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気候サミット ― 基礎知識

背景

気候変動は現在進行中の事象であり、人々の生活に極めて現実的な影響をもたらしています。その影響で各国経済には重大な問題が生じ、今日より明日と、より多くの負担が私たちにのしかかっています。けれども、負担可能かつ大きな効果をもたらすことのできる解決策はすでに存在している、という認識が高まりつつあります。そのような解決策によって、すべての人々はよりクリーンで、よりレジリエント(しなやかで強靭)な経済環境へ移行することができます。

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、9月23日に開催する「気候サミット(Climate Summit)」に政府、金融、企業、市民社会のリーダーを招待しています。事務総長はサミットにおいて意欲的な声明や行動計画を示すようリーダーに求めており、排出量削減を促し、気候変動に対するレジリエンスを強化し、政治的意思を結集することで、2015年12月のパリ気候変動会議(COP21)における意義ある法的な合意につなげたいとしています。

「気候サミット」は野心的なビジョンを掲げて行動計画を定着させ、持続可能な未来に向けてより前向きで新しい方向へと世界を導くユニークな機会を、世界のリーダーに提供します。

気候サミットとは

事務総長は世界のリーダーから気候に関するアクションと意欲を引き出すことをめざし、ニューヨークの国連本部で「気候サミット」を開催します。サミットはトップレベルのリーダーのための公的枠組みとして機能し、そこにはすべての国連加盟国に加えて金融、企業、市民社会、地方自治体など官民双方のリーダーが含まれます。サミットは排出量を削減し気候変動に対するレジリエンスを強化するため、野心的な行動計画を実現する大きなきっかけとなることをめざします。また、地球の気温上昇を2度以内に抑えるという意欲的な国際合意を2015年末までに達成するために、政治的意思を結集することも目標としています。

「気候サミット」では、行動と解決策に焦点があてられます。ここでめざすのは、排出量削減とレジリエンス強化につながる分野 ― エネルギー、短寿命気候汚染物質(Short-Lived Climate Pollutants: SLCPs)、都市と交通、持続可能な農業と林業、適応策と防災、気候資金(Climate Finance)と経済要因 ― における進展が加速することです。

9月のサミットは、気候変動枠組み条約に関する交渉からは独立したものです。気候に関するアクションを促進することで、セクターを超えたあらゆるレベルのリーダーが行動を起こしていることを示す気運とし、それによって現在、そして2015年、さらにはその先における可能性を広げます。

グローバル・アクションの意義

気候変動に対する行動を起こす利点は、ますます増えています。多くの国と企業がその経済的な機会に気づき、温室効果ガスの排出量削減とレジリエンス強化に関するリスクの低減に努めています。そして、持続可能な低炭素経済成長、レジリエントなインフラ、新しい市場、働きがいのある人間らしい仕事、エネルギーの独立性、女性のエンパワーメント、大気の浄化、公衆衛生の改善といった点で利益を享受しています。

負担可能かつ大きな効果をもたらすことのできる解決策は存在しています。これにより、すべての人々はよりクリーンで、よりレジリエントな経済環境に移行することができます。早期に行動に移すことにより、新しい機会を手にすることができるでしょう。

経済競争力を維持しつつも、すべての人にとって持続可能な繁栄をもたらす社会を築くこと ― そのレースは今まさに始まろうとしているのであり、あらゆるリーダーが参加するのは今なのです。

現在、各国は新たな気候合意の形成と、持続可能な開発に向けた新たなグローバルな目標設定に向けて動いています。これらの新しい合意は、2015年に結実する予定です。この2つのプロセスにより、持続可能な開発を進める上で、これまでにない機会となっています。

貧困を撲滅し、そして、地球の気温上昇を2度以内に抑えるように世界経済を再構築することが目標です。その双方を達成することで、現在と未来の世代に繁栄と安全をもたらすことができるのです。

グローバルな気候変動の課題に本格的に取り組み、目の前にある機会を捉えるには、国内での努力が拡大されなければなりません。同時に、その努力はインセンティブを提供するような国際的な枠組みによって活用される必要があります。一体となり加速した行動とより強い意欲があれば、「race to the top(トップをめざす)」の精神を育て、気候変動がもたらす最悪の影響を防ぐことができるでしょう。

よくある質問

サミットの日程と開催場所は?

サミットは2014年9月23日に、ニューヨークの国連本部にて開催されます。

サミットはなぜ今年開催されるのですか?

各国は2015年までに、意義深く強力かつ普遍的で法的な気候合意を結ぶ必要性について同意しています。事務総長はサミットを開催することで、2015年に先立って取り組みを開始し、より大規模な行動と意欲に向けて政治的意思を高めることをめざします。

サミットの構成はどのようになりますか?

