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事務総長出典「国連の基礎知識」

Secretary-Genaral

事務総長室は事務総長と上級顧問から構成され、一般的な政策を策定し、国連に対して総合的な指示を出す。外交官にして唱道者、公務員であると同時に最高経営責任者でもある国連事務総長(www.un.org/sg)は、国連の理想の象徴であり、世界の人々、とくに貧しい者や弱い者の代弁者である。

国連憲章の下に、事務総長は安全保障理事会の勧告に基づいて総会が任命する。8代目の国連事務総長は大韓民国出身の潘基文氏で、2007年に就任し、2012年に2期目の5年の任期を開始した。潘基文事務総長の前任者は以下の通りである。1946年2月から1952年11月の辞任まで在職したノルウェーのトリグブ・リー(Trygve Lie)、1953年4月からアフリカの飛行機事故で殉職した1961年9月まで在職したスウェーデンのダグ・ハマーショルド(Dag Hammarskjold)(在任中に死亡したただ一人の事務総長)、事務総長代行として任命された1961年11月(事務総長として正式任命は1962年11月)から1971年12月まで在職したビルマ(現ミャンマー)のウ・タント(U Thant)、1972年1月から1981年12月まで在職したオーストリアのクルト・ワルトハイム(Kurt Waldheim)、1982年1月から1991年12月まで在職したペルーのハビエル・ペレス・デクエヤル(Javier Perez de Cuellar)、1992年1月から1996年12月まで在職したエジプトのブトロス・ブトロス=ガーリ(Boutros Boutros=Ghali)、1997年1月から2006年12月まで在職したガーナのコフィー・アナン(Kofi Annan)である。

国連憲章は事務総長を国連の「行政職員の長」であると規定している。事務総長はその資格の下に行動し、かつ安全保障理事会、総会、経済社会理事会、その他の国連機関が事務総長に「委託するその他の任務」を遂行する。憲章はまた、国際の平和と安全の維持を脅かすと認める事項について安全保障理事会の注意を促す権限も事務総長に与えている。これらの指針は事務総長の任務と権限を定義づけると同時に、かなりの幅広い行動を許している。事務総長は加盟国のニーズと関心事を考慮に入れなければならない。その一方で、事務総長は国連の価値と道徳的権威を掲げ、時には同じ加盟国に異議を唱え、挑戦するという危険を冒しながらも平和のために独自に発言し、行動しなければならない。事務総長は毎日慎重にこのバランスを維持している。個々の加盟国の視点や意図に配慮しながら地球規模の問題の解決を探る。また、世界歴訪の旅を続けて加盟国の市民に会い、国際的な課題となっている問題が具体的にどのような影響を世界の人々の生活に及ぼすかを自身で体験する。

事務総長は年次報告を発表して国連活動を総括し、将来の優先課題を概説する。しかし、事務総長が果たすもっとも重要な役割の1つは、事務総長の「周旋」である。これは、事務総長の独立性、公平さと誠実性を利用して、国際紛争が発生、拡大、拡散するのを防ぐために、事務総長が公的にまたは私的にとる措置である。これまで、事務総長の特別代表や個人代表や使節団のよる作業も含め、事務総長の「周旋」はキプロス、東ティモール、イラク、リビア、中東、ナイジェリア、西サハラなど、様々な情勢において成果を生んだ。

それぞれの事務総長は、在職中の国連に課せられる時代の要求に照らしてその役割を決める。全体的に、潘基文事務総長の一期目の優先課題は気候変動、軍縮、グローバルな金融危機および貧困との戦い、保健、平和と安全保障、女性の権利とエンパワーメント、世界の人々を集団殺害、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪から保護すること、それと国連改革、であった。在任二期目の優先課題は、「世代間の要望と機会」と名付けているように、持続可能な開発を促進すること、自然災害リスク、武力紛争、人権侵害、経済的打撃を防止すること、より安全かつ安心な世界を構築すること、移行期の国々を支援すること、女性および若者とともに働き、かつ彼らのために働くことである。近年国連の平和維持に対する要求は空前の勢いで増えており、事務総長は就任後間もなくそのペースに対応できるように基本的な構造改革を提案した。その結果、国連総会は、平和維持活動の日常の管理を担当する「フィールド支援局(DFS)」の設置を承認した。これによって、「平和維持活動局(DPKO)」は全体的な戦略、計画の策定、展開についての作業に専心できるようになった。事務総長の「団結しよう、女性への暴力を終わらせるために(UNiTE to End Violence against Women)」は、世界のあらゆる地において女性や女児に対する暴力を防止し、かつ排除することを目的としたものである。事務総長はまた「国連軍縮部」を設け、軍縮問題担当上級代表を任命した。

事務総長は、グローバルな問題について国連が新しい時代の要求に応えられるようにするこれまでの活動をさらに進める行動もとる。たとえば、2000年7月に発足したグローバル・コンパクトである。これはネットワークをベースにしたイニシアチブで、民間の企業が国連機関、政府、労働団体や非政府組織とともに人権、労働、腐敗との戦い、環境の分野で普遍的に認められた9つの原則を推進するものである。発足以来、参加者の数は10,000を超え、それには7,000社を超える企業、それに国際や国内の労働団体、開発途上国を中心とした145カ国の何百という市民社会組織が含まれる。

1998年以来、歴代の事務総長は世界の著名な人々をまず2年の任期で「国連ピース・メッセンジャー」として任命してきた(http://outreach.un.org/mop/)。ピース・メッセンジャーは芸術、文学、音楽、スポーツの分野から慎重に選ばれた著名人で、国連の活動に世界の関心を向けさせるために進んでその時間や才能、情熱を提供している。現在の「ピース・メッセンジャー」は11人で、ハヤ・ビント・アル・フセイン王女、ダニエル・バレンボイム、ジョージ・クルーニ、パウロ・コエーリョ、マイケル・ダグラス、ジェーン・グドール、五嶋みどり、ヨーヨー・マ、シャーリーズ・セロン、エリ・ヴィーゼル、スティービー・ワンダー、である。2010年、エドワード・ノートンが「国連生物多様性親善大使」に任命された。これは事務総長が任命した最初の親善大使である。そのほかにもおよそ200人の親善大使が国連や国連システムのさまざまな機関の目的や活動を支援している。

副事務総長

カナダのルイーズ・フレシェットが1998年に初代副事務総長に任命された。その後、2006年にイギリスのマーク・マロック・ブラウン、2007年にタンザニアのアーシャ=ローズ・ミギロ、2012年にスウェーデンのヤン・エリアッソンが引き継いでいる。