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経済開発

6.開発の推進

国連は全世界で、生活水準の改善や人材の育成に取り組んでいます。2000年には国連ミレニアム開発目標(MDGs)が設定され、開発分野の指針となっています。事実上、国連による開発援助資金は全額が各国からの拠出金で賄われています。例えば、145カ国に職員を擁する国連開発計画(UNDP)は、貧困を削減し、良い統治(グッド・ガバナンス)を促進し、危機に対処し、環境を保全するためのプロジェクトを支援しています。国連児童基金(UNICEF)は子どもの保護、予防接種、女子教育、HIV/エイズ対策を中心に、150カ国で活動しています。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、開発途上国がその貿易機会を最大限活用できるように援助しています。世界銀行は開発途上国に有償・無償資金協力を行っているほか、1947年以来、1万件を越える開発プロジェクトを支援しています。

7.開発途上国農村部における貧困の緩和

poverty国際農業開発基金(IFAD)は農村部の極貧層を対象に、低利の貸付と無償資金援助を行っています。IFADは1978年以来、120億ドルを越える投資を行い、3億7、000万人以上の男女の所得向上と生計を援助してきました。IFADは現在、81の開発途上国で200件以上のプロジェクトを支援しています。

8.アフリカ開発の重視

アフリカは引き続き、国連にとって優先度の高い地域となっています。2001年には、アフリカ各国の首脳が自ら「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」を採択しました。この計画は2002年、アフリカに対する国際支援の枠組みとして、国連総会による承認を受けました。アフリカは国連システムによる開発援助額の38%を受け取り、世界最大の援助対象地域となっています。すべての国連機関は、アフリカを対象とした特別プログラムを策定しています。

9.女性の福祉向上

women国連は男女平等と女性の福祉の向上にも一役買っています。新しい組織UN Womenは平等の促進、機会の拡大、差別撤廃への努力を拡大しています。UN Womenの一部である国連女性開発基金(UNIFEM)は100カ国を越える国々で、女性に対する暴力の廃絶、HIV/エイズまん延の後退、女性の政治参加支援、および、就労機会や土地所有・相続権の拡大などを通じた女性の経済的安全の向上を図るプログラムを支援しています。同じくUN Womenの一部である国際女性調査訓練研究所(INSTRAW)は治安、開発、政治参加、移住における行動志向の研究と能力育成を行っています。

10.ビジネス環境の整備

国連はビジネスにも役立っています。例えば、統計、通商法、通関手続き、知的財産、航空、海運、通信など、さまざまな分野で普遍的に受け入れられる基準について話し合い、経済活動を促進し、取引費用を削減することにより、グローバル経済の「ソフト・インフラ」を整備しています。また、政治的安定とよいガバナンスの推進、腐敗の防止、さらには健全な経済政策とビジネスをしやすくする立法の促進により、開発途上国経済の投資基盤も整備しています。

11.開発途上国の工業支援

国連工業開発機関(UNIDO)は、南北・南南工業協力の「仲人役」を務め、起業、投資、技術移転、さらには費用効果的で持続可能な工業開発を図っています。このような取り組みは、各国がグローバリゼーションの過程を円滑に管理し、貧困を削減するうえで役立ちます。

12.飢餓対策

国連食糧農業機関(FAO)は飢餓へのグローバルな取り組みの先頭に立っています。食糧安全保障、すなわち、人々がどこでも活動的で健康な生活を営むために必要となる、十分で良質の食糧を日常的に得られるようにすることは、FAOによる活動の中心的目標となっています。FAOは、あらゆる国々が平等の立場で協定の交渉と政策討論に臨める中立的フォーラムとして活動しています。FAOはまた、天然資源を保全し、栄養状態を改善できる形で、開発途上国による農林水産業実践の近代化と改善を助けています。

13.グローバルな貿易関係改善

国連貿易開発会議(UNCTAD)は開発途上国が貿易協定を交渉し、その輸出品に対する特恵待遇を獲得する手助けをしてきました。具体的には、開発途上国にとっての公正価格を確保する国際商品協定の交渉、途上国の貿易インフラの効率改善、および、途上国の生産多様化とグローバル経済への統合に対する支援があげられます。

