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安全保障理事会決議 1653

2006年01月27日

2006年1月27日、安全保障理事会第5359回会合で採択

安全保障理事会は、
アフリカ大湖地域に関する安保理諸決議と安保理議長諸声明、とりわけ、2005年12月21日の決議1649および1650をコンゴ民主共和国とブルンジについて想起し、

安全保障理事会の実効性の強化、および、とりわけアフリカでの武力紛争の予防と解決における市民社会の役割に関する決議1625(2005)を想起し、

さらに、国際連合と地域的機関の協力に関する決議1631(2005)、および、国際連合とアフリカ連合の協力に関する総会決議59/213 (2004)を想起し、

あらゆる地域諸国の主権、領土保全、統一および政治的独立を安保理が尊重することを再確認し、地域諸国間の関係における善隣、不干渉および協力の原則の重要性を想起し、

1994年のルワンダにおけるジェノサイド、および、過去10年にわたりアフリカ大湖地域を悩ませてきた武力紛争に対する非難を繰り返し表明し、多大な人命の損失、人的被害および財産の破壊をもたらした人権侵害と国際人道法違反について深刻な懸念を表明し、

天然資源の違法開発、同資源の不正取引、武器の拡散と密売の間につながりがあることは、アフリカ大湖地域、特にコンゴ民主共和国における紛争を助長、激化させる一因であることを認識し、

ウガンダ、スーダンおよびコンゴ民主共和国で数千人の罪のない民間人を殺害、拉致、強制退去させた「神の抵抗軍(LRA)」による長期的で残酷な反乱など、特に武器や武装集団が国境を越えて移動する場合に、紛争と不安が大湖地域全体の人道情勢にもたらす甚大な影響、および、地域の平和と安全に対するその意味合いについて深い懸念を表明し、

ブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダおよびウガンダからなる「3カ国+1合同委員会」による努力を、大湖地域諸国間の対話加速への大きな貢献として歓迎し、

アフリカ大湖地域の平和、安全および安定に関する国際会議を開催することの重要性を再確認したこれまでの安保理諸決議を想起するとともに、国際連合、アフリカ連合、非公式諮問会議およびその他すべての関係者からの支援を受けつつも、このプロセスの責任は引き続き地域諸国が握ることを認識し、

2004年11月19日から20日にかけ、ダルエスサラームで第1回「アフリカ大湖地域における平和、安全保障、民主主義および開発に関する国際会議」が開催されたことを満足の念をもって留意し、

ブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダおよびウガンダの代表による2003年9月の「善隣友好宣言」、および、第1回大湖地域国際首脳会議で採択された2004年のダルエスサラーム宣言を認識し、

大湖地域での和平プロセスで有意義な成果と前進が得られたこと、最近になってブルンジで民選政府が樹立されたこと、および、コンゴ民主共和国で民主的機構への移行が進展を見せていることを認識し、

