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災害へのレジリエンス向上に向け女性が果たす重大な役割が国連会議イベントで焦点に(2015年3月14日、仙台)

2015年03月14日

2015年3月14日 – 国連や政府、市民社会の上級代表はきょう、災害発生時とその前後にコミュニティーの安全を高めるための計画策定と政策決定に女性が果たすプラスの役割を重視し、女性のニーズと声が軽視されている限り、防災への取り組みは完全に効果的なものにも、持続可能なものにもなり得ないことを強調しました。

仙台では、第3回国連防災世界会議の開会に合わせ、数十件のイベントが実施されましたが、そのうちの1つとして開催された主要なマルチステークホルダー対話では、参加者が、災害リスク削減における女性のリーダーシップを拡大、強化するとともに、これを全面的に活用するため、さらに一層の努力を強く促しました。

国連世界食糧計画(WFP)と国連人口基金(UNFPA)のそれぞれの事務局長は、仙台会議のトップを飾る「防災における女性のリーダーシップ」に関する政府間ハイレベル・パートナーシップ・ダイアローグで、災害に見舞われた場合、女性は最も大きな影響を受ける一方で、膨大な障壁を克服して災害への対応を指導したり、自らの健康と安寧を危険に晒してまで、ケアや支援を提供したりする女性も多いことを指摘しました。

3月18日(水曜日)まで開催される今回の防災会議のねらいは、10年前に合意された画期的な「兵庫行動枠組(HFA)」の後継枠組みを採択することにあります。現行の行動枠組は、災害による損失を削減するため、すべての部門と関係者に要求される活動を詳しく定めるもので、兵庫県の神戸で交渉が行われたことに因んで命名されました。

国連国際防災戦略事務局(UNISDR)によると、HFAの実施において進展は見られているものの、災害リスク削減への取り組みにおけるジェンダーの平等と女性の権利に関する国際社会の約束を果たすためには、深刻なギャップや課題が残っていることが幅広く認識されています。社会で変革をもたらす媒介としての女性の参画とリーダーシップは、女性を弱者グループに分類している災害リスク管理の分野では、依然として見落とされることが多くなっています。

アーサリン・カズンWFP事務局長は、きょう仙台で始まった「グローバル・リセット」に、女性を災害リスク削減努力の中心に据えるための措置を含めなければならないことを強調しました。仙台会議は、開発資金、持続可能な開発、気候変動のそれぞれに関し、すべての人にとってより安全かつ豊かな世界を確保することをねらいとして、国連が2015年に後援する一連の重要会議の先陣を切るものだからです。

こうした措置を講じなければ、この1年間に提案される野心的な目標は、いずれも達成できないでしょう。事務局長は、「私たちがここで女性について語る時よりも」、けさ開会した第3回国連防災世界会議の主会議場で「グレーのスーツ」が目立ったのはなぜかと問いかけ、災害はまさに女性が直面する既存の障壁や不平等をさらに悪化させ、女性の死傷リスクを高めると指摘しました。

カズン事務局長は、この視点からも「女性は防災の議論をリードする地位に就き、政策決定に参画し、会話の一部を占めなければならない」と述べるとともに、単に援助を受け取るだけの弱い存在としてのみ女性を捉えるという見方を捨てるべき時が来たことを強調しました。むしろ、女性をありのままに捉え、その役割を災害への対応と復興の中心的な柱として認識しなければならないのです。

事務局長は、「これからは、女性を認識し動員してゆかねばなりません…。あるべき姿を実現すべき時は来ています」と述べ、兵庫行動枠組に加え、今年で採択20周年を迎える画期的な北京行動綱領でなされた約束を果たすための取り組みを求めました。

一方、ババトゥンデ・オショティメインUNFPA事務局長は、仙台会議が世界にとって、共通の災害リスク削減アジェンダのもとに結集し、女性をその中心に据える集団的行動を約束するための新たな機会を提供するものだと述べています。

この分野で深刻な格差が残っているのは、ジェンダーに基づく妥当なアプローチとベストプラクティスに関する指針やツールが欠けているからではありません。必要なのは、女性の発言力の強化と、参加を確保するための前提条件となる政治的な意志です。事務局長によると、このような取り組みはすべて、性と生殖に関する健康の権利を含む女性の権利を強化するものとせねばなりません。

事務局長は続けて、すべてのレベルで講じうる重要な対策を提案するとともに、この目的に使える資金自体が不足している現状に鑑み、資金を災害リスク削減に回すとともに、女性がこの分野で実質的な役割を果たすためのエンパワーメントも行わねばならないことを強調しました。また、オショティメイン事務局長は、持続的かつ持続可能な災害リスク削減のためには、進捗状況を測定し、各国と地方の主体による実施に向けた動きを確保するための指標と目標を伴う説明責任枠組みが必要だとも述べています。

安倍晋三総理大臣は基調演説で、日本は古来から多くの災害と向き合ってきており、このような厳しい経験を経て、防災にも、復興にも、女性の力が不可欠であると強く認識するようになったと述べました。

総理はまた、日本が古くから、女性の発言力、視認性、参加を増大させることの重要性を理解してきたことに言及しました。そして、例えば日中に災害が起きた場合、家にいるのはほとんどが女性であるため、 女性の視点こそが「被災地の復旧に絶対に欠かせない」ことを指摘しました。

「どれほど大地が揺れようとも、私たちの心はいつも平静です」。安倍総理は、2011年の震災直後に訪れた被災地の女性の力強い言葉を引用し、すべての女性が防災でより大きな役割を果たせるよう、日本が本格的な取り組みを続けてゆくことを誓いました。

パネルでは、高市早苗総務大臣とフィリピンのローレン・レガルダ上院議員が共同議長を務めました。

また、パネリストとして、タルヤ・ハロネン元フィンランド大統領、奥山恵美子・仙台市長、クリスタリーナ・ゲオルギエヴァ欧州委員会予算・人的資源担当副委員長、アディ・バスレブ・メレワラシFemLINKPACIFIC代表も参加しました。

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2006年の地震・津波後、村の再建を話しあう女性。インドネシア、ヨギャカルタで。 Photo: World Bank/Nugroho Nurdikiawan Sunjoyo