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投資と開発出典「国連の基礎知識」

外国からの直接投資(FDI)が劇的な拡大を続けていることから、開発途上国はますます自国経済を海外からの投資に開放するようになった。同時に他の開発途上国へもより多く投資するようになった。国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)のように国連システムの各種機関がそうした発展を監視、評価し、開発途上国政府が投資を誘致できるように支援している。

世界銀行グループの2つの機関――国際金融公社と多数国間投資保証機関――が、開発途上国に対する投資を促進している。国際金融公社(IFC)はその諮問サービス活動を通して、政府が、国内外の民間の貯蓄および投資の流れを刺激するような環境を作れるように支援している。また、投資は収益をもたらすことを証明することによって、開発途上国に対する民間投資を動員する。2010年の会計年度に103カ国の528件のプロジェクトに対してこれまで最高の180億ドルを投資した。2010年会計年度現在、IFC は自己基金から7,500万ドル以上をコミットした。また、1956年の創設以来、開発途上142カ国の4,000社以上の企業に対して300億ドル以上の協調融資をアレンジした。

多数国間投資保証機関(MIGA)は、世界銀行に付属して投資保険を担当する機関である。その目標は、投資家に長期的な政治的危機保険を提供し、開発途上国に対する生産目的の民間投資を容易にすることである。すなわち、接収、送金、戦争、内乱の危機に対して保険を適用させる。また、諮問サービスも提供している。MIGA は啓発活動を行い、投資の機会に関する情報を流し、途上国の投資促進能力を高める技術援助も行う。2010年会計年度において、開発途上国の19件のプロジェクトに対して115億ドルの投資保証(保険)を発行した。1988年の事業開始以来、MOGA は100カ国以上のプロジェクトに対して224億ドルに達する980件の保証を発行した。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、開発途上国や移行経済諸国が対外直接投資を促進し、かつ投資環境を改善できるように支援する。UNCTAD は、これらの国の政府が対外直接投資政策の影響を理解し、そのための政策を策定し、実施できるように支援する。

UNCTAD は投資、貿易、企業開発、技術的能力育成の間の関係をよりよく理解できるように援助し、グローバルな海外直接投資の動向について調査研究を行う。その結果は毎年「世界投資報告書」、「投資政策レビュー」、「世界投資デレクトリー」やその他の研究論文で発表される。

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対外直接投資と開発

対外直接投資(FDI)は依然として世界経済の推進力となっている。投資の流れが拡大していることは、先進工業国と開発途上国の双方において多国籍企業(TNCs)が中心的役割を果たしていることを物語っている。以下はUNCTAD の「2010年世界投資報告書」によるものである。

  • FDI 総額は2008年から37パーセント減少し、2009年の1兆1000億ドルとなった。しかし2010年上半期には穏やかな回復を見せた。世界的には投資総額は2010年には1兆2,000億ドル、2011年には1兆3,000億ドルから1兆5,000億ドル、2012年には1兆6,000億ドルから2兆ドルに達すると予測される。
  • 開発途上国および移行経済国はFDI 回復をリードしている。グローバルな対内投資額の半分を占め、世界の対外投資額の25パーセントを投資し、2010年にも対外直接投資の好ましい投資先であった。
  • 多国籍企業は主要な二酸化炭素排出者であると同時に低炭素経済への投資家でもある。気候変動問題の原因であると同時に問題への解決でもある。2003-2009年、低炭素排出FDI プロジェクトとの40パーセントは開発途上国でのプロジェクトで、より「グリーン」なFDI が開発途上国へ流入する可能性はある。
  • 低炭素FDI は、2009年の900億ドルの流入とともに、相当のレベルに達したと予想される。既存の多国籍企業は主要な投資家であるが、新しい影響力を持った企業も出てきている。南の企業や異産業の多国籍企業である。
  • 開発途上国および移行経済国は、外資系企業の労働力の大多数を提供し、2008年の世界の82,000社の多国籍企業の28パーセントを占めた。多国籍企業による外国人雇用は2009年に8,000万人に増加した。
  • 投資政策傾向に二分化が出てきており、より以上の投資の自由化と促進を求める動きがある一方で、公共政策反対を追及して投資の規制を求める動きである。