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刑事裁判所と特別法廷出典「国連の基礎知識」

1990年代、理事会は旧ユーゴスラビアおよびルワンダとその近隣諸国において犯したとされる重大な犯罪疑惑を訴追する特別の目的を持つ二つの国際刑事裁判所を理事会の補助機関として設置した。2010年、理事会は、これら二つの時限的な刑事裁判所がその任務を完了した後もその管轄権、権利、基本的な機能を継続する司法機関を同じくその補助機関として設置した。また、国連からかなりの支援を受けて三つの「ハイブリッド」裁判所がカンボジア、レバノン、シエラレオネによって設置された。これらの裁判所は常設の裁判所ではなく、その目的が達成され次第なくなる。シエラレオネの裁判所は2013年12月にその任務を完了した。

ルワンダ国際刑事裁判所www.unmict.org
International Criminal Tribunal for Rwanda(ICTR)

1994年に安全保障理事会によって設立されたルワンダ国際刑事裁判所は、1994年にルワンダにおいて犯した集団殺害やその他国際人道法の重大な侵害に責任を有する人々や近隣の国々でそうした侵害を行ったルワンダ人を訴追する。裁判所は、1994年に集団殺害に関与し、かつ人道法に違反したとして93人を起訴し、容疑者のうちの85人について裁判を終了し、残りの8人の事件については他の裁判所に移送された。裁判所は2015年12月にその任務を完了し、国際刑事裁判所メカニズム(MICT)によってその残余機能が引き継がれた。

旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所www.icty.org
International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia(ICTY)

旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所は1993年に安全保障理事会によって設立され、1991年以来旧ユーゴスラビアにおいて集団殺害、戦争犯罪、人道に対する罪を犯した人々を訴追する。裁判部、書記局、検察官で構成される。2016年10月13日現在、7人の常任裁判官と1人の臨時裁判官、62の国籍を持つ393人の職員の構成であった。その2016‒2017年度の通常予算は1億1360万ドルであった。裁判所は、1991年から2001年にかけてボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、コソボ、セルビア、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国の様々な民族グループの人々に対する犯罪の容疑者として161人を起訴した。起訴された人々の中には国家元首や首相、軍の参謀総長、内務大臣、その他多くのユーゴスラビア紛争当時のハイレベルの政治、軍部、警察の指導者などが含まれている。当時の地位に関係なく責任のある個人をすべて勾留することによって、裁判所は戦争犯罪の刑事免責を廃止することに貢献した。

国際刑事裁判所メカニズム
Mechanism for International Criminal Tribunals(MICT)

国際刑事裁判所メカニズムは2010年に安全保障理事会によって設立され、ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)および旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)がそれぞれの任務を完了した後にその管轄権、権利、義務、基本的機能を継承する。MICTは訴追できなかった8人のICTR容疑者を発見、逮捕、裁判を行い、ICTR、ICTY、MICT事件における控訴審に対応し、ICTR、ICTY、 MICTの犠牲者および目撃証人を保護し、ICTR、ICTY、MICTの判決の執行を監督し、国内刑事司法手続きを支援し、ICTR、ICTY、MICTの公文書を保存、管理する。MICTは「裁判部」、「検察官」、「書記局」の三つの機関から構成され、2カ所に支所を持つ。一つはタンザニアのアルーシャにあり、2012年7月1日に作業を開始した。もう一つはオランダのハーグにあり、2013年7月1日に作業を開始した。裁判長、検察官、書記は両支所にも共通である。MICTには25人の独立した裁判官がおり、裁判長とは異なり、必要に応じて裁判官を務める。支所には裁判長の要請があった時のみ出席する。裁判官はできるだけその機能を間接的に果たす。2016年6月現在、63の国籍を有する331人の職員が務める。2016‒2017年度予算は1億3740万ドルであった。現在、MICTはカラジッチとシェシェリの控訴審、スタニシッチとシマトビッチの事件の再審にかかわっている。

シエラレオネ残余特別裁判所www.rscsl.org
Residual Special Court for Sierra Leone(RSCSL)

シェラレオネ残余特別裁判所は、2010年8月にシエラレオネ政府と国連とが共同で設立したもので、世界の最初の「ハイブリッド」国際刑事裁判所であった「シエラレオネ特別裁判所」の継続する法的義務を監視する。2013年12月、シエラレオネ特別裁判所は、ニュルンベルク以来最初の司法的任務を完了させる国際刑事裁判所となった。残余特別裁判所は2014年1月1日に活動を開始し、証人や犠牲者を保護支援し、判決の執行を監督し、記録を保存管理し、法律扶助を実施し、法廷侮辱罪を取り上げ管理し、裁判の再検討を行い、情報提供の要請に従って国内機関を支援する。残余特別裁判所は加盟国からの自発的拠出金によって賄われる。しかし、2016年は、その年に受けた自発的拠出金が不十分であったことから残余特別裁判所は国連から補助金を受けた。残余特別裁判所は、戦争犯罪や人道に対する犯罪で有罪判決を受けた人々の条件付き早期釈放の制定など、様々な形で国際刑事法の発展に貢献している。市民防衛軍(CDF)の元指導者であったモイニナ・フォファナは、2014年8月に条件付きで早期釈放された最初の有罪判決者であった。

カンボジア裁判所内設置の特別法廷www.eccc.gov.kh
Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia(ECCC)

「民主カンプチア時代に行われた犯罪の訴追に関するカンボジア裁判所内設置の特別法廷」は、民主カンプチア(クメール・ルージュ政権)の最高幹部や1975年4月17日から1979年1月6日までの期間に犯した犯罪や重大な法律違反を行った人々を裁判する目的で、カンボジアと国際連合との間に結ばれた2006年の協定に基づいて設立された。国連の支援は「国連クメール・ルージュ裁判支援事業(United Nations Assistance to the Khmer Rouge Trials: UNAKRT)を通して行われ、これがECCCの国際的側面を構成している。そのため国連は職員を国際的に採用し、カンボジア政府の担当職員を共に作業を進めている。予審裁判部と第一審裁判部はそれぞれ5人の裁判官で構成され、そのうちの3人がカンボジア人とし、その中から裁判長を選ぶ。最高審裁判部は7人の裁判官から構成され、そのうちの4人がカンボジア人とし、そのうちの1人を裁判長にする。国際裁判官は国連事務総長の指名に基づいてカンボジア司法官職最高評議会が任命する。

レバノン特別法廷www.stl-tsl.org
(Special Tribunal for Lebanon: STL)

レバノン特別法廷は、2005年のレバノン政府の要請を受けて安全保障理事会によって2007年に設立され、2005年2月14日にベイルートで行われたラフィク・ハリーリ元レバノン首相とその他の22人の暗殺事件の容疑者を訴追する。特別法廷は2009年3月1日に運営を開始したが、2004年10月1日から2005年12月12日の間にレバノンで行われた攻撃で2005年2月14日の攻撃に関連していると決定された場合には、その重大さと性質にかんがみて、そうした攻撃に関しても管轄権を有する。2015年、特別法廷の任務は2018年2月28日まで延長された。2016年1月1日、主要事件である検察官対アヤシュその他の公判が始まった。5人の容疑者が2005年2月の事件にかかわったとされている。2016年7月、容疑者の一人が死亡していると決定され、起訴内容が修正された。秘密の目撃情報の公表に関連して、2件の法廷侮辱罪についての裁判が行われた。検察局は、追加の起訴状を提出できるかを決める3件の関連事件についての捜査を続け、また特別法廷の任務の一部となるその他のテロ攻撃の分析も行っている。

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