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安全保障理事会決議1608

2005年06月22日

2005年6月22日、安全保障理事会第5210回会合で採択

安全保障理事会は、
決議1542(2004)および1576(2004)を再確認するとともに、決議1529(2004)、関連の安保理議長声明、および、2005年4月13日から16日にかけてハイチに派遣された安保理ミッションに関する安全保障理事会報告書(S/2005/302)を想起し、

ハイチの主権、独立、領土の保全および統一を守る決意を再確認し、

確定された日程に従い、暴力を放棄した政党すべてに対して開かれ、かつ、できる限り幅広いハイチ国民が参加できる自由で公正な選挙を2005年中に開催しなければならないこと、および、2006年2月7日には民主的に選出された統治機構を樹立しなければならないことを強調し、

選挙プロセスを実施できるよう、安全かつ安定した環境を確保する決意を確認し、

適正手続きの欠如や長期にわたる公判前拘留を含むすべての人権侵害を非難するとともに、ハイチ移行政府に対し、刑事免責に終止符を打ち、ハイチ国家警察(HNP)および司法・矯正制度の改革継続を含め、法の支配の尊重における前進を確保するために必要なあらゆる措置を講じるよう求め、

決議1325(2000)に従い、平和維持活動と紛争後の平和構築におけるジェンダー関連問題につき、適切な専門知識が重要であることを再確認し、女性と子どもに対する暴力に取り組む必要性を想起するとともに、国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)およびハイチ暫定政府に対し、これらの課題に積極的に対処するよう促し、

貧困の蔓延は、ハイチにおける情勢不安の重要な根本原因であることを強調するとともに、持続可能な開発に向けた長期的戦略とハイチの制度・機構強化によるものを含め、同国経済の強化なくして真の安定はありえないことを強調し、

ハイチ移行政府、国際連合開発計画(UNDP)およびMINUSTAHが武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)に関する国内計画を承認したことを歓迎するとともに、より幅広い安定化のための努力が成功をおさめるには同計画の実施が不可欠であることを強調し、

