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社会開発出典「国連の基礎知識」

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UN Photo/Eskinder Debebe

経済開発と切り離せない関係にあるのが社会開発で、国連の創設以来、社会開発は国連活動の柱石となってきた。国連が何十年にもわたって開発の社会的側面を強調してきたのは、すべての人のためにより良い生活を実現することが開発努力の中心に据えられるようにするためであった。

その初期の頃、国連は人口統計、保健、教育についてこれまでと違った新しい研究とデータの収集に着手した。それによって初めて地球規模で社会指標に関する信頼にたるデータを編纂することができた。また、記念建造物から言語まで、文化遺産の保護にも努めた。言語については、急激な変化にとくに脆弱な社会層の懸念を反映させた。

国連は、すべての人の健康、教育、家族計画、住宅および衛生に関する社会サービスを提供する政府の努力を率先して支援してきた。社会計画のモデルを開発することに加え、国連は開発の経済的側面と社会的側面の統合を図った。 国連の政策や計画が常に強調してきたことは、開発が持つ社会的、経済的、環境的、文化的要因は互いに関連し合っており、そのうちの一つだけを切り離して追及することはできない、というものであった。

グローバル化と自由化が社会開発の新たな課題となった。グローバル化の恩恵をより公平に分かち合うべきだとの願いが強まっている。社会の領域では国連は「人間中心」のアプローチを取っている。これは開発戦略の中心に個人、家族、地域社会をおくものである。 国連は社会開発を重視するようになり、今では保健、教育、人口のような社会問題、また、女性や子ども、高齢者のような社会的弱者の問題にも取り組んでいる。

国連は社会開発のための国際協力を強化するように努めている。特に、貧困撲滅、完全かつ生産的な雇用、それに高齢者、若者、家族、障害者、先住民、その他社会や開発の主流から取り残された人々の社会参加の領域では国際協力は不可欠である。国連主催の多くの世界会議もこれらの問題に焦点を当ててきた。1995年には世界社会開発サミットが開かれた。これは、国際社会が貧困や失業、社会の崩壊との闘いを進めるために集まったことを初めて示す記念すべき会議であった。その結果生まれた「社会開発のためのコペンハーゲン宣言」とその10項目のコミットメントは、グローバルなレベルでの社会契約を意味するものであった。

社会開発がもつ多様な問題は、開発途上国、先進国の双方にとっての挑戦である。程度の差こそあれ、すべての社会は失業、社会の崩壊、長引く貧困の問題を抱えている。そして、強制移住の問題から薬物乱用、組織犯罪、病気の蔓延など、ますます多くの社会問題が各国協調の国際行動をとらない限り解決できない問題となっている。

国連は総会と経済社会理事会(ECOSOC)を通して社会開発の問題に取り組んでいる。この2つの機関が国連全体の政策や優先事業を決め、かつ活動計画を承認する。総会の6主要委員会の1つである社会、人道および文化委員会(Social, Humanitarian and Cultural Committee = 第3委員会)は、社会部門に関連した議題を取り上げる。経済社会理事会のもとで社会開発問題をとり上げる主要な政府間機関は社会開発委員会(Commission for Social Development)(www.un.org/esa/socdev/csd)である。46カ国で構成され、社会政策や開発の社会的側面についてECOSOCと政府に助言を与える。委員会の2011年会期のテーマは、「貧困撲滅」であった。

事務局の中では経済社会局の社会政策開発部(Division for Social Policy and Development)(www.un.org/esa/socdev)がこれらの政府間機関に役務を提供し、調査研究、分析、専門家によるガイダンスを行っている。国連全体としては、これ以外にも社会開発のさまざまな側面を取り上げる多くの専門機関や基金、事務所がある。