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平和維持活動

はじめに

平和維持の理念はそれ自体としては、国連憲章のどこにも具体的に言及されていません。国連創設後間もない時期に、国際の平和と安全の維持に関連する憲章規定の一部が予定通りに実施できないことが明らかになったとき、平和維持は現実的な解決策として浮上しました。最初の活動となった国連休戦監視機構(UNTSO)は1948年、安全保障理事会が求めたパレスチナでの休戦を監視するために創設されました。国連の平和維持活動の概観は、平和維持活動局ウェブサイトに掲示された過去と現在の活動一覧によって提示されています。

原則的に、平和維持活動は、国連憲章によって平和と安全の維持に一義的責任を有するとされている安全保障理事会が設置します。平和維持の財務的側面については、総会が検討します。本ガイドは、平和維持活動の創設および執行に関連する両機関の主要な文書を概観し、利用可能な調査オプションの概略を述べることをねらいとしています。

安全保障理事会文書

安全保障理事会は、平和維持活動の政治的側面を討議します。安保理の行動、および、関連の文書は、毎年発表される安全保障理事会議事録インデックス(Index to Proceedings of the Security Council)を通じて検索できます。研究者はニューヨークの国連図書館のウェブカタログ、UNBISnetを調べることもできます。

決議

安全保障理事会は決議によって、平和維持活動を創設し、その権限(あらゆる必要な修正および期間延長を含む)を決定するとともに、部隊の展開、および、状況に応じた兵力の増強あるいは削減を承認します。

  • 安全保障理事会決議はまず、文書記号S/RES/[続き番号](年)の形で発表されます(MINURCA:国連中央アフリカ共和国ミッションを創設したS/RES/1159(1988)など)。安全保障理事会決議、および、その対象となるトピックスについて詳しくは、このリサーチガイドの決議の部でご覧になれます。
  • 最近の平和維持活動に関する決議すべての一覧は、UN-IQUEデータベースで閲覧できます(MONUA、すなわち国連アンゴラ監視団に関する決議など)。
  • 安全保障理事会決議の全文(1946年以降)は、国連ウェブサイトからもアクセスできます。

議長声明

決議に比べ、議長声明は安全保障理事会の意思をより非公式な形で表明するものです。これらの声明で、議長は安保理に代わって、紛争当事国にその平和的解決を目指すよう呼びかけたり、ある地域での治安状況悪化についての安保理の懸念を表明したり、交渉による合意の重要性を再確認したり、当事者がその実施を確保する義務を強調したりすることができます。

  • 議長声明は現在、文書記号S/PRST/[年]/[続き番号]の形で発表されています(UNIFIL:国連レバノン暫定軍に関するS/PRST/1999/4など)。議長声明、および、その対象となっているトピックスについて詳しくは、このリサーチガイドの決議の部でご覧になれます。
  • 最近の平和維持活動に関する議長声明すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNMEE:国連エチオピア・エリトリア・ミッションに関する議長声明など)。
  • 議長声明の全文(1994年以降)は国連ウェブサイトからアクセスできます。

会合記録

決議と議長声明は安全保障理事会の正式会合で採択・提示されます。これら安保理会合での演説は安全保障理事会議事録インデックスに索引付けされており、主題、発言者および国/機関別に検索できます。UNBISnet、および、CD-ROM版のUNBIS Plusは、38年目(1983年)以降、安全保障理事会で行われた演説の引用への電子アクセスを提供します。正式会合のための準備作業は公開されない非公式協議で行われるため、これに関する公式記録は発行されません。

  • 逐語記録は文書記号S/PV.[会合番号]の形で発表されます。会合記録とその対象となるトピックスについて詳しくは、本リサーチガイドの演説の部でご覧になれます。
  • 最近の平和維持活動に関する会合記録すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(MONUC:国連コンゴ民主共和国ミッションに関する会合など)。
  • 安全保障理事会会合の非公式要旨は、文書記号SC/-のプレスリリースとして発行されており、UNニュースセンターの検索オプションを通じて閲覧できます。

