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潘基文(パン・ギムン)事務総長の歴訪に見る世界の今~2012年2月

2012年03月21日

2012年、潘基文(パン・ギムン)事務総長は国連事務総長として2期目の任期を迎えました。各国のリーダーとじかに協議を行い、あらゆる国際問題の解決を試み、現地の人々と直接触れ合うことによって相互理解を深めることを目指し、今年も積極的に世界各地へ足を運びます。

2月中旬にオーストリアを、そして下旬には英国、ザンビア、アンゴラの3カ国を訪れました。

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◇2月15-17日 オーストリア
~アフガニスタンの不法アヘン取引の撲滅を話し合う国際会議に出席~

ウィーンに到着した潘事務総長。韓国の外交官時代に駐オーストリア大使を務めた事務総長にとって、思い出深い土地です。

まず、アフガニスタンの不法アヘン取引の撲滅を話し合う第3回パリ・パクト・パートナーズ閣僚級会合の開会式に出席しました。挨拶の中で事務総長は、「麻薬取引はアフガニスタンとその周辺国の幸福と発展にとって深刻な脅威です。その撲滅に取り組むことは、アフガニスタンでの国連活動の中心であると同時に、貧困の解消を目指す国連の取り組みとも直結しています」と述べ、国際社会の息の長い支援が必要だとしました。

フィッシャー・オーストリア大統領との会談では、法の支配、人権、市民の保護に加え、リビア、イラン、中東和平プロセス、そして深刻化するシリアの情勢について協議しました。

続いてホーフブルク宮殿で行われた講演では、「変革期の世界における人間のエンパワーメント」をテーマに、女性のエンパワーメントで得た教訓を、ユース(若者)への取り組みに活かそうと呼びかけました。「女性とユース」は事務総長が掲げる5カ年行動計画で、5つの重点項目の一つです。

翌日、事務総長はウィーンの国連本部を訪れ、包括的核実験禁止条約の15周年を記念するセレモニーに出席しました。核実験、核兵器のない世界の実現に向けた決意を述べると共に、条約が発効していないという現実を変えるために、世界はこれまで以上に努力していく必要があると訴えました。

◇2月22-23日 英国
~ソマリアの治安回復、再建に向けた国際社会の支援を呼びかけ~

ロンドンに到着した事務総長はまず、国際海事機関(IMO)本部を訪れました。IMOとは、国際海運の安全向上や海洋汚染の防止などに取り組む国連の専門機関で、2012年1月からは日本人の関水康司氏が事務局長を務めています。

事務総長のロンドン訪問の主な目的は、ソマリア支援国会議への出席です。会議を翌日に控え、各国から集まった首脳らと次々に会談を行った事務総長。アラブ連盟のアラビ事務局長とは、深刻化するシリア情勢について、危機の対応にあたる特使の任命を協議しました。この数日後、国連とアラブ連盟は、前国連事務総長のコフィー・アナン氏を合同特使に任命しています。

翌23日、ソマリア支援国会議のオープニングで演説を行った潘事務総長は、「ソマリアが重要な岐路に直面する今、この会議が開かれている」と強調し、治安回復、政治プロセスの進展、復興に向けた更なる支援を各国政府代表に促しました。

◇2月24-26日 ザンビア
~「平和と開発のためのスポーツ」を実践する国を訪れて~

首都ルサカに入った事務総長、まずは国民議会に議長を訪ね、その模様はラジオを通じてザンビア全土に放送されました。この中で事務総長は、アフリカのサッカー・ナショナルチームの覇者を決める「アフリカ・ネーションズ・カップ2012」で先頃ザンビアが優勝したことに触れ、「サッカーだけではありません。ザンビアに民主主義が浸透していることに対しても、世界はそのスピリット(精神)を称えています」と語りました。

翌日、ストリート・チルドレンのための公共施設「希望の泉」を視察しました。国連児童基金(UNICEF)とNGO、ザンビア政府が支援するこの施設で、子どもたちが健やかに過ごし、生きていくために必要なスキルを学んでいる様子が印象深いと語り、「子どもたちを大切にし、育んでいる国は必ず強くなります」と述べました。

サタ大統領らと会談した事務総長。その後、国連で「平和と開発のためのスポーツ・事務総長特別顧問」を務めるレムケ氏、国際オリンピック委員会(IOC)会長のロゲ氏と共に、「オリンピック・ユース開発センター」を訪れました。この種の施設としては初の取り組みとなる同センターは、2010年のオープン後、スポーツや教育など、様々な目的で大勢の若者が集う貴重な場所となっています。

一夜明けた26日はリビングストーンを訪れ、観光業に関連したビジネスをより簡便な手続きで始められる取り組み「ワン・ストップ・ショップ」を発足させました。ジンバブエと国境を接するこの地には、世界三大瀑布として名高い「ヴィクトリアの滝」があり、観光が重要な産業となっています。

◇2月26-27日 アンゴラ
~再来したポリオと闘う政府キャンペーンをサポート~

首都ルアンダに到着した事務総長。翌27日に近郊のヴィアナを訪れ、アンゴラ政府の2012年ポリオ・ワクチン・キャンペーンの発足式に出席しました。挨拶の中で、「アンゴラは2001年にポリオ撲滅を宣言したものの、4年のうちにウィルスが再発見されました。だからこそ、キャンペーンはとても大切です」と述べ、夫人と共に、数名の幼い子どもたちにワクチンの接種を行いました。

ルアンダに戻ってシコティ外相およびサントス大統領と会談を行い、国連とアンゴラのパートナーシップ強化を協議しました。事務総長はPKO活動への支援要請、特にヘリコプターの提供を求めたほか、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けたアンゴラ政府の取り組みを高く評価すると同時に、「富の公平な分配」に向けた今後の努力を促しました。

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アフガニスタンにおける不法アヘン取引の撲滅を話し合う第3回パリ・パクト・パートナーズ閣僚級会合で発言する事務総長(ウィーンで、2012年2月16日) © UN Photo/Mark Garten
ホーフブルク宮殿で挨拶を交わす事務総長夫妻とオーストリアのフィッシャー大統領夫妻(ウィーンで、2012年2月16日) © UN Photo/Mark Garten
国際海事機関(IMO)の事務局長を務める関水康司氏と握手を交わす事務総長(ロンドンで、2012年2月22日)©UN Photo/Evan Schneider
ソマリア支援国会議で、キャメロン英首相と共同会見を行う事務総長(ロンドンで、2012年2月23日)©UN Photo/Evan Schneider
ストリート・チルドレンのための公共施設「希望の泉」を訪れ、子どもたちと言葉を交わす事務総長(ザンビアの首都・ルサカで、2012年2月25日)©UN Photo/Evan Schneider
「オリンピック・ユース開発センター」では、ロゲ国際オリンピック委員会(IOC)会長と並び、国連・IOCの石碑の除幕式を行った(ザンビアの首都ルサカで、2012年2月25日)©UN Photo/Evan Schneider
ユネスコ世界遺産に指定されている「ヴィクトリアの滝」を訪れた事務総長夫妻(リビングストーンで、2012年2月26日)©UN Photo/Evan Schneider
アンゴラ政府のポリオ・ワクチン・キャンペーンを応援し、自ら子どもたちにワクチン接種を行う事務総長(首都近郊のヴィアナで、2012年2月27日)©UN Photo/Evan Schneider
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