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潘基文(パン・ギムン)事務総長が訪日、TICAD V に出席

2013年06月19日

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が2013年5月31日から6月3日にかけて、日本を公式訪問しました。通算7度目となる今回の訪日の主な目的は、横浜市で開催された「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」への出席です。

アフリカの開発をテーマとするTICAD は、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)および世界銀行と共同で開催されている国際会議です。1993年の第1回会議以降、5年に1度の首脳級会合が開かれており、潘事務総長が出席するのは今回が初めてとなりました。「躍動のアフリカと手を携えて」を全体テーマとする今会議には、アフリカ51カ国、35カ国の開発パートナー諸国およびアジア諸国、74の国際機関および地域機関の代表並びに民間セクターやNGOなど市民社会の代表ら、約4,500名以上が参加し、前回規模を上回る最大規模の国際会議となりました。

前夜遅くに成田空港に到着した潘事務総長は6月1日(土)、TICAD Vのオープニングにてスピーチを行い、アフリカが「ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向け、大きな前進を遂げている」一方で、「依然として、何百万もの人々が仕事、ヘルスケア、そして食料の不足に苦しんでいる」と述べました。そして、「恒久的な解決策を見つけるためには、平和、安全、そして開発を結びつけることに取り組まねばならない」として、経済、社会、環境を三本柱とするアフリカ支援を呼びかけました。

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この後、事務総長はTICAD共催団体の一つである世界銀行グループジム・ヨン・キム総裁、およびコートジボワールウワタラ大統領マリトラオレ暫定大統領と個別会談を行った後、岸田文雄外務大臣と会談を行いました。事務総長は、TICAD会議の開催とアフリカにおけるMDGs 達成に向けた日本の貢献に感謝を伝えたほか、人間の安全保障、平和維持、平和構築をはじめ、多くの分野で先導的な役割を果たしていることを高く評価すると述べました。このほか、シリア情勢、朝鮮半島情勢などについても意見交換を行いました。

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この後、事務総長一行は日本にある国連諸機関の代表とランチ・ミーティングを行いました。国連大学デイビット・マローン学長が主催したミーティングには、福岡や大阪など遠方からの参加者も含めて20名近くが集まり、日本における国連の諸活動や国連に対する人々の関心や期待について意見交換がなされました。

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この日の午後、事務総長はアフリカ各国の首脳級らとの会談を精力的に続け、チュニジアマルズーキ大統領エジプトカンディール首相ベニンヤギ大統領、そしてアフリカ連合委員会(AUC)のズマ委員長ほかと意見交換を行いました。また、同夜には「第2回野口英世アフリカ賞授賞式・記念晩餐会」に潘淳沢夫人を伴って出席。同賞は、アフリカでの感染症などの疾病対策のため、医学研究・医療活動の両分野において顕著な功績を上げ、保健と福祉の向上に貢献した人を称える賞です。第2回目の受賞者は、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の前事務局長で、現在、ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院学長を務めるピーター・ピオット博士、そして、マケレレ大学感染症研究所所長のアレックス・G・コウティーニョ博士の二人でした。

翌6月2日(日)、潘事務総長の一日は、安倍晋三総理大臣との会談でスタートしました。事務総長は、国連における日本の積極的な役割に深い感謝の意を表しつつ、国連改革やポスト2015年開発アジェンダに関しても、日本が強力なリーダーシップを発揮する必要性を強調しました。また、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)など、日本の国連平和維持活動(PKO)への参加を含め、平和と安全の問題に対する積極的な関与に謝意を表しました。

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TICAD第2日目の午前は、5つのテーマ別会合が並行して行われ、事務総長はまずテーマ別会合3「ポストMDGsに向けて」に議長として出席しました。冒頭の挨拶の中で事務総長は、「MDGs を引き継ぐ枠組づくりのプロセスは、私たちの国際的な開発に対する考え方を変える機会になる」とし、「MDGsの強みをさらに広げ、地球を守りながら人々のエンパワーメントを図る」ことが目標であると述べました。そして、会合出席者に対し、より持続可能な未来に向けた基盤の整備に一緒に取り組んでほしいと呼び掛けました。

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続いてテーマ別会合1「開発の原動力としての民間セクター、貿易と投資」に出席した事務総長は、「大きな潜在能力を秘めたアフリカだが、依然として貧困、失業、そして政情不安と闘っている人々には手を差し伸べなければならない」と述べました。そして、「企業は食料やエネルギー、必須サービスに対するアクセスの改善とディーセント・ワークの提供に貢献できる」と呼びかけ、民間セクター、貿易、そして投資がもつ「変革の力」をさらに活用することで課題に取り組めると強調しました。

