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TICAD V 事務総長挨拶 「開発の言動力としての民間企業、貿易、投資」

2013年06月11日

「開発の原動力としての民間企業、貿易、投資」
(横浜、2013年6月2日)

民間企業と貿易、投資に関するこの重要な会合で議長を務められているジム・ヨン・キム世界銀行総裁に感謝いたします。

アフリカは今まさに、その大きな潜在能力を発揮しようとしています。目を見張るような成長と、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた大きな前進も見られています。

そして今、私たちは、依然としてアフリカで貧困、失業、そして情勢不安と闘い続ける男性、女性に対し、手を差し伸べなければなりません。

私たちは民間企業、貿易、そして投資が有する変革の力をさらに活用することで、こうした課題に取り組むことができます。規模の大小を問わず、企業は食料やエネルギー、必須のサービスに対するアクセスの改善と、ディーセント・ワークの提供に貢献できるのです。

アフリカ大陸は全体として、まだグローバル経済の片隅に追いやられた状態にあります。サハラ以南アフリカからの輸出は、世界貿易全体のわずか3%にすぎません。

アフリカが全世界の外国直接投資フローに占める割合も、たった3.5%です。アフリカの貿易と投資は今でも、限られた相手国に輸出される限られた商品に集中しています。

より有利な条件でアフリカのグローバル経済への統合を進めれば、その経済の多様性と強靭性を高めることに役立つことでしょう。

責任ある外国投資は、政府開発援助(ODA)を含むその他どのような開発資金源よりも、アフリカにとって大きな潜在的可能性を秘めています。

多国籍企業がアフリカに責任ある投資を行えば、バリューチェーンや最先端技術、イノベーションへのアクセスが開け、雇用創出にも貢献するでしょう。

進歩に向けた道を切り開くためには、アフリカ諸国が積極的な政策を採用するだけでなく、そのパートナーもこれを可能にする国際環境の整備に一役買わなければなりません。腐敗を終わらせることは、すべての人々の責任です。

貿易も成果をもたらすことができます。ドーハ・ラウンド貿易交渉を完結し、アフリカ企業の主要市場に対するアクセスを確保することが重要です。非関税障壁への取り組みも欠かせません。

アフリカは従来の市場以外でも、機会を模索すべきです。新興経済国は、アフリカの一次産品貿易の牽引役となっています。今こそ、このつながりを拡大し、付加価値型製品への転換を継続すべきです。

アフリカ域内貿易の規模は、他のどの大陸よりも小さくなっています。私は、加盟国間の貿易拡大に向けたアフリカ連合(AU)の取り組みに拍手を送ります。

私たちは、インフラの不備による弊害にも取り組む必要があります。ビジネスを成り立たせるうえで、エネルギー、交通、通信システムの整備は不可欠だからです。

アフリカには、エネルギー資源開発の大きな可能性が残っています。私のイニシアティブ「すべての人のための持続可能エネルギー」は、前進に向けた起爆剤となり得ます。アフリカ内外の投資家や起業家は、アフリカが秘めたグリーン成長の可能性の実現を助けることができます。

私たちはまた、環境を守りながら生産性を向上させることができる新たな農業技術をアフリカに提供すべきです。私は企業に対し、国連と世界銀行が策定した「責任ある農業投資原則」を遵守するよう強く促します。

投資家は現地の中小企業の成長も支援することができます。

いずれの場合にも、投資家は人権と財産権を尊重すべきです。

資源採取産業についても、より責任ある透明な投資が求められます。アフリカ諸国には、豊富な天然資源に対する公正な補償を認められてこなかったという長く険しい歴史があります。「アフリカ進捗パネル」は最近、この不透明な採掘契約が引き続き問題となっているとの調査結果を発表しました。

国連と世界銀行は、アフリカの目標達成を助けることを約束しています。私は先週、国連事務総長と世界銀行総裁による初の共同訪問として、キム氏とともにアフリカを訪れましたが、私たちはその際にも、持続可能な成長が平和と安定の礎であるとのメッセージを伝えました。

この目標の達成に向け、力を合わせていこうではありませんか。

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