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国際問題における宗教の役割に関する第4回年次シンポジウム アミーナ・モハメッド副事務総長挨拶 移住に関する視点 (ニューヨーク、2018年1月22日)

プレスリリース 18-003-J 2018年01月29日

 

 

各国代表の方々、同僚の方々、皆様、

第2次世界大戦以来、これほど多くの人々がより安全な場所を求め、故郷を後にしたことはありません。

およそ6,600万人(その半数は子ども)が、武力紛争や迫害、貧困、気候変動、さらには自然災害を逃れ、難民や国内避難民となっています。

宗教団体(faith-based organizations)は全世界で、危機の最前線に立ち、移民と難民に食料や避難所、教育、医療援助、精神的支援を提供しています。

皆様は国家や地域の政治的利害とは無関係に、こうした人々の人権と尊厳を擁護するため、たゆまぬ努力を続けています。

よって私は、皆様がこの時宜にかなったイベントを開催されたことを嬉しく思うとともに、多くの主催者と後援者の方々に感謝したいと思います。

皆様、

移民と難民は現在、非常に大きな苦難に直面しています。

自国で受けたトラウマに加え、地中海やサヘルを越えてヨーロッパへ、または、中米を縦断して米国へと向かう途中、数千人が命を落としています。

アジアでは、イスラム教徒のロヒンギャ数百人が、ミャンマーでの暴力や迫害を陸路や海路で逃れる途中で、命を失っています。

移民や庇護希望者はしばしば、人身取引をはじめとする犯罪者の格好の餌食となっています。

こうした人々に対する極度の暴力も報告されています。

私はリビアで、アフリカ人が商品として売られていたという話を聞き、ショックを受けました。

このような深刻な人権侵害と虐待は、戦争犯罪や人道に対する罪に当たりかねません。その責任者は裁きを受けるべきです。

来賓の皆様、

世界は連帯の危機に陥っています。

難民と移民に対する政治的偏見や不寛容、排外主義は、あらゆる地域で広がっています。

難民の支援を誓いながら、その約束を破っている国も見られます。

メディアの注目は先進国に向きがちですが、全世界の難民のほぼ90%は、開発途上国が受け入れているという事実を忘れてはなりません。

世界の難民の過半数を、わずか8カ国が受け入れています。

公平な責任分担があれば、受入国が課題に直面することはないはずです。

誰でも支援の手を差し伸べることはできますが、恐怖や偏見が人類共通の責任の前に立ちはだかることが、あまりにも多くなっています。

難民や移民は、脅威として捉えられることもありますが、実際はそれとはまったく逆に、受入国と出身国双方の成長と開発に貢献しています。

私たちは、移住のプラスの側面について語り、メディアや政策立案者の移住問題に対する責任あるバランスの取れた対応を確保するため、さらに取り組みを強化する必要があります。

私たちは、難民と移民の社会的、経済的包摂を促進しなければなりません。

新たに到着した人々をよりよく統合できれば、その社会への貢献度も高まるからです。

私たちは、差別や不寛容に反対の声を上げ、恐怖を利用したり、人々を分断させたりすることによって票を獲得しようとする者に反論しなければなりません。

私たちは、人々の大規模な移動を管理する国際システムを、人権規範を堅持し、保護を提供できるよう強化しなければなりません。

そして、移住と強制避難を増大させている要因に、さらによく注意を払わなければなりません。

正義、人権、充実した制度、平和な社会に焦点を絞った「持続可能な開発目標(SDGs)」は、強力な枠組みを提供しています。

また、事務総長が確立しようとしている予防プラットフォームは、紛争を予防し、紛争を平和的に解決し、人権侵害が激化する前にこれに対処するための国連活動の強化をねらいとしています。

2018年、私たちには、こうした課題に取り組むうえで絶好の機会が訪れています。

加盟国は、移住に関するグローバル・コンパクトと難民に関するグローバル・コンパクトに合意することで、その法的、倫理的義務を果たす決意を新たにします。

その際には、移住の利益を最大限に高め、課題を克服し、安全で秩序ある正規の移住を確保するための国際協力の具体的な分野を定めることが重要となります。

事務総長が最近、この目的で発表した報告書『Making Migration Work For All(移住の利益をすべての人に)』は、今後の交渉のたたき台となるものです。

宗教団体は、こうしたプロセスに大いに貢献すべきです。

私は皆様に対し、いかなる形であれこの取り組みに参加し、皆様の道徳的な声をリーダーに届けるようお願いしたいと思います。

2018年には、私たちにまたとない機会が訪れます。

すべての移民と難民の権利と尊厳のために、この機会を最大限に活用できるよう、私たちは皆様のご支援に期待しています。

皆様、

人間は有史以来、自らの選択により、そしてやむを得ない理由により、各所へと移動を続けてきました。これは今後も続いていくことでしょう。

難民や移民は「他人」ではありません。

それは「私たち自身」です。

そこには人類それ自体と同じ多様性があります。

迫害や暴力を逃れてきた人々を守るという私たちの義務を堅持し、難民と移民が提供する機会を受け入れることによってのみ、私たちはすべての人にとってより豊かで安全、かつ公平な未来を達成できるのです。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。