事務総長報告書

事務総長は決議の求めるところに従い、平和維持問題に関する報告書を安全保障理事会に提出します。これら報告書は通常、所定期間内におけるミッションの活動の事実報告を行うほか、さらなる行動に関する事務総長の所見と勧告も提示しますが、これは安保理討議のたたき台となります。

  • 安全保障理事会に対する事務総長報告書は、安保理の一般的文書記号であるS/[年]/[続き番号]の形で発行されます(MINURSO:国連西サハラ住民投票ミッションに関するS/2002/467など)。
  • 最近の平和維持活動に関する報告書すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNMIBH:国連ボスニア・ヘルツェゴビナ・ミッションに関する報告書など)。
  • 安全保障理事会に対する事務総長報告書の全文(1994年以降)は、国連ウェブサイトからアクセスできます。

事務総長と安全保障理事会議長の書簡のやり取り

事務総長と安全保障理事会議長との書簡のやり取りによって扱われる典型的な問題としては、特別代表/ミッション団長あるいは軍司令官/軍事監視団長の任命、および、平和維持活動の構成があげられます。提案を含む事務総長の書簡は、安全保障理事会が当該問題の再検討を終えるまで、公表を差し控えられます。その上で、双方の書簡(提案と回答)は、続き番号の文書記号付きで同時に発表されます。ほとんどの場合、個人の任命に伴い、同人に関する略歴を掲載するプレスリリースが発行されます。これらプレスリリースは文書記号SG/A/-(事務総長による任命)あるいはBIO/-(略歴資料)の形で発行されるか、二重文書記号を有する形で同時に発行されます。プレスリリースはUNニュースセンターの検索オプションを通じて閲覧できます。

特別代表/ミッション団長の任命:

  • 例えば、S/1997/312で、事務総長はトゥリャメニ・カロモー氏をリベリア担当特別代表に任命する意志を表明しています。S/1997/313には、安全保障理事会の回答が含まれています。そして、プレスリリースSG/A/631-BIO/3067には、同人に関する略歴が掲載されています。
  • 事務総長と安全保障理事会議長との書簡のやり取りの全文(1997年以降)は、国連ウェブサイトからアクセスできます。
  • ミッション人事すべての一覧はUN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNOMIG:国連グルジア監視団の特別代表/ミッション団長に関する情報など)。

軍司令官/軍事監視団長の任命:

  • 例えば、S/1994/388において、事務総長は、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)司令官のポストにデイビッド・ステイプルトン少将を任命する意向を示しています。S/1997/389には、安全保障理事会の回答が含まれています。そして、プレスリリースSG/A/636には、同人に関する略歴が掲載されています。
  • 事務総長と安全保障理事会議長との書簡のやり取りの全文(1997年以降)は、国連ウェブサイトからアクセスできます。
  • ミッション人事すべての一覧はUN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNIKOM:国連イラク・クウェート監視団の軍事監視団長に関する情報など)。

平和維持活動の構成:

  • 例えば、S/1998/673において、事務総長は、国連シエラレオネ監視団(UNOMSIL)に軍事要員を提供する国の一覧に中国、エジプト、インド、ケニア、キルギスタン、ニュージーランド、パキスタン、ロシア連邦、英国およびザンビアを含めることを提案しています。S/1998/674には、安全保障理事会の回答が含まれています。
  • 事務総長と安全保障理事会議長との書簡のやり取りの全文(1997年以降)は、国連ウェブサイトからアクセスできます。
  • 最近のミッションの構成に関する一覧はUN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNTAC:国連カンボジア暫定統治機構の構成に関する情報など)。

総会文書

総会は、平和維持とその資金調達に関する基本的問題を討議し、個別の活動の予算を承認します。総会の行動、および、すべての関連文書は、会期ごとに発表される総会議事録インデックスを通じて検索できます。研究者はニューヨークの国連図書館のウェブカタログ、UNBISnetを調べることもできます。

