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子どもの権利の促進出典「国連の基礎知識」

毎年1,000万人の子どもたちが5歳の誕生日を迎える前に死に、何千万人もの子どもたちが身体的に、精神的に障害をもって生きて行かなければならない。生きて成長してゆくために必要なものを持たないからである。明らかな病気なのか、貧困、無知、差別、暴力の有害な影響のせいなのかわからないが、このことは家族、地域社会、国家、そして世界にとって計り知れない損失である。幼児期を過ぎても、若者の生命や福祉は依然として脅かされる。彼らはより脆弱である。教育を受け、参加し、危険から保護される権利など、彼らの権利が否定されていることがしばしばであるからである。

国連児童基金(United Nations Children's Fund: UNICEF = ユニセフ)(www.unicef.org)は、子どもたちの生存、発達、保護の権利を擁護する活動を行っている。「子どもの権利に関する条約」と「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の完全な実施を目指す。また、191カ国で、ユニセフは政府、国際機関、市民社会、若者たちとのパートナーシップのもとに、貧困、暴力、病気、差別など、子供たちが直面している障害を取り除くことに努めている。ユニセフの現在の優先テーマは子どもたちの生存と発達、基礎教育とジェンダー平等、HIV/エイズと子供たち、子供の保護、政策アドボガシーとパートナーシップである。これらの目的は、ミレニアム開発目標や2002年の子ども特別総会の成果文書「子どもにふさわしい世界(A World Fit for Childrenn)」の中で表明された目的にも一致する。

国連児童基金は、誕生前から青年になるまで、子どもの健康のあらゆる側面に広く係わってきた。ユニセフは、妊産婦が出産前や分娩時に適切なケアを受けられるようにし、家族が家庭で子どもの病気に対処できるようにする。また、地域社会が最善の保健サービスを提供できるように指導する。ユニセフは、若い人たちがHIV/エイズに感染しないように情報を共有できるようにし、それによってHIV/エイズの危機を軽減する。また、HIV/エイズで両親を失った子どもたちが、その仲間たちと同じようなケアを受けられるようにする。そして、HIV/エイズに感染した女性や子どもが尊厳を持って生きて行けるようにする。

ユニセフはまた、世界的に予防接種の実施を進め、ワクチンの購入や配布から安全な接種までかかわる。ワクチン供給では世界のリーダーで、世界の子供の40パーセントはユニセフ提供のワクチンを受ける。現在、WHOとともに、「予防接種拡大計画」の6種のワクチン、結核、ポリオ、ジフテリア、破傷風、百日咳、麻疹のワクチンによる「普遍的小児予防接種」計画の目標達成に努めている。2008年には1億600万人という記録的な数の子供たちが予防接種を受けた。世界の予防接種率は最高のレベルであった(同年で82パーセント)。ユニセフは、予防接種の機会を移用して、別の救命サービスも提供している。ビタミンAのサプルメントや家族をマラリアから救うための殺虫剤処理済の蚊帳を支給し、また現地の事情に合わせた介入などを行っている。

ユニセフは、就学前から青年期までの子どもたちを教育するさまざまなイニシアチブを支援して、教員を動員し、子どもたちの登録を行い、教育施設を準備し、カリキュラムを作成する。時には無から教育制度の再建まで行う。また、子どもたちが、たとえ紛争時にあっても、遊び、学ぶ機会を持てるようにする。スポーツとレクリエーションは子どもの進歩にとって教育と同様に重要であるからである。妊産婦のために適切な栄養の摂取、出産後は母乳育児を奨励する。幼稚園や託児所での給水施設や衛生施設を改善する。また、若者を保護する環境を作り出すのを支援する。子どもの労働を禁じる立法措置を奨励し、女性性器切除を非難し、性的目的や商業目的で子どもを搾取することを一層困難にする活動を進める。ユニセフは地雷認識キャンペーンを進め、子どもの兵士の動員解除を支援する。

「子どもにふさわしい世界」

2002年、子どもに関する国連の特別総会が開かれた。1990年の「子どものための世界サミット」で行われた公約がどの程度達成されたかを検証し、子どもの権利に対するグローバルなコミットメントの再活性化を図るためであった。特別総会は国連の歴史においても画期的な出来事であった。子どもの問題だけを取り上げた最初の特別総会であり、また、子どもを正式の代表として参加させたのも最初のことであった。

特別総会では、およそ180カ国が会議の成果文書「子どもにふさわしい世界(A World Fit for Children)」を採択して閉幕した。この新しい課題は、今後10年間に達成すべき21の具体的な目標を定め、また以下の4つの重要な優先分野が定めた。すなわち、健康な生活を促進すること、すべての子どものために良質の教育を提供すること、虐待、搾取、暴力から子どもを守ること、HIV/エイズと闘うこと、である。

成果文書付随の宣言は、1990年の世界子どもサミットが定めた目標の未達成の課題を完了させ、その他の目標、とくに国連ミレニアム宣言の目標を達成させることを世界の指導者に義務付けた。また、「子どもの権利に関する条約」とその「選択的議定書」が定める法的な基準を認め、すべての子どもの権利を促進し、かつ擁護する世界の指導者の義務を再確認した。

行動計画は達成すべき3つの必要な成果を定めている。 子どもがその人生において可能な限りの最善の第一歩を踏み出せるようにすること、無償かつ義務的初等教育を含む良質の基礎教育を受けられるようにすること、そして個々の能力を発展させることができるように子どもや青年に十分な機会を与えること、である。これらの目標を達成するために、先進工業国がその国民総生産の0.7パーセントを政府開発援助(ODA)に割り当てるといいうグローバルな目標を支持した。

2007年、総会が再開され、それまで達成された進歩を検討した。当初の目標が達成されなければ、国連ミレニアム宣言の強い願望やミレニアム開発目標の達成を損ねることに留意して、その報告は、その能力を最大限に発揮できるように努力を倍加するよう各国政府に要請するとともに、国際社会による一層の支援を求めた。

事務総長は、2002年特別総会に関する2010年追跡調査報告の中で、2009年のグローバルな経済危機によって、「子供にふさわしい世界」に設定された目標を達成することが中断し、後退することもあった、と述べた。しかし、各種財団やNGOs、グローバルなプログラムとのパートナーシップは拡大し、世界の子供たちのためにより以上の資金を活用することができた。