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国際司法裁判所(ICJ)-よくある質問-

 

1.国際司法裁判所(ICJ)とは何ですか?

ICJは、国際連合(国連)の主要な司法機関です。ICJは1945年、アメリカのサンフランシスコで署名された国連憲章により設立され、翌46年からオランダのハーグにある平和宮で活動を開始しました。

ICJは15名の裁判官で構成され、国際法に従って、国家から付託された国家間の紛争を解決し、正当な権限を与えられた国連の主要機関および専門機関から諮問された法律問題について勧告的意見を与えるという二重の役割を持っています。公用語は英語とフランス語です。

2.誰が事件を付託できるのですか?

ICJに係属する事件の当事者の訴訟当事者となれるのは国家のみですので、事件を付託できるのも国家のみです。したがって、現時点での国連加盟国192カ国が付託できます。

ICJは、個人、非政府機関、企業や他の民間組織からの申し立てを処理することはできません。また、いかなる国家の当局への法律相談についても受け付けたり、申し立て処理の補助をすることはできません。

しかし、国家は自国民が他国の誤りによって被害を被ったと主張した場合、その訴訟を取り上げ、国家間の紛争として裁判を申し立てることができます。

3.ICJは、国際刑事裁判所や特別国際戦犯法廷とはどう違うのですか?

ICJは、戦争犯罪行為や人道に対する罪で起訴された個人を裁くことはできません。ICJは刑事裁判所ではありませんので、訴訟手続きを行える検事がいません。

刑事裁判は、各国の司法機関、国連が設置した旧ユーゴスラビアに関する国際刑事裁判所(ICTY)およびルワンダに関する国際刑事裁判所(ICTR)などの特別な刑事裁判所の管轄ならびにシエラレオネ特別裁判所やローマ規程のもと設置された国際刑事裁判所(ICC)の協力のもとに行われます。

4.ICJは他の国際裁判所とはどう違うのですか?

ICJは、欧州共同体の法律を一律に解釈し、有効性に関して判決を行う役割を果たす欧州司法裁判所(所在地はルクセンブルク)、ならびに、設立の根拠となっている人権条約違反の訴えを審査する欧州人権裁判所(所在地はフランスのストラスブール)および米州人権裁判所(所在地はコスタリカのサンホセ)とは異なります。これらの3つの裁判所では、国家からの申し立てをはじめ、ICJではできない個人からの申し立てを受け入れることができます。ICJの裁判権は一般的なものなので、国際海洋法裁判所(ITLOS)などの専門的な国際裁判所とも異なっています。

ICJはさらに、国内の司法機関が控訴できる最高裁判所でもなければ、個人に最終的な訴えの手段を提供するものでもなく、また、いずれの国際裁判所の控訴審ともなりません。しかし、仲裁判断の有効性に関して判決を行う権限はあります。

5.なぜ国家間の紛争のなかで、ICJで取り扱われないものがあるのですか?

ICJは1ヶ国以上からの審理要請を受けた時のみ審理できます。つまり、ICJが自発的に紛争を取り上げ処理することはできません。自らの意思で主権国家の行為について調査し、判決を下すことは裁判所規程によって許されていません。

関係国は裁判所に事件を付託できる権利を持ち、裁判所の管轄権を承諾しなくてはなりません。つまり、問題になっている紛争解決のために裁判所の司法手続きの当事国となることに同意するということです。これは国際紛争の解決を律する基本原則であり、各国はその紛争を解決する手段を選ぶ主権と自由を有しています。

各国はその同意を次の3つの方法で明示することができます。

特別の合意:特定の問題を争っている複数の国々は、これを共同で裁判所に付託すること、および、その旨の特別の合意を結ぶことに合意できます。

条約の条項:300件以上に及ぶ条約は、締約国が予め、別の締約国との間で、当該条約の解釈あるいは適用に関する紛争が生じた場合、裁判所の管轄権を受け入れることを約束する旨の条項(管轄権条項という)を含んでいます。

一方的宣言:裁判所規程当事国は、同様に拘束力(義務)を受け入れている他の国家との関係において、ICJの義務的管轄権を認める一方的宣言を行うことを選択できます。このいわゆる「選択条項」制度により、お互いの間に将来、生じうる紛争を解決する上で、ICJに管轄権を付与した国家集団が生まれています。この集団に属する各国は原則として、集団内のある国家あるいは複数の国家を相手取り、裁判所に訴訟を提起する権利をもっています。この宣言は期限付きの留保を含んでいたり、一定の種類の紛争を除外していたりすることがあります。宣言は国家によって国連事務総長に寄託されます。

6.ICJによる判決には拘束力がありますか?

国家間の紛争に対して、裁判所あるいはその裁判部によって下された判決は関係各国を拘束します。国連憲章第94条は、「各国際連合加盟国は、自国が当事者であるいかなる事件においても、国際司法裁判所の裁判に従うことを約束する」と規定しています。

判決は終結とし、上訴は許されません。いずれかの当事者が判決の範囲または意義に関して異議がある場合は、解釈を要請する選択肢もあります。また、裁判所にそれまで知られておらず、かつ、それが判決において決定的要素となるであろう事実が新たに発見された場合、いずれかの当事者は判決の再審を要請することができます。

勧告的意見に関しては、要請を行った国連機関あるいは専門機関は、適切な手段によって勧告的意見を執行するか否かを選択できます。

7.ICJの法廷審問に出席するにはどうすればよいのでしょうか?

法廷審問は非公開で行なわれるものを除いて、一般に公開しています。詳細は、ICJウェブサイト(http://www.icj-cij.org)の ‘Visits’ をご覧下さい。

また、審問の報道を希望するメディアは適切な許可を得た上で、代表者のみが参加可能です。詳しい内容はICJウェブサイトの ‘Press Room’ をご覧下さい。

8.平和宮にあるICJを見学することはできますか?

平和宮を所有するカーネギー財団が、平日にガイドツアーを行っています。ガイドツアーは有料です。ただし、法廷審問や平和宮でイベントが行なわれている時は、ツアーは行なわれませんのでご注意下さい。

9.ICJで働くにはどうすればよいのでしょうか?

求人募集についての情報は、ICJウェブサイトの ‘Current Vacancies’ をご覧下さい。

10.ICJではインターンを募集していますか?

募集しています。詳細はICJウェブサイトの ‘Registry’の ‘Summer internship programme’ をご覧下さい。

11.ICJは個人に対して公式の証明書などの書類を発行していますか?

ICJはくじ(lottery)や資金移動、認定された取引に関する書類を一切発行しておりません。ロゴ付きの書類や上級職員の偽造サイン入り書類に関するお問い合わせがICJに寄せられることが少なくありませんが、これらは詐欺行為ですのでご注意下さい。

12.ICJについての詳しい情報を得るにはどうしたらいいですか?

ICJの詳しい情報は、ICJウェブサイトのPress Roomの ‘Questions and answers about the court’ をご覧いただくか、もしくは、’Compete Guide to the Court’(2004年版)をダウンロードして下さい。

ウェブサイトからメーリングリストに登録していただくと、電子メールにてICJのプレスリリースを受け取ることもできます。