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その後、ソマリアモハムッド大統領と会談を行った事務総長は、世界銀行、国連開発計画(UNDP)、日本政府が共催する「ハイレベル・パネル・セッション:アフリカの開発-災害と気候変動に対して強靭な社会を目指して」に出席しました。

アフリカは、将来の世界の成長センターと期待されるものの、もともと自然災害に弱く、その危険に常にさらされているのが現状です。今後、気候変動要因が進むとともに、各地で急速に進む経済成長と都市化の影響によって潜在的な災害リスクは一層大きくなると考えられ、また、環境破壊や資源の枯渇などの悪影響を避ける対策も重大な課題となります。こうしたことから、TICAD Vで議論が行われ、出席した国際社会のリーダーたちは「災害と気候変動に強い社会の構築は、アフリカの開発の成果を守るだけでなく、同大陸で弱者に配慮した成長をさらに加速させるために必要」との意見の一致を見ました。

-ハイレベル・パネル・セッションの詳細はこちら(世界銀行ウェブサイトへ)
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続いて事務総長はTICAD全体会合4「平和と安定」に出席。サヘル地域やマリなど、アフリカの平和と安定に関する喫緊の課題についての議論に加わりました。事務総長は「アフリカでの紛争は過去に比べて減少しているが、新たな脅威が生まれつつある」とし、越境犯罪や海賊・テロ行為、過激派の活動の活発化を挙げました。そして「アフリカ全土で、平和の礎としての開発を進めなければならない」と述べて、国際社会の積極的な関与を求めました。

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事務総長はこの日もアフリカ各国の首脳級らとの会談を精力的に続け、南スーダンサルバキール大統領モーリシャスラングーラム首相ボツワナカーマ大統領ほかと意見交換を行いました。

ところで、今回の訪日に同行した潘淳沢・事務総長夫人は、TICADに出席するアフリカ各国首席代表の配偶者を対象とした2日間のプログラムに参加しました。これは安倍昭恵総理夫人の主催によるもので、潘夫人は国際シンポジウム「エイズを考える:アフリカと日本の共通課題」でスピーチを行い、「地産地消」をめざした横浜農業の取り組みを視察。また、書道やかんざし作りなど伝統文化の体験行事を通じて日本への理解を深めると共に、アフリカ各国首脳夫人らとの交流を深めました。1日(土)には安倍総理夫人との個別会談も行うなど、様々な形で事務総長へのサポートに努めました。

-配偶者プログラムの模様は以下をご覧ください。(外務省ウェブサイトへ)
1日目
2日目・午前
2日目・午後

事務総長は2日夜、ロールバック・マラリア・パートナーシップと世界エイズ•結核•マラリア対策基金(世界基金)が共催する「マラリアと開発課題に関するレセプション」に出席。リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領らと共に、マラリア対策への支援を訴えました。その後、安倍総理が主催するTICAD公式晩餐会に出席し、一連の訪日プログラムを締めくくりました。

翌3日(月)午前、事務総長は成田空港から一路、国連本部のあるニューヨークに向けて旅立ちました。

* *** *

「躍動のアフリカと手を携えて」を基本メッセージにした「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」。今後のアフリカ開発の方向性について活発な議論が3日間にわたって繰り広げられた©UN Photo/Richard Bajornas
開会式に先立って行われた写真撮影から。TICAD V には39名の国家元首・首脳級を含むアフリカ51カ国の代表らが出席(6月1日)© UN Photo/Richard Bajornas
全体会合で開会挨拶を行う潘基文事務総長(6月1日)© UN Photo/Richard Bajornas
岸田文雄外務大臣と会談(6月1日)© UN Photo/Richard Bajornas
日本にある国連諸機関の代表とランチ・ミーティングを行い、日本画をバックに笑顔を見せる事務総長(6月1日)© UN Photo/Richard Bajornas
安倍晋三総理大臣と会談(6月2日)© UN Photo/Richard Bajornas
テーマ別会合3「ポストMDGsに向けて」に議長として出席。ポスト2015年枠組みの中で、アフリカの関心事項に取り組むよう必要性を訴えた(6月2日)© UN Photo/Richard Bajornas
「ハイレベル・パネル・セッション:アフリカの開発-災害と気候変動に対して強靭な社会を目指して」は、TICAD Vの全共催者、安倍総理、岸田外相らが出席する大きなイベントとなった(6月2日)© 世界銀行東京事務所
TICAD配偶者プログラムに参加する潘淳沢・事務総長夫人(左から3人目)。横浜野菜の視察や伝統文化体験などが盛り込まれた2日間のプログラムは、安倍昭恵・総理夫人(同2人目)が主催して行われた(6月2日)© 外務省
「マラリアと開発課題に関するレセプション」に出席、マラリア対策へのさらなる支援を呼びかける事務総長(6月2日)© UN Photo/Richard Bajornas
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