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環境のための行動出典「国連の基礎知識」

国連システム全体が多様な方法で環境の保全に取り組んでいる。この領域での先導機関は国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)(www.unep.prg)である。UNEPは国連システムのなかで環境のための良心として、世界の環境状況を評価し、国際協力を必要とする問題を明らかにする。国際環境法の作成を支援し、環境の保全が経済社会政策や国連システムの経済社会政策やプログラムに反映されるようにする。UNEPは「開発のための環境」をモットーに、一国だけでは対処できないような問題の解決を支援する。また、コンセンサスを築き、国際的合意を作り出すための場を提供する。そうすることによって、UNEPは、企業や産業界、科学・学術団体、NGO,市民グループ、その他が持続可能な開発により一層参加するように努める。UNEPの6つの優先領域は気候変動、災害と紛争、生態系の管理、環境統治、有害物質、資源効率、である。

UNEPが推進、調整する科学研究は、環境状態に関する多様な報告書を生み出してきた。「グローバル環境概観(Global Environment Outlook)」(www.unep.org/geo)は、新たに発生する環境問題についての世界的な認識を高めることに役立ったばかりか、環境条約に関する国際交渉の引き金となった。UNEPは、「世界自然保護モニタリング・センター(World Conservation and Monitoring Centre」、「地球資源情報データベース(Global Resource Information Database: GRID)」、「エネルギー・気候変動・持続可能な開発に関するUNEP リソ・センター(UNEP Riso Centre on Energy, Climate Change and Sustainable Development)」、「水と環境に関するUNEP協力センター(UNEP Collaborating Centre on Water and the Environment)」、「グローバル・リポーティング・イニシアチブ(Global Reporting Initiative)」、「持続可能なエネルギーのためのバーゼル・エージェンシー(Basel Agency for Sustainable Energy)」などの卓越した研究拠点のネットワークを持っている。このネットワークは今も広がりを見せている。

UNEPの技術産業経済部(Division of Technology, Industry and Economics)(www.unep/org/resources/business/DTIE)は、政府、産業、企業の政策決定者がよりクリーナーで安全な政策や戦略、慣行を採択し、天然資源を効率的に利用し、人間や環境に対する汚染リスクを削減するよう奨励する活動を積極的に進めている。技術産業経済部は、より安全できれいな、環境上適正な技術、とくに都市管理と淡水管理を扱う技術の移転を容易にし、化学物資の適正な管理と化学物質の安全を改善するための能力育成を支援する。また、開発途上国や移行経済諸国によるオゾン層破壊物質の削減を支援し、政策決定者がより良い、十分な情報に基づくエネルギーの選択を行えるように支援し、かつ政府や民間セクターと協力して、環境に対する配慮がその活動、慣行、生産、サービスに取り入れられるようにする。

UNEP化学物質計画(UNEP Chemicals)(www.chem.unep.ch)――技術産業経済部の化学班――は、有害な化学物質に関する情報を国に提供し、化学物質を安全に生産し、使用し、廃棄できる能力を育成できるように支援し、化学物資のリスクを軽減もしくは排除するために必要な国際および地域の行動を支援する。2001年、UNEPは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)」の作成に貢献した。これは、長期にわたって環境にそのまま残留し、地理的に広く移動し、生命のある有機物の脂肪組織に蓄積し、人間や野生動物にとって有害である特定の化学物質の排出を削減および廃絶することを目的とした条約である。これには容易に移動し、食物連鎖に蓄積する駆除剤や工業用化学物質、副産物が含まれる。

これまで、UNEPはいろいろな国際協定の交渉の触媒の役目を果たしてきた。これらの協定は地球に対する損害を食い止め、もしくは転換させる国連の努力の礎石をなすものである。歴史的な1987年の「モントリオール議定書(Montreal Protocol、1987年)とその後の改正(Amendments)は上層大気におけるオゾン層の保護を求めたものである。1989年の「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約(Basel Convention on the Control of Hazardous Wastes and Their Disposal、1989年)」は、有害廃棄物による汚染の危険を減少させた。FAOとの協力で、UNEPは、1998年の「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続きに関するロッテルダム条約(1998 Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticide in International Trade)の交渉を容易にした。同条約のもとに、輸入国は受け取りたい化学物質を決定し、かつ安全に管理できない化学物質は除外する権限を与えられた。

1973年の「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species、1973年)は、野生動植物の取引を規制する上で果たした功績が広く認められている。UNEPはまた、1994年の「野生動植物の違法取引に対する協力執行活動に関するルサカ協定(Lusaka Agreement on Cooperative Enforcement Operations Directed at Illegal Trade in Wild Fauna and Flora、1994年)の締結についてアフリカ諸国政府を支援した。1992年の「生物の多様性に関する条約(Convention on Biological Diversity)と2000年の「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety)」は、地球上の多種にわたる動植物や微生物を保護し、その持続可能かつ公平な利用を奨励している。UNEPはまた、砂漠化や気候変動に関する条約の交渉や実施も支援している。

人間の行動を変える

世界的に持続可能な開発を達成するには生産と消費のパターンを変えなければならない。何をどのように生産し、どのくらい消費するかについての考え方を変えなければならない。国際連合は、関連政策を発展させて実施し、より環境に負荷のない生産を促進し、認識を強化し、企業と個人の責任感を高めるために、開発先進国、開発途上国の双方において行われる必要努力を支援する。こうした問題に関する討議には、企業と産業界、政府、消費者団体、国際機関、学術団体、NGO(非政府組織)が参加しなければならない。

資源を少なく使い、無駄を省くことも、また、良いビジネスである。それは、環境を守る一方で、コストを削減し、高い利潤を生みだす。また、天然資源を保護し、汚染を少なくすることによって良好な健康を推進する。そうすることによって、将来の世代のために地球を持続させることができる。