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保健

52.リプロダクティブヘルスと妊婦の健康増進

国連人口基金(UNFPA)は自主的な家族計画プログラムを通じ、個人がどれだけの間隔で、何人の子どもを持つかを自ら決定する権利を推進することにより、人々が情報に基づく選択を行う手助けをするとともに、家族、特に女性が自らの生き方を決める能力を高めています。その結果、開発途上国の女性が産む子どもの数は減少(1960年代の6人から現在は3人)し、世界の人口増加は減速しました。意図せぬ妊娠が少なくなったことで、妊産婦の死亡や中絶も減りました。UNFPAが1969年に活動を開始したころ、家族計画を実践するカップルは20%に満たない状況でしたが、現在ではこれが63%程度にまで上昇しています。UNFPAは協力機関とともに、出産時の熟練医療従事者の付き添いと、緊急出産時のケアへのアクセスを支援しています。UNFPAはまた、約90カ国で母性保護への取り組みを支援しています。

53.HIV/エイズ対策

国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、ほぼ3,300万人に影響を及ぼすエイズへのグローバルな対策を調整しています。80カ国以上で、すべての人々がHIV予防・治療サービスを利用できるようにし、個人とコミュニティの感染危険度を低めるとともに、エイズの影響を緩和するための活動が実施されています。国連の10の支援機関は、そのノウハウをUNAIDSの活動に結集させています。

54.ポリオの撲滅

「世界ポリオ撲滅計画(Global Polio Eradication Initiative)」の展開によって、ポリオ(小児まひ)はアフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタンの4カ国を除いて撲滅されました。世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、国際ロータリークラブ、米疾病対策予防センターが先頭に立って繰り広げる同計画により、何もしなければポリオでまひしていたはずの子ども500万人近くが歩けるようになりました。かつては125カ国で子どもに猛威を振るっていたポリオの撲滅は、すぐそこにまで近づいています。

55.天然痘の撲滅

世界保健機関(WHO)の13年に及ぶ取り組みの結果、1980年には、天然痘が地球上から一掃されたことが正式に宣言されました。天然痘撲滅により、予防接種と監視に必要な年間10億ドルの費用が節約されたと見られますが、この金額は撲滅費用のほぼ3倍に当たります。

56.野放し状態の熱帯病への対策

世界保健機関(WHO)のプログラムにより、西アフリカの10カ国でオンコセルカ症は撲滅され、2,500万ヘクタールの豊かな土地が耕作可能になりました。現在は「アフリカ・オンコセルカ症対策計画(African Programme for Onchocerciasis Control)」により、さらに19カ国で対策が実施されています。北アフリカでは1991年、国連機関の取り組みにより、恐ろしいらせん虫が駆逐されました。ギニア虫症はほぼ撲滅されているほか、ハンセン病(流行国122カ国のうち116カ国で撲滅)、住血吸虫症、睡眠病など、野放し状態となっていたその他の疾病も収束しつつあります。

57.予防接種の普及

毎年、予防接種によって200万人以上の命が救われています。世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)その他の機関と各国政府の取り組みにより、全世界の子どもに対するジフテリア、百日ぜき、破傷風の三種混合ワクチン接種率は、1980年の20%から82%に上昇したものと見られます。はしかによる死者数は、2000年から2006年にかけてアフリカで91%減少し、全世界的にも3分の2減少しています。新たなワクチン導入に対する障壁は徐々に克服されているほか、予防接種によって生まれた住民との接触は、マラリア予防用の殺虫剤処理済み蚊帳や、栄養不良予防用のビタミンAサプリメントなど、追加的な救命援助の提供にも活用されています。

58.幼児死亡率の引き下げ

1990年には、子どもの10人に1人が5歳になる前に命を失っていました。経口補水塩療法、きれいな水と衛生設備、さらには国連機関が実施したその他の保健・栄養措置により、開発途上国の幼児死亡率は2009年までに、13人に1人未満にまで低下しました。現在の目標は2015年までに、5歳未満の幼児死亡率を1990年の水準から3分の2低下させることにあります。

59.疫病のまん延防止

世界保健機関(WHO)は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を食い止めることに貢献しました。2003年3月、WHOが全世界的な警告と緊急渡航情報を発し、そのリーダーシップもあり、全世界的な大流行が懸念されていたSARSのまん延に歯止めがかかりました。WHOは毎年200件を越える病気の発症例を調査していますが、そのうち国際的対応が必要となるのは15~20件程度です。その他、WHOがグローバルな対策を主導している主な疾病としては、髄膜炎、黄熱病、コレラ、インフルエンザA(H1N1)などがあげられます。

60.消費者の健康保護

市場で取引される食品の安全性を確保するため、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は加盟国と協力し、約300品目の食品に関する基準、3,000種類以上の食品汚染物質に関する安全性限界、および、食品の加工、輸送、貯蔵に関する規制を確立しました。ラベリングと表示に関する基準は、消費者による誤解を招かないように策定されています。これまで以上に世界的な食品貿易が進む中、国連はその安全性の確保に努めています。