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人間の安全保障

人間の安全保障をすべての人に

特に最近10年間の脅威の変遷により、私たちの安全に対する理解は大きく変わりました。冷戦の終結以来、私たちは国際紛争や国内紛争だけでなく、慢性的にはびこる貧困や気候変動関連の災害、組織的犯罪、人身取引、流行病、そして急激な経済・金融危機によっても、数多くの人々の暮らしが脅かされる姿を目にしてきました。

これら新旧の課題は、全世界で非常に多くのの生命と生活にとって、深刻な脅威となっています。国家安全保障が平和と安定に不可欠なことに変わりはありませんが、現在の複雑かつ多次元的な課題の影響は、私たち一人一人が、分野横断的な幅広い脅威のリスクの高まりに対して脆弱であることを明らかにしています。内的要因によるものか、外的要因によるものかに関係なく、今日の脅威は、安全が脅かされうる状況が国内で、そして国境を越えて一気に拡大し、さらに解決困難な危機となって、個人の安全はおろか、より幅広い国家、地域および国際レベルの安全が脅威にさらされることも多くなっています。

その一方で、安全が脅かされうる状況を取り除く機会も、以前に増して高まっています。これまでになかった資源と技術の組み合わせにより、私たちには人間の安全保障の実現に向けて、目に見える前進を遂げるための手段、知識、そしてリソースが備わっているからです。こうした機会を活用するためには、人々の生存、生活、尊厳が現地、国内、地域、国際の各レベルで平和・開発・人間の進歩の礎をなすような新しい枠組みが安全保障に必要だと、政策決定者と実務者が認識しなければなりません。

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人間の安全保障とは

2005年世界サミット成果文書『人間の安全保障』(A/RES/60/1)パラグラフ143において、各国首脳は「すべての人々が、自由に、かつ尊厳を持って、貧困と絶望から解き放たれて生きる権利」を強調するとともに、「すべての個人、特に脆弱な人々が、すべての権利を享受し、人間としての潜在力を十分に発展させるために、平等な機会を持ち、恐怖からの自由と欠乏からの自由を得る 権利を有していることを」ことを認めました。

人間の安全保障は、現在の、そして新たに生まれつつある脅威、すなわち幅広く分野横断的な脅威に対応し、人々の生存、生活、尊厳を守ることをねらいとしています。このような脅威は、絶対的な貧困や紛争の中で暮らしている人々だけに及んでいるわけではありません。現在では、先進国、途上国を問わず、全世界の人々が多種多様な安全が脅かされうる状況の下で暮らしているからです。こうした脅威は各国の政府と国民にとって、ともに深刻な課題を突きつけています。

したがって、人間の安全保障では、恐怖からの自由、欠乏からの自由、尊厳を持って生きる自由という人間の生活にとって基本的な一連の自由の普遍性と相互依存性を重視します。その結果、人間の安全保障は安全、開発、人権の間の相互関連性を認識し、これらを人間の安全保障、そして、国家の安全保障の礎石とみなすものとなっています。

さらに、人間の安全保障が欠如する原因とそのあらわれ方は国やコミュニティによって大きく異なるため、人間の安全保障では、各地の現実に根差し、各国のオーナーシップに基づく解決策の策定強化を図ります。人間の安全保障は、各国の政府と国民がその潜在力を高め、 貧困と絶望のない状態で、尊厳を持って生きる能力を高めることになります。

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ビデオ:人間の安全保障

» 人間の安全保障:複合化した脅威に対する新たな対応
 (人間の安全保障ユニット作成、日本語字幕:OCHA神戸事務所)