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人道支援出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/Evan Schneider

第2次世界大戦後における荒廃と大量の避難民を受けてヨーロッパで始まった人道的救援活動を初めて調整して以来、国際連合は、国家当局の能力を超える自然災害や人為的災害に対応できるように国際社会を先導してきた。現在、国連は緊急援助と長期支援の主要な提供者となり、政府や救援機関による救援活動の触媒となり、緊急事態の被害者に代わって発言する唱道者となった(www.un.org/haを参照)。

人為的災害や自然災害によってこの数年間、何百万人もの人々が住む家を失った。アフガニスタン、イラク、ソマリア、その他の国々の戦争や反政府活動によって全人口が避難しなければならない事態を国際社会は懸念してきた。さらに、過去1世紀における10件の最悪の自然災害のうち、3件がこの10年の間に発生した。2004年のインド洋津波、2008年のミヤンマーのサイクロン・ナルギス、2010年のハイチ大震災である。これらの災害によって60万人以上が生命を失った。

ほとんどが気象に関係したものであるが、毎年自然災害によって何億という人々が被害をこうむる。

事務総長の報告によると、2009年、自然災害の92パーセントがサイクロン、洪水、地震、干ばつによるものであった。それ以外にも熱波や山火事も人間に被害をもたらした。自然災害で死亡した人々のうち、98パーセント以上の人々が開発途上国に住んでいた。圧倒的多数である。このことは、貧困、人口増加、環境の悪化がいかに人間の苦しみを増幅させるかを示している。

新たな紛争が続発し、自然災害による人的、財政的損失も拡大している。こうしたことから、国連は2つのことを行っている。1つは、国連は主にその実施機関を通して被災者の緊急救援活動を行うことで、他は、そうした緊急事態が発生しないようにより効果的な戦略を進めることである。

災害が発生すると、国連とその機関はまず緊急人道援助物資を輸送する。たとえば、2009年、世界食糧計画(WFP)は、75カ国で1億180万人の人々に食糧援助を行った。それには世界の難民や国内避難民も含まれる。そのうちの8,410万人が女性と子どもであった。パキスタンでは、2010年末現在で、夏の洪水のために何十万人もの避難民が依然としてキャンプ生活のままで、何千人もの人々が援助を受けられない状態が続いていた。洪水の発生を受けて、国連児童基金(ユニセフ)とそのパートナー機関は、毎日280万人の人々にきれいな水を提供し、150万人に衛生施設を提供した。ユニセフはまた、子どもの教育のために1,550カ所に臨時学習センターを設立した。世界保健機関(WHO)とともに、900万人の子どもたちにワクチンを供給し、他方国連人口基金(UNFPA)は被災人口の中でジェンダーに基づく暴力を防止し、その問題に取り組む活動の調整を行った。

日本と福島原子力発電所を襲った2011年3月の大震災と津波を受けて、国連は日本政府の救援活動を支援する災害チームを派遣した。世界食糧計画(WFP)は救援物資の配送について政府を支援し、国際原子力機関(IAEA)は発電所近くの放射線のモニターを支援した。FAOとIAEA、WHOは関連の食糧の安全の問題に取り組んだ。

2010年の1年間だけで、緊急事態に応えて、国連人道問題調整事務所(OCHA)が管理する「国連中央緊急対応基金(CERF)」は、緊急対応活動のためにおよそ4億ドルの割り当てを行った。2010年1月の地震を受けて、およそ3,550万ドルをハイチのために計上した。この額は1つの緊急事態にCERFが割り当てた最高の額であった。また、他の措置、「人道早期警報サービス(Humanitarian Early Warning Service: HEWS)」と「国連国際防災戦略(United Nations International Strategy for Disaster Reduction: ISDR)」(www.hewsweb.org)を通して、国連は人道危機を防ぎ、その被害を緩和する。さらに、国連食糧農業機関(FAO)は間近にせまる飢餓やその他の食糧、農業の懸念事項を監視する一方で、世界気象機関(WMO)は熱帯サイクロンの予報や干ばつの監視を続ける。国連開発計画(UNDP)は、災害の多い国が災害対策やその他の準備措置を開発できるように支援している。