14.経済改革の推進

国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、多くの国々の経済運営改善を支援し、国際収支の赤字縮小に向けた一時的資金援助を提供したほか、政府の金融担当官を対象とする研修も行っています。

15.空運と海運の改善

国連の機関は、海運と空運に関する安全基準の策定にも携わっています。国際民間航空機関(ICAO)の貢献もあり、航空機は最も安全な輸送手段となりました。1947年には2,100万人が航空機を利用しましたが、そのうち590人は事故で死亡していました。これに対し、2008年の乗客は22億人に上りましたが、死者は439人にとどまっています。同様に、国際海事機関(IMO)も海洋をさらに浄化し、海運をより安全かつ確実にすることに貢献しました。海運の安全性が向上し、環境への影響も少なくなっていることは、統計も示すとおりです。船舶の損失、死者数、汚染事故、原油流出総量はいずれも減少しているほか、大気汚染や下水による汚染にも取り組みがなされています。こうした動きの中で、海路で輸送される貨物量は増大を続けています。

16.子ども支援の全世界的合意形成

アフガニスタンからレバノン、さらにはスーダンから旧ユーゴスラビアに至るまで、国連児童基金(UNICEF)は、武力紛争に巻き込まれた子どもたちが緊急に必要とするワクチンその他の援助を提供するため、「静穏な日(days of tranquillity)」の設定と「平和の回廊(corridors of peace)」開設という先駆的な役割を果たしました。「児童の権利に関する条約」は殆ど全ての国で法制化されています。2002年の国連子ども特別総会を受け、190カ国の政府は健康と教育、虐待、搾取および暴力からの保護、HIV/エイズ対策の各分野について、期限付き目標の達成を約束しました。

17.スラムを人間にふさわしい居住地に変えること

今では、人類の半数が都市に暮らすようになりました。富と機会を創出する経済・社会プロセスを備えた都市は、各国の生産と消費の拠点となっていますが、それと同時に病気や犯罪、汚染、貧困の温床にもなっています。開発途上国の多くの都市では、住民の50%を越えるスラム居住者が、避難所や水、衛生施設をほとんど利用できずに暮らしています。約50カ国で150件を越えるプログラムとプロジェクトを展開する国連人間居住計画(UN-HABITAT)は都市問題の斬新な解決策を模索しています。その中には、都市貧困層の借地権安定化も含まれていますが、これは貧困層向けの住宅や基本的サービスに対する投資の呼び水となっています。

18.グローバル・ネットワークへのローカル・アクセスの提供

万国郵便連合(UPU)は、国際郵便の配達を促進するとともに、最新の郵便サービスや商品の提供により、民族間、企業間の社会的、文化的、商業的コミュニケーションを育成しています。全世界に約66万カ所を数える郵便局は、世界最大のネットワークの一つとして、情報、財、金銭のやり取りを促進しています。インターネットと先端技術は、特に電子商取引とオンラインショッピングの分野で、郵便サービスに新たな機会をもたらしました。郵便サービスは今でも、物流、デジタル、金融の間に欠かせない架け橋として、また、グローバルな開発の重要なパートナーとしての役割を担い続けています。

19.グローバルな電気通信の改善

国際電気通信連合(ITU)は官民が一堂に会し、グローバルな電気通信ネットワークとサービスの発展、調整を図る場です。具体的には、無線周波数共同利用の調整、衛星軌道の割り当てに際する国際協力促進、開発途上国の通信インフラ整備に向けた取り組み、多種多様な通信システムのスムーズな相互接続を確保するグローバル標準の交渉などを行ってきました。ブロードバンド・インターネットから最新型の無線技術、航空機や船舶の航行から電波天文学や衛星を利用した気象学、さらには電話サービスからテレビ放送、次世代ネットワークに至るまで、ITUは世界を結びつける取り組みに注力しています。これによって電気通信は1.3兆ドルにもおよぶグローバル産業に成長しています。