今回のサミットはこれまでのサミットとは異なり、具体的な気候に関するアクションに着目します。開会式が総会議場で開催され、本会議では国家元首および政府首脳が今後進める各国の新たな取り組みについて表明します。さらに重要分野においては、新たな取り組みを発表するアクション・プラットフォームがあり、そこでは官民および市民社会の諸団体が一体となって課題解決にあたります。気候に関するアクションの重要分野における政策およびその実践に関するディスカッションは、テーマ別セッションにおいて行われます。サミットは、事務総長の総括と演奏会をもって午後6時に閉会となります。

サミットは気候交渉の一部ですか?

気候サミットは、気候変動枠組み条約に関する交渉の一部ではありません。ここでは交渉は一切行われません。政治的意思を高め行動を開始することで、交渉に弾みがつき実りの多い結果へとつながることが期待されています。

サミットの成果はどういったものになるのですか?

サミットの成果は、政府、企業、金融、ならびに市民社会のリーダーによる気候変動の対応に関する声明となります。これは、一連の記者会見を通して随時配信され、サミットの成果として事務総長が総括することになります。

サミットで期待される声明はどういったものですか?

事務総長は世界のリーダーに対して、各国で予定されている大胆な行動計画をサミットで示すよう求めています。さらに、様々なステークホルダーによるイニシアチブが発表され、意欲的な行動計画の実現に大きな作用を引き起こすことが期待されています。その内容は、政府、民間企業、市民社会からの参加を踏まえて、気候資金、エネルギー効率、再生可能エネルギー、適応策、防災とレジリエンス、森林、農業、交通、短寿命気候汚染物質、都市といった重要分野に関するものになります。

アブダビ・アセント会合の成果は?

「気候サミット」における具体的行動に弾みをつけるため、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長とアラブ首長国連邦(UAE)の国務大臣兼エネルギー・気候変動担当特使のスルタン・アル・ジャーベル博士(Dr. Sultan Al Jaber)がホストを務め、5月4日~5日にハイレベル会合が開かれました。

2日間の会合は開催地の名をとって「アブダビ・アセント会合」と呼ばれ、各国から閣僚、企業、金融、市民社会のリーダーなど、およそ1,000人が集まりました。会合では自国の気候変動に対する新たな、または既存のイニシアチブとパートナーシップについて議論が行われました。

誰が「気候サミット」に参加できるのですか?

サミットへの参加は招待者に限ります。一方、9月22日から28日にかけて様々なイベントが予定されています。これらイベントに関しては、Climate Weekウェブサイトをご覧ください。
http://www.climateweeknyc.org/

どうしたら企業として「気候サミット」に参加できますか?

企業や産業界を率いるリーダーの参加は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)が取りまとめています。詳しくはこちらまでメールでお問い合わせください:
mailto:caring4climate@un.org
http://www.unglobalcompact.org
http://www.caringforclimate.org

Climate Weekに関する情報

Climate Week NYCは、国連事務総長の「気候サミット」をサポートする形で、9月22日~28日にニューヨークで行われる各種の関連イベントです。

2014年のClimate Week NYCは第6回目となる年次イベントです。 政府、企業、市民社会が低炭素の推進をめざす重要な国際的フォーラムとして、ニューヨークおよびその近郊で1週間にわたって開催されます。注目のイベントや企業による展示、市民向けアクティビティなどが予定されています。Climate Week NYCは、大胆なリーダーシップと強力なコラボレーションのための重要なプラットフォームとなり、より安全でより豊かな低炭素の未来をめざします。世界的に著名なイノベーターやリーダーも登場し、低炭素経済に向けての刺激的なビジョンを他の影響力のある専門家や一般の人々と共有します。

2014年、国連「気候サミット」と同時に開催されるClimate Week NYCは、世界的に最も影響力のある人や団体が一同に会し、2015年のパリ気候会合に先立って早急に必要なリーダーシップに弾みをつける貴重な機会となります。この重要な瞬間はまさに、2009年のClimate Week NYC立ち上げ時を想起させます。同年コペンハーゲンで開催された国連気候変動の会議で提案されたClimate Weekは、世界中のニュース・ヘッドラインを飾りました。そしてその当時のように、今年もClimate Weekに対して世界の関心が集まっています。Climate Week NYCイベントは国連事務総長の「気候サミット」を支援するものとして行われ、これまで以上に多くの活動が予定されています。この2つのイベントを通して、グローバル・コミュニティのあらゆる分野で支援が高まることでしょう。それによって政府指導者が来年、意義深い気候に関するグローバル交渉に合意し、さらには低炭素な未来が推進されることが期待されます。

2009年の立ち上げ以来、The Climate Group1 はClimate Week NYC の事務局を務めています。今年はオープニング・イベント開催にあたってカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)2 と協力しています。

Climate Week NYCのイベントとしてあなたの実施するイベントを登録するには、こちらまでお問合せください:www.climateweeknyc.org
@ClimateWeekNYC
www.facebook.com/climateweeknyc

 

1 環境NPO(http://www.theclimategroup.org/)
2 環境NPO(http://www.cdp.net/)