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電気通信と情報通信技術(ICTs)出典「国連の基礎知識」

情報通信技術(ICT)は、各種サービスのグローバルな提供に不可欠となった。銀行業、観光業、運輸、情報産業など、すべてデジタル世界への迅速かつ信頼に足るアクセスに頼る。モバイル機器の拡散、規制撤廃、ICTサービスと応用、VAN(付加価値通信網)サービス、インテリジェント・ネットワークなど、こうした大きな流れとあいまってこの部門は現在、大変革を遂げつつある。そうしたプロセスの中にあって、Eヘルス、電子教育、電子政府プラットフォームの成長など、社会はいかに機能すべきかについてICTは大変革をもたらしている。

国際電気通信連合(International Telecommunication Union: ITU)(www.itu.int)は、ICTの将来、持続可能な開発においてICTsが果たす役割に影響を与える問題についてコンセンサスに達するために政府と産業がともに働くことのできるグローバルなフォーラムである。その使命は、ICT成長とICTへの普遍的かつ手の届く価格でアクセスを可能にして世界中の人々がスマートシティーのようなデジタル機会、知識共有経済から利益を得られるようにし、かつ、デジタル技術へのアクセスについて男女間の格差を縮小することである。まず優先すべきことは完全なデジタル・インクルージョンを実現することである。デジタル情報技術に効果的にアクセスできる人々とアクセスが限られているか、まったくない人々の格差をなくすることである。その関連で、ITUはICTデータを収集、編纂し、その主な結果を「情報社会の測定報告(Measuring the Information Society Report)」に発表している。また、ICT能力と即応性の点から国のランクを決めた「ICT開発指数(ICT Development Index)」も載せている。

その目標を達成するために、ITUは、公共部門と民間部門が、地球の長期的利益のために共通の基準を利用してグローバルな電気通信ネットワークとサービスを提供できるようにする。具体的にITUが行っていることは以下の通りである。

  • 各国の通信インフラをグローバルなネットワークに連結させる基準を発展させ、24時間の情報交換を可能にする。例えば、5G(第五世代移動通信システム)、インターネット・オブ・シングス、グリーン・エネルギー、高度道路交通システム、などである。
  • 新しい技術をグローバルな電気通信ネットワークに取り入れ、新しいアプリケーションの開発と相互運用性を可能にする。
  • 無線周波数スペクトル帯と対地静止衛星軌道の割り当てを規制する国際規則や条約を採択する。これらはテレビ・ラジオ放送、携帯電話、人工衛星による通信システム、航空・海上航行と安全システム、無線コンピューターシステムなど、広範な設備によって利用される有限の資源である。
  • ICTおよび開発ブロードバンドの拡大と改善に努め、開発途上国のジェンダーのデジタル格差を縮小する。そのために政策助言、技術援助、プロジェクト管理、訓練を提供し、また科学技術行政、企業、融資機関、民間組織との間のパートナーシップを育成する。

その他の活動として、ITUはフォーカス・グループを開催し、デジタル・ファイナンスのような緊急の、市場志向の産業問題を取り上げる。また、セミナーやワークショップ、その他のイベントも開催する。「ITUテレコム・ワールド(ITU Telecom World)」(https://digital-world.itu.int/)は、ハイレベルの討論とICTコミュニティを超えた知識共有のプラットフォームで、政府や産業、とくに新興経済国の中小企業の代表が集まってすべての人のために協働し、ネットワークを結び、新しい技術を取り入れる。2016年テレコム・ワールドはバンコクで開かれた。ITUアカデミーのプログラムは、技術者、規制者、行政官、現地共同体を対象に、ICTの力の最善の利用法について研修コースを設ける。ITUの開発活動の重要な側面は、後発開発途上国がICTを取り込み、デジタル格差をなくせるように支援することである。ITUはまた、災害管理と緊急通信について加盟国を支援する。