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人口と開発出典「国連の基礎知識」

ほとんどの国で避妊具の使用が増えていることから出生率が大幅に低下した。それにもかかわらず、国連の推定によると、過去5年間、世界の人口は年におよそ1.18パーセントの割合で増え続けている。さらに重要なことは、世界人口は2010年の69億人から2050年までに90億人に増加すると予測されていることである。増加人口のほとんどが開発途上国の人口である。急激な人口増加は地球上の資源と環境に大きな負担をかけ、しばしば開発努力を追い越してしまう。国連はさまざまな方法で人口と開発との関係に取り組んできた。その際にはいつも女性の権利と地位の向上の重要性が強調された。経済社会の進歩に欠かせないと考えられるからである。

さらに、人口パターンが変わると、新たなニーズが作られる。たとえば、世界の60歳以上の人の数は2009年の7億3,700万人から2050年には20億人強に増えると予測される。この年齢層はもっとも速い割合で伸びていて、史上初めて高齢者の数が子ども数よりも多くなる。しかし、開発途上国の人口は依然として若い。したがって、より開発が進んだ地域においては25歳から59歳までの労働年齢の人口は次の10年でピークに達し、その後は減少を続け、2050年には5億2,800万人となると予測される。開発があまり進んでいない地域では労働年齢人口は上昇を続け2050年には36億人に達するであろう。すでに、史上初めてのことであるが、世界人口の半数は現在都市に住んでいる。

国連は人口動向に応えて多くの開発途上国で活動してきた。国連の各種機関は共に協力して、国の統計局の設立や国勢調査の実施、予測を行い、信頼しうるデータの提供に努めてきた。国連の数量的、かつ方法論的作業、とくに人口規模とその変化に関する権威ある人口推計および予測は、その分野でのパイオニアとなるものであった。これによって、国は事前に計画を作成し、人口政策を開発プランニングに組み込ませ、健全な経済的、社会的決定を行えるようになった。

人口開発委員会(Commission on Population and Development)は、47カ国の加盟国で構成され、人口の変化とそれが経済や社会に与える影響について研究し、経済社会理事会に助言を与える。主要な責任は1994年の国際人口開発会議で採択された行動計画の実施を評価することである。

国連経済社会局(DESA)の人口部(Population Division)(www.un.org/esa/population)は同委員会の事務局をつとめる。また、人口と開発に関する最新の、科学的に客観的な情報を国際社会に提供する。人口のレベル、動向、推定、予測をはじめ、人口政策、人口と開発との関係などについて研究する。人口部は「人口、資源、環境、開発データバンク」、「世界人口推計」、「世界人口政策」、「世界都市化予測」など、主要なデータベースを維持している。さらに、「人口情報ネットワーク(Population Information Network: POPIN)」の調整を行っている。これは、人口に関する情報を全世界で共有できるように、インターネットの利用を促進する。

国連人口基金(United Nations Population Fund: UNFPA)(www.unfpa.org)は、国連システムの中にあって人口の分野で実際的な事業活動を先導する機関で、開発途上国や移行経済諸国が自国の人口問題を解決できるように支援する。また、加盟国政府が、個人の選択に基づくリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)や家族計画のサービスを改善し、持続可能な開発に沿った人口政策を策定できるように支援する。さらに、人口問題についての認識を高め、それぞれの国のニーズに合った方法で人口問題に対処できるように各国政府を支援する。そのミッション・ステートメントに沿って、UNFPAは、「健康な生活と平等な機会を享受するすべての女性、男性、子どもの権利を促進する。UNFPAは、すべての国が政策とプログラムのために人口データを利用して貧困を削減し、かつすべての妊娠が望まれたものであり、すべての出産が安全であり、すべての若者がHIV/エイズから自由であり、すべての女児と女性は尊厳と尊敬を持って処遇されるように支援する。」このミッションを達成するに当たっての主要な役割は、政府や国連機関、非政府組織(NGOs)が実施する人口プロジェクトや計画に財政支援を行うことである。

UNFPAの主な活動領域は以下の通りである。

  • リプロダクティブ・ヘルス――政府が、とくに妊産婦の健康に注意を払いながら、女性のライフサイクルを通して性と生殖に関する健康のケアをできるように支援する。
  • ジェンダーの平等――これは母親と新しく生まれた児の健康を改善することとHIVの蔓延を削減することに密接に結びついている。重要な要素としては少女の教育、女性の経済的な地位の向上、女性の政治参加、リプロダクティブな役割と生産的な役割とのバランスを保つことなどがあげられる。
  • 人口と開発戦略――各国が人口動態や動向について適切な情報を収集し、健全な政策を策定管理し、とくに移住、高齢化、気候変動、都市化に関し、現在および将来のニーズに対応する政治的意思を生み出せるようにする。

UNFPAは中絶に対してはいかなる支援も行っていない。むしろ、家族計画を利用できるように支援することによって中絶防止に努める。また、青年期の性と生殖に関する健康の問題にも取り組んでいる。そのため、10代の妊娠を防止し、フィスチュラの予防と治療を進め、HIV/エイズや性感染症を予防し、妊娠中絶へ訴えないようにし、性と生殖に関する健康のためのサービスや情報を十分に得られるようにする。

両親が子どもの数や出産間隔を選べるようにすることは、リプロダクティブ・ヘルスのもっとも重要な要素で、国際的に認められた基本的人権である。現在少なくとも2億人の女性が安全かつ効果的な家族計画の方法を利用したいと望んでいると推定される。しかし、情報やサービスを利用できないことや、夫や地域からの支援がないためそうすることができない。UNFPAは家族計画のニーズを満たすために政府や民間部門、NGOと連携している。