治安、政治的和解および経済復興努力は引き続き、ハイチの安定にとっての鍵であることを想起し、

ハイチ人民は安定、社会・経済発展および法と秩序の達成に責任を負わなければならないことに留意し、

ハイチの情勢は引き続き、国際の平和と安全にとっての脅威であると認定し、

決議1542(2004)本文第7項第1節に述べるところに従い、国際連合憲章第7章にもとづいて行動し、

  1. 決議1542(2004)に盛り込まれたとおり、さらなる期間の更新の意図を保ちつつ、MINUSTAHの職務権限を2006年2月15日まで延長することを決定する。
  2. MINUSTAHに関する2005年5月19日の事務総長報告書(S/2005/313)を歓迎するとともに、第44から52項で示された下記の事務総長の諸勧告を支持する。
    (a) 選挙期間中およびその後の政権移行期間中に、ハイチで緊急対応部隊を創設し、特にポルトープランスおよびその周辺の治安を改善するため、MINUSTAHの現行兵力定員枠を一時的に750人増員させること。
    (b) MINUSTAHは、管理区域本部への国際連合文民警察要員の配置を含め、あらゆるレベルで、軍事部門と警察部門の調整を最適化し、活動の効率と統一性向上を図るという理解のもと、ポルトープランスに当該本部を創設するため、軍事要員を50人増員すること。
    (c) 選挙期間およびその後の政権移行期間中、治安確保のために現行のMINUSTAHの現行文民警察要員数を275人増員すること。
    (d) 国際社会からの支援を増大し、MINUSTAHの役割を積極化させる可能性の模索を含め、ハイチの司法・矯正制度の評価を行い、これをできるだけ早く安全保障理事会に提出すること。
  3. MINUSTAHは暫定的に、総兵力7,500人を上限とする軍事部門、および、1,897人を上限とする文民警察により構成することを決定する。国際連合事務総長に対し、現地の情勢に即しつつ、選挙後の期間につき、MINUSTAHの規模の段階的削減戦略を時宜に応じて考案するよう要請する。
  4. 事務総長に対し、有権者登録、治安、兵站、市民教育、監視および詳細な予算情報を含め、ハイチでの選挙を成功させるための全体計画を安保理と共有するよう要請し、ハイチ当局に対し、円滑な選挙実施の準備と確保に向けた取り組みを強化、加速するよう促すとともに、国際的な援助団体に対し、選挙プロセス支援のために必要な資源を提供するよう求める。
  5. また、事務総長に対し、MINUSTAHおよびハイチ当局が策定した、予定規模、基準、実施予定表および財源を含むHNP改革計画を安保理と共有するよう要請する。
  6. MINUSTAHが、個々の文民警察官に対する交戦規則の適切な見直しを含め、文民警察を含むその資源を選挙期間中の治安と保護の改善のために重点的に使用することを要請する。
  7. MINUSTAHおよびハイチ当局が、MINUSTAH文民警察とHNPとの調整を最適化するため、あらゆる必要な措置を講じることを要請する。
  8. 新規および現職のHNP要員の職務適性を審査、認定するMINUSTAHの権限を再確認するとともに、ハイチ暫定政府に対し、認定されていないHNP要員が職務に就くことがないようにし、MINUSTAHによってなされた専門的助言と勧告がハイチ当局によってあらゆるレベルで遅滞なく十分に実施されるよう促す。
  9. MINUSTAHに対し、MINUSTAHの軍事、警察および文民要員が入手できる情報をプールし、よりよく活用するために、できるだけ早く統合任務分析班を立ち上げるよう求めるとともに、治安維持活動を支援するため、MINUSTAHの航空資産を効率的かつ効果的に活用するよう呼びかける。
  10. 移行政府に対し、HNP要員が関与したとされるものをはじめ、人権侵害事件を徹底的かつ透明な形で調査するよう促すとともに、この取り組みを支援するため、MINUSTAHができるだけ早く合同特別調査ユニットを立ち上げることを要請する。
  11. ハイチ移行政府が2005年4月7日、「国民的対話」に着手したことを歓迎し、かかる対話は、国民和解という長期的な目的だけでなく、短期的にも、信頼でき、かつ、包括的な参加を伴う選挙の実施に資することを強調し、ハイチ移行政府に対し、この不可欠なプロセスへの取り組みをさらに強めるよう促すとともに、すべてのハイチ国民に対し、直ちにこの対話に参加するよう招請する。
  12. ハイチ移行政府およびMINUSTAHに対し、DDRプログラムの効果的な実施を直ちに開始するよう促すとともに、すべての加盟国に対し、このプログラムを支援するため、時宜に応じた資金、人材および技術資源を提供するよう求める。
  13. 2004年7月のハイチに関する国際援助団体会議で国際金融機関と援助団体が誓約した基金への拠出を加速させるという呼びかけを更新し、2005年6月16、17日にモントリオールで開かれたカイエンヌ・フォローアップ援助団体会議を支持するとともに、すべての援助団体に対して、ハイチに対する支援を継続するよう求める。
  14. MINUSTAHに対し、即効性のあるプロジェクトの実施能力を高めるよう要請するとともに、開発努力の効率性向上を確保するため、ハイチにおける各開発アクター間の調整強化を呼びかける。
  15. ブレトン・ウッズ機関に対し、債務の持続可能性の問題、および、ハイチにとっての重債務貧困国(HIPC)イニシアチブの潜在的重要性を考慮するよう招請する。
  16. MINUSTAHに対し、ハイチにおけるMINUSTAHの職務権限と役割に対するハイチ国民の理解を深めるため、積極的な対話や広報戦略を早急に策定、実施するよう促す。
  17. 性的搾取・虐待を容赦なく取り締まるという事務総長のゼロ・トレランス政策を実施し、その要員による国際連合行動規範の完全な遵守を確保するため、MINUSTAHによってなされた努力を歓迎し、事務総長に対し引き続き、これとの関連で必要なあらゆる策を講じ、安全保障理事会に情報を提供し続けることを要請し、兵力提供諸国に対し、自国の要員がかかる行為に関係した場合には、適切な調査および処罰が行われるよう確保するために、適切な事前予防策および懲戒処分がとられるよう促す。
  18. 事務総長に対し、少なくとも3カ月に1回、MINUSTAHの職務権限履行の実効性に関する報告を安全保障理事会に行うよう要請するとともに、さらに事務局が、政党と有権者の登録数および他の関連データを含め、選挙の準備状況に関し、安保理理事国に対し定期的に情報提供を行うことを要請する。
  19. この問題に引き続き取り組むことを決定する。

S/RES/1608(2005)