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刑事裁判所と特別法廷出典「国連の基礎知識」

過去20年間にわたって理事会は旧ユーゴスラビアおよびルワンダで行われた人道に対する罪を訴追する特別の目的を持った、地域を限定した2つの国際刑事裁判所を理事会の補助機関として設置した。それと同時に、カンボジア、レバノン、シエラレオネは国連からかなりの支援を受けて3つの「合同の」裁判所を設置した。これらの裁判所は常設の裁判所ではなく、その目的が達成され次第なくなる。

旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所www.icty.org
International Criminal Tribunal for the former Yugoslavia(ICTY)

旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所は1993年に安全保障理事会によって設立され、1991年以来旧ユーゴスラビアにおいて集団殺害、戦争犯罪、人道に対する罪を犯した人々を訴追する。裁判部、書記局、検察官で構成される。16人の常任裁判官と12人の臨時裁判官(いつでも12人まで要請できる)、77の国籍を持つ873人の職員を持つ。2012-2013年度の通常予算は2億5,080万ドルであった。裁判所は、クロアチア(1991-1995年)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(1992-1995年)、コソボ(1998-1999年)、旧ユーゴスラビア・マケドニア(2001年)の紛争で犠牲となった何千人もの人々に対する犯罪の容疑者として161人を起訴した。当時の地位に関係なく責任のある個人をすべて勾留することによって、裁判所は戦争犯罪の刑事免責を廃止することに貢献した。

ルワンダ国際刑事裁判所www.unictr.org
International Criminal Tribunal for Rwanda(ICTR)

1994年に安全保障理事会によって設立されたルワンダ国際刑事裁判所は、1994年にルワンダにおいて犯した集団殺害やその他国際人道法の重大な侵害に責任を有する人々や近隣の国々でそうした侵害を行ったルワンダ人を訴追する。3つの第一審裁判部と1つの上訴裁判部は、16人の独立した裁判官で構成される。同じ国から2人の裁判官を出すことはできない。それぞれの第一審裁判部に3人の裁判官、上訴裁判部には5人の裁判官がおり、上訴裁判部は旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所と共有である。また、18人の臨時裁判官を有し、そのうちの9人はいつでも要請できる。2012年6月30日現在、職員の数はおよそ68カ国の国籍を有する524人であった。2012-2013年度予算は1億7100万ドルであった。2013年5月10日現在、裁判所は、第一審裁判部レベルで、起訴された93人の容疑者全員の裁判を終了した。46人の容疑者の控訴審も終了した。残り1件の控訴審も2014年中には終了する予定である。有罪判決を受けた者の中には集団殺害の発生当時ルワンダ首相であったジャン・カンバンダも含まれる。逮捕され、集団殺害罪の罪で裁判にかけられた最初の政府首脳である。

シエラレオネ特別裁判所www.rscsl.org
Special Court for Sierra Leone(SCSL)

シエラレオネ特別裁判所は、2000年に安全保障理事会の要請を受けてシエラレオネと国連との共同で2002年に設置された。特別裁判所は、1996年11月30日以降シエラレオネ領土内において国際人道法およびシエラレオネの関連法に対する重大な違反に責任を有する人々を裁判するよう求められている。特別裁判所は、裁判部(上訴裁判部、第一審裁判部I、第一審裁判部II を含む)、書記局(Defence Office を含む)、検察官の3つの機関から構成される。特別裁判所は政府からの任意の拠出金によって賄われる最初の国際刑事裁判所である。これまで世界の40カ国以上の国々から拠出を受けた。2012年4月26日、第一審裁判部II は、リベリアのチャールズ・テーラー元大統領は1998年12月から1999年2月にかけてシエラレオネの反政府攻撃の計画に参加した、との判決を裁判官全員で行った。

カンボジア裁判所内設置の特別法廷www.eccc.gov.kh
Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia: ECCC

民主カンプチア時代に行われた犯罪の訴追のためのカンボジア裁判所内設置の特別法廷は、人道に対する罪、戦争犯罪、集団殺害など、1975年4月17日から1979年1月6日までの期間に国際人道法およびカンボジアの法律に重大な違反を行ったクメール・ルージュの上級指導者や責任者を裁く目的で、カンボジアと国際連合との間に結ばれた2006年の協定に基づいて設立された。公判前裁判部と第一審裁判部はそれぞれ5人の裁判官で構成され、そのうちの3人がカンボジア人とし、その中から裁判長を選ぶ。最高審裁判部は7人の裁判官から構成され、そのうちの4人がカンボジア人とし、そのうちの1人を裁判長にする。国際裁判官は国連事務総長の指名に基づいてカンボジア司法官職最高評議会が任命する。国連クメール・ルージュ裁判支援事業(United Nations Assistance tothe Khmer Rouge Trials: UNAKRT)(www.unakrt-online.org)は、特別法廷に技術的な支援を提供している。

レバノン特別法廷www.stl-tsl.org
Special Tribunal for Lebanon: STL

2005年、レバノン政府は、ベイルートでラフィク・ハリリ元レバノン首相と他の22人を殺害した2005年2月14日の攻撃の容疑者を裁く国際法廷を設立するよう国際連合に要請した。安全保障理事会決議に従って、国際連合とレバノンはレバノン特別法廷に関する協定について交渉を行った。特別法廷は、2007年のもう1つの安全保障理事会の決議に従って設立され、2009年に正式に運営を開始した。所在地はレバノンではなく、オランダのハーグ近くのライシェンダム・フールブルグにある。特別法廷の裁判部は予審(1人の国際裁判官)、第一審(3人の裁判官で構成、そのうちの1人がレバノン人で残りの2人は国際裁判官、それに加えて2人の補欠裁判官、1人がレバノン人で、他は国際裁判官)、それに控訴審(5人の裁判官で構成され、そのうちの2人はレバノン人で3人が国際裁判官である)から構成される。裁判官は、レバノン政府との協議のもとに事務総長が任命する。特別法廷の最初の起訴は2011年1月に発表された。