地域の平和に大きく貢献した国際連合コンゴ民主共和国ミッション(MONUC)と国際連合ブルンジ活動(ONUB)に謝意を表明し、

地域諸国に援助を提供している国際的な支援団体のコミュニティーに敬意を表するとともに、かかる援助の継続を促し、

2005年世界サミット最終文書に関する総会決議60/1、とりわけアフリカの特別な必要性に対応する決意を歓迎し、

  1. 第1回「アフリカ大湖地域における平和、安全保障、民主主義および開発に関する国際会議」を組織し、これに参加する上で事務総長、アフリカ連合、大湖地域非公式諮問会議その他の利害関係者が果たした前向きな役割を称賛する。
  2. 大湖地域諸国に対し、ダルエスサラーム宣言に謳われているとおり、友好関係、平和的共存、紛争の平和的解決に向けた小地域アプローチを開発するため、集団的な取り組みを続けるよう求め、これら諸国に対し、事務総長特別代表およびその他の利害関係者と共働して、大湖地域諸国の安全保障・安定・開発条約の採択を視野に入れつつ、平和と安全の問題にはっきりと焦点を当てることを含め、ナイロビで開催予定の第2回首脳会議に向けた準備の仕上げを行うよう促す。
  3. 大湖地域諸国に対し、効果的かつ具体的な策に基づく信頼醸成措置に合意するよう求める。
  4. 大湖地域諸国に対し個別に、および集団的に、女性の権利の尊重と紛争の被害を受けた子どもの保護を含む人権と人道法の尊重、良い統治、法の支配、民主主義の実践、および開発協力を強化、制度化するよう促し、かつ、これを支援する。
  5. ブルンジでの順調な政権移行とコンゴ民主共和国で進行中の民主的な移行の道程に好ましい影響を与えてきた、地域諸国間で広く見られる善意と関係の発展を促す。
  6. すべての関係国に対し、重大な人権侵害と国際人道(トル権)法違反の実行犯を訴追し(トル裁きにかけ)、この関連で適切な国際協力と司法共助の措置を講じるよう促す。
  7. 不処罰に終止符を打つため、独立した信頼できる国内司法制度を構築しようとする地域諸国の努力に支持を表明する。
  8. 民間人や国際連合および人道支援に関わる要員に対する攻撃を続け、地域住民の人権を侵害し、各国および地域全体の安定を脅かしているルワンダ民主解放軍(FDLR)、フツ民族解放党・解放のための国民軍(FNL)、神の抵抗軍(LRA)など、大湖地域に展開する民兵組織と武装集団による活動を強く非難し、かかる武装集団はいずれも武器を捨て、自主的に遅滞なく、または無条件で、武装解除と帰還・再定住に加わるべきだという要求を繰り返し表明する。
  9. 地域諸国がそれぞれの領内において、外国人武装集団と国内の民兵組織の武装と動員を解除し、適宜その帰還または再定住に協力する必要性を強調し、この関連で、コンゴ民主共和国東部において、その職務権限に従い、コンゴ民主共和国軍(FARDC)を強力に支援しているMONUCの行動を賞賛する。
  10. 民兵組織や武装集団からの保護を含め、国民を保護する第一の責任は地域各国政府が担うことを重視し、および、国際法に従い、窮地にある人々への人道支援要員の全面的かつ安全な妨害されないアクセスを確保することの重要性を強調する。
  11. すべての地域諸国に対し、違法な武装集団の活動に終止符を打つことを視野に入れた協力を深めるよう求め、これら諸国は国際連合憲章の義務に従い、近隣国の領土保全または政治的独立に対する武力による威嚇または武力行使を慎まなければならないことを強調する。
  12. 国際社会、非政府組織および市民社会に対し、大湖地域で何年も続く紛争により避難を強いられ、暴力を受けてきた民間人への人道支援を増大させるよう促す。
  13. それぞれの職務権限に従い、人道支援要員を含む民間人を保護し、人道援助の配給を可能にし、難民と国内避難民の自発的な帰還に必要な条件を整備しようとする当該地域内の国際連合ミッションによる努力を賞賛する。
  14. 違法武装集団の活動に終止符を打とうとする地域各国の努力に対する支援のあり方に関し適宜、安保理に勧告をし、また、国際連合スーダンミッション(UNMIS)、MONUC、ONUBなどの国際連合ミッションが、関係政府による努力への一層の支援を通じたものを含め、窮地に陥った民間人の保護と、これに対する人道支援の確保をどのように援助できるかを勧告するよう、事務総長に対し、要請する。
  15. 地域諸国に対し、難民と元戦闘員の出身国への自主的な帰還と安全かつ持続的な統合につながる条件を整備する努力を続けるよう呼びかける。この関連で、難民、ならびに、帰還民、国内避難民および元戦闘員の社会復帰と再統合に対する相応の国際的支援を求める。
  16. 地域諸国に対し、コンゴ民主共和国における武器禁輸措置の実施にあたり、安全保障理事会の委員会および決議1533(2004)により設置された専門家グループとの協力を強化し、違法な小型武器と違法な資源の越境密輸、および、戦闘員の移動に対処するよう求め、および、ウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国、ブルンジの各政府が、地域内に存在する武装集団の活動支援に自国領域が用いられないようにするための措置を講じる安保理の要求を繰り返し表明する。
  17. 地域の関係政府に対し、相互間および地域内における天然資源の合法的かつ透明な開発を促進するための協力を強化するよう促す。
  18. 平和構築委員会の設置を歓迎するとともに、この地域における安全保障理事会の活動にとってのその潜在的重要性を強調する。
  19. 地域的機構、国際金融機関および国際連合システムの関係機関を含む国際社会に対し、大湖地域諸国の平和、安全および安定を維持するために必要な平和構築と開発への取り組みを支援し、これを補完するよう招請する。
  20. この問題に引き続き取り組むことを決定する。

S/RES/1653 (2006)