから保護もしくは援助を受けていた。そのうちの1,040万人が難民で、1,550万人が国内避難民であった。2010年に比べ70万人も多かった。さらに480万人のパレスチナ難民が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)から援助を受けていた。

1,040万人の難民のうち、アジア太平洋地域には360万人の難民、アフリカ(北アフリカを除く)には270万人、中東および北アフリカ(UNRWAが援助するパレスチナ難民は含まない)には170万人、ヨーロッパには160万人、南北両アメリカには80万7400人の難民が住んでいた。開発途上国が世界の難民の5分の4を受け入れている。女性と女児は、平均して、UNHCRが支援する人々の49パーセントを占める。彼女たちは難民と庇護を求める人々の47パーセントを占め、国内避難民と帰還者(元難民)の総数の半数を占める。難民と庇護を求める人の41パーセントは18歳未満の子どもたちである。

2011年現在で、アフガニスタンを出生国とする難民がもっとも多く、270万人近くの難民が79カ国に住んでいる。平均して、世界の難民のうちの4人に1人がアフガニスタンからの難民である。2011年末現在で、主な難民人口はパレスチナ難民(480万人)、イラク難民(140万人)、ソマリア難民(100万人)、南スーダンの何人かの市民も含めたスーダン難民(50万人)、コンゴ難民(49万1500人)、ミヤンマー難民(41万5000人)、コロンビア難民(39万6000人)であった。2013年7月現在、UNHCRとそのパートナーはシリアの暴力的紛争から逃れた180万人以上の難民のニーズに取り組んでいる。

UNHCRは戦後の歴史の中で発生した重大な緊急事態のいくつかにおいて主導的な人道機関の1つであった。たとえば、第二次世界大戦後のヨーロッパでは最大の難民を生み出したバルカンで、湾岸戦争の余波の中で、アフリカの太湖地域で、コソボや東ティモールからの大量出国において、アフガニスタンの帰還作戦において、そしてより最近ではイラクやソマリアの南部や中部からの難民の集団脱出において、UNHCRは常に主導的な人道機関としての役割を果たした。

難民とは、人種、宗教、国籍、政治的意見もしくは特定の社会的集団の構成員であることを理由に迫害の恐れのあるという十分な理由のある恐怖を有するために自国からのがれ、かつ自国へ帰ることができず、またそれを望まない者であると定義されている。難民の法的地位は2つの国際条約、すなわち1951年の「難民の地位に関する条約(Convention relating to the Status of Refugees)」と1967年の「議定書(Protocol)」によって定義づけられている。難民の権利や義務も規定されている。147カ国が条約と議定書のいずれか、もしくは双方に加入している。

UNHCRのもっとも重要な任務は難民の国際保護である。庇護を求めることができることなど、難民の基本的な人権が尊重されるようにし、かついかなる者も迫害を恐れる理由のある国へ不本意に送還させられることがないようにする。その他、以下のような支援を行う。

  • 大量の難民の移動を含む大規模な緊急事態の際の支援
  • 教育、保健、住居のような分野における通常の支援
  • 難民の自立とホスト国への統合を促進する支援
  • 自発的な帰還
  • 自国へ帰還できない難民で、最初に庇護を求めた国で保護の問題に直面している難民のための第三国での再定住

難民問題の恒久的解決を図る努力を強化したことによって、53万2000人の難民が自発的に本国へ帰還した。2010年の数の2倍以上である。しかし、この10年間で自発的に帰還した難民の数としては3番目に低い数である。難民問題の3つの主要な恒久的解決法は、1)安全かつ尊厳をもって母国へ自発的に帰還すること、2)可能ならば、庇護を受けている国へ統合すること、3)第三国へ再定住すること。自発的な帰還は、一般に好ましい選択肢だと見なされている。しかし、多数の人々が突然に帰還すれば、脆弱な経済社会基盤は早急に対応できなくなる。帰還難民が帰国後に自分たちの生活を再建できるようにするために、UNHCRは様々な機関とともに、社会への再統合をはかっている。このためには、必要としている人々に対する緊急支援、荒廃してしまった地域のための開発計画、そして雇用創出が必要である。平和、安定、安全保障、人権尊重、持続可能な開発、こうしたことすべてを効果的に結びつけることが難民問題の恒久的な解決に不可欠である。

UNHCRの任務は難民を保護かつ支援することであるが、難民と同じような状況のもとで生活するより広範囲の人々を援助するよう求められることがますます多くなった。たとえば、自国内で避難している人々、帰還した後にUNHCRのモニタリングと援助を必要とするような元難民、無国籍者、自国外で一時的な保護を受けるが難民としての完全な法的地位に当てはまらない人々である。現在、難民は、UNHCRが支援の対象としている人々の中では国内避難民に次いで2番目に大きいグループである。国内避難民とは、戦争、一般的暴力、人権侵害、自然もしくは人為の災害から逃れるために故郷を離れなければならなかったが国境を越えなかった人々である。2011年にはおよそ320万人の避難民が故郷へ帰ることができた。これは過去10年以上の期間において最高の数である。

庇護を求める人々とは自国を出国し、他の国で難民として認定されるよう申請したが、まだ結論が出ていない人々である。2011年、およそ87万6100人が庇護もしくは難民の地位を求めて申請書を171の国もしくは地域おける政府やUNHCR事務所に提出した。庇護を求める人のおもな目的地は南アフリカで、新たに10万7000人からの申請があった。次いで、アメリカ、ケニア、フランス、カナダ、イギリス、ドイツと続いた。UNHCRもしくは国に庇護を求めた人でもっとも多い国はジンバブウェ(5万2500人)で、次いでアフガニスタン(4万3000人)、ソマリア(3万5900人)、コートジボアール(3万3000人)、コンゴ民主共和国(3万1500人)、ミヤンマー(2万9800人)、イラク(2万9100人)である。