• プリント

経済社会開発出典「国連の基礎知識」

p_image_153

UN Photo/Fred Noy

ほとんどの人は国連を平和と安全の問題に結びつけて考えるが、実際には国連の資源の大部分は「一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的な進歩及び発展の条件」を促進するという国連憲章が定めた誓約の実行に振り向けられている。国連が行ってきた開発努力は世界の何百万という人々の生活や福祉に大きな影響を与えてきた。こうした国連の努力を導いてきたのが、世界のすべての人々の経済的、社会的福祉が確保されてはじめて恒久的な国際の平和と安全が達成されるとの信念であった。

1945年以来地球規模で多くの経済的、社会的変革が起こった。その方向性や形態は国連の活動から大きな影響を受けてきた。国の開発努力を支援し、それに必要なグローバルな経済環境を育てるには国際協力は欠かせない。国連はコンセンサス達成のためのグローバルな中心機関として、そうした国際協力のための優先順位や目標を設定してきた。

1990年代以来、国連は、一連のグローバルな会議を開催し、国際的な課題に関する重要な、新しい開発目標を策定し、促進するための場を提供してきた。国連は女性の地位の向上、人権、持続可能な開発、環境保全、よい統治のような問題を開発のパラダイムに組み込む必要を説いてきた。こうしたグローバルなコンセンサスは、1961年に始まった一連の「国連開発のための10年」を通しても表明された。これらの幅広い政策や目標に関する声明は、それぞれの10年でとくに関心の強い問題を強調する一方で、社会的、経済的を問わず、開発のすべての面に進歩が必要であり、かつ先進工業国と開発途上国との格差を埋めることが重要であることを一貫して強調してきた。20世紀が終わる頃には、これらのコミットメントを統合された、調整の取れた方法で実施することに焦点が移った。

2000年のミレニアム・サミット(Millennium Summit)で、加盟国は、国連の将来の進路のための広範な目標を載せたミレニアム宣言を採択した。宣言は、2015年までに達成すべき期限を定めた測定可能な8つの目標を掲げた行程表に具体化された。「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs」として知られるものである。開発目標が目指していることは、極度の貧困と飢餓を撲滅すること、初等教育の完全普及を達成すること、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントを促進すること、幼児死亡率を下げること、妊産婦の健康を改善すること、HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病と闘うこと、環境の持続可能性を確保すること、開発のためのグローバル・パートナーシップを発展させること、である。国際社会は、2005年の世界サミットでこれらの目標に対するコミットメントを再度確認した。

2010年9月、ミレニアム開発目標(MDGs)に関する国連サミット(以前はミレニアム開発目標(MDGs)に関するハイレベル会合として知られる)は、2015年の目標期日までに8つの貧困撲滅目標を達成するためのグローバル行動計画を採択し、かつ女性と子供の健康に対する新たなコミットメントと貧困、飢餓、疾病と闘う他のイニシアチブを発表して閉会した。藩基文事務総長は、予算上の問題があるかも知れないが、貧しい人々への援助は続けるよう豊かな国に訴えた。

経済社会問題に関する国際的な討議は、国境を超える多くの問題を解決するにあたっては富める国も貧しい国も利害が共通していることをますます反映するようになった。難民人口、組織犯罪、薬物の取引、エイズ、気候変動のような問題は、グローバルな問題であって、行動には調整が必要である。ある地域における慢性的な貧困と失業は、移住や社会的崩壊、紛争などを通して直ちに他の国々にも影響を及ぼす。同様に、グローバル経済の時代にあっては、一国の金融不安は直ちに他の国の市場でも感じられる。

また、経済社会開発を進める上で民主主義、人権、市民参加、良い統治、女性のエンパワーメントが果たす役割についてもコンセンサスが増してきた。

グローバル化が恩恵をもたらすように

2000年9月の「ミレニアム宣言」において、世界の指導者は、国際社会が直面する中心的課題を強調した。すなわち、グローバル化がすべての人々にとってプラスの力となるようにすることである。しかし、グローバル化が成功するには、人々が「自分たちもその一員である」と感じなければならない、と事務総長は、ミレニアム・サミット宛ての報告、「われら人民は:21世紀における国連の役割」の中で述べた。グローバル化がもたらす恩恵は明らかである。より速い経済成長、より高い生活水準、国や個人のための新たな機会である。しかし、これらの恩恵は平等には分配されていない、と事務総長は述べている。

グローバルな企業は、グローバルな「企業市民」の概念を行動の指針とし、かつ営業するいかなる地域においても良い慣行を実践しなければならない。公平な労働基準を促進し、人権の尊重や環境の保全に努めなければならない。

ミレニアム・サミットに続いて2005年、2010年とサミットが開かれ、2000年宣言が再確認された。

国連は、市民社会、民間セクター、議員、地方自治体、学術団体、教育機関など、多くの主体がグローバル化に参加できるようにすることによって、変革のための連合を作り出すことに努めている。国連は、グローバル化がすべての人に恩恵をもたらし、また機会は特権を持った人々だけではなく、すべての人に与えられるように全力を尽くしている。