一般的平和維持問題

1965年以来、平和維持に関する一般的トピックスは検討項目「あらゆる側面の平和維持活動問題全体の包括的見直し」のもと、総会によって検討されています。1993年以降の各会期では、この検討項目が6つの総会主要委員会の1つである第4委員会に付託されています(1993年以前は、特別政治委員会が検討)。この検討項目について提出される主要文書は、平和維持活動に関する特別委員会の報告書です。

平和維持活動に関する特別委員会

平和維持活動に関する特別委員会は、1965年2月18日の総会決議2006(XIX)によって設置されました。同委員会は、平和維持に関するあらゆる問題を包括的に再検討する権限を与えられています。

  • 委員会の作業文書は文書記号A/AC.121/-の形で発行されます。
  • 特別委員会は要求に応じ、総会にその作業に関する報告書(A/56/863など)を提出します。これら報告書すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます。
  • プレスリリースは文書記号GA/PK/-の形で発行されており、UNニュースセンターの検索オプションを通じて閲覧できます。

第4委員会

6つの総会主要委員会の1つ、第4委員会は、平和維持活動の包括的見直しに関する検討項目を担当します。

  • 委員会の作業文書は現在、文書記号A/C.4/[会期]/-の形で発行されています。
  • 会合記録の要旨は現在、文書記号A/C.4/[会期]/SR.[会合番号]の形で発行されています。(例えば、A/C.4/52/SR.15は、第52回総会会期中の1997年11月10日に開かれた第4委員会第15回会合の記録要旨を意味します。)第4委員会での演説は、総会議事録インデックスに会期ごとに索引付けされており、主題、演説者および国/機関別の検索が可能です。UNBISnet、および、CD-ROM版のUNBIS Plusは、第38会期(1983年)以降、第4委員会で行われた演説の引用への電子アクセスを提供します。
  • プレスリリースは現在、文書記号GA/SPD/-の形で発行されており、UNニュースセンターの検索オプションを通じて閲覧できます。

第4委員会は平和維持活動の包括的見直しに関する検討項目に関し、本会議に報告書を提出しています。この報告書(例えば、第53会期についてはA/53/559)は、委員会による当該項目の検討振りを総括したもので、本会議に勧告する決議/決定の最終案文を添え、その採択を仰ぎます。本会議は報告書を検討し、これに含まれる決議/決定案の票決を行います。第53回総会は1998年12月3日、第4委員会の報告書に基づき決議53/58を採択しました。

平和維持全般の資金調達

平和維持に関する基本的な財務問題は、総会が検討項目「国連平和維持活動の資金調達の行財政的側面」で検討します。各会期において、この検討項目は6つの総会主要委員会の一つ、第5委員会に付託されています。現在、この検討項目で討議中のトピックとしてはとりわけ、国連平和活動パネル(Panel on United Nations Peace Operations)の報告書の実施、ブリンディジの国連兵站基地の財務実績報告書、および、平和維持活動のための支援勘定があげられます。討議のたたき台として提出される主要な文書は、事務総長の報告書、および、行財政問題諮問委員会の報告書です。

特定の平和維持活動の資金調達

各ミッションの予算は、総会が活動ごとの個別項目で検討します。各会期において、これらの検討項目は第5委員会に付託されます。これら検討項目について提出される主要な文書は、事務総長の報告書、および、行財政諮問委員会の報告書です。

事務総長報告書

事務総長は総会に対し、平和維持活動関連の財務問題に関する報告書を提出します。個別のミッションについて提出される報告書では通常、当該ミッションの政治的権限と活動計画に関する情報、所定の期間についてのコスト推計と必要な人員、および、総会が取るべき行動に関する勧告が提示されます。これら報告書は現在、A/[会期]/[続き番号]の形を取る本会議の文書記号で提出されており、第5委員会による討議のたたき台となっています。

  • 最近の平和維持活動に関する事務総長報告書すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNAMSIL、国連シエラレオネ・ミッションの資金調達に関する報告書など)
  • 最近の報告書の全文は、国連文書センター(UN Documentation Centre)からアクセスできます。

行財政問題諮問委員会(ACABQ)

行財政問題諮問委員会は、1946年2月13日の総会決議14(I)Aによって設置されました。その役割は、付託を受けた行財政問題を検討するとともに、これら問題に関する助言を総会に提供することにあります。委員会は、平和維持関連の財務問題に関する事務総長報告書をすべて再検討し、その検討結果を総会に提出します。ACABQの報告書は現在、A/[会期]/[続き番号]の形を取る本会議の文書記号で提出されており、第5委員会によって検討されています。

  • 最近の平和維持活動に関するACABQ報告書すべての一覧は、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNAVEM・、・および・:国連アンゴラ検証団の資金調達に関する報告書など)
  • 最近の報告書の全文は、国連文書センターからアクセスできます。

第5委員会

6つの総会主要委員会の1つ、第5委員会は、財務に関連する総会のあらゆる検討項目を担当します。

  • 委員会の作業文書は現在、文書記号A/C.5/[会期]/-の形で発行されています。
  • 会合記録の要旨は現在、文書記号A/C.5/[会期]/SR.[会合番号]の形で発行されています。(例えば、A/C.5/52/SR.17は、第52回総会会期中の1997年10月30日に開かれた第5委員会第17回会合の記録要旨を意味します。)第5委員会での演説は、総会議事録インデックスに会期ごとに索引付けされており、主題、演説者および国/機関別の検索が可能です。UNBISnet、および、CD-ROM版のUNBIS Plusは、第38会期(1983年)以降、第5委員会で行われた演説の引用への電子アクセスを提供します。
  • プレスリリースは現在、文書記号GA/AB/-の形で発行されており、UNニュースセンターの検索オプションを通じて閲覧できます。

第5委員会は付託された各検討項目に関し、本会議に個別の報告書を提出しています。これら報告書は、委員会による当該項目の検討振りを総括したもので、本会議に勧告する決議/決定の最終案文を添え、その採択を仰ぎます。これらの報告書は本会議の作業文書となるため、第5委員会を表す頭辞語(A/C.5/-)は文書記号に現れません。その代わりに、直接に本会議の基本的文書記号で提出されます。(例えば、A/52/547は、検討項目123「国連アンゴラ検証団の資金調達」に関する第5委員会報告書を意味します。)

本会議は第5委員会の報告書を検討し、これに含まれる決議/決定案の票決を行います。総会の決議や決定は、採択から数週間(時には数ヵ月間)も印刷されないことが多いため、委員会報告書に含まれる最終案(採択直前に口頭で修正されることもある)は長い間、当該決議/決定本文についての唯一の情報源となります。

  • 第5委員会報告書すべて(平和維持に関する報告書全部を含む)の会期別一覧は、最近の2回の総会につき、UN-I-QUEデータベースでご覧になれます(第57回総会に対する第5委員会報告など)。このデータベースには、最近の平和維持活動に関する第5委員会の報告書がすべて、ミッション別に掲げられています(MONUC:国連コンゴ民主共和国ミッションの資金調達に関する報告書など)。
  • 第56回総会によって採択された決議(平和維持に関するすべての決議を含む)は、このリサーチガイドの決議の部に記録されています。最近の平和維持活動に関する総会の決議と決定すべての一覧はミッション別に、UN-I-QUEデータベースで閲覧できます(UNTAET:国連東ティモール暫定行政機構の資金調達に関する決議と決定など)。

平和維持文書

平和維持関連問題についての国連文書と出版物のより包括的な一覧は、UNBISnetデータベースを通じて閲覧できます。検索を行う上で有用となりうる主題用語としては、peacekeeping operations(平和維持活動)、peacemaking (平和創造)、peace-building(平和構築)、preventive diplomacy(予防外交)、truce supervision(休戦監視)、international police(国際警察)、troop-contributing states(兵員提供国)などがあげられます。その他の記述語はUNBISシソーラスを通じて判別できます。効果的な検索を行う上で、UNBISnet検索のヒントはもっとも有用なものとなるでしょう。