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シリーズ DID YOU KNOW? :人権

2018年09月20日

バマコ(マリ)の中央拘置所に収容された精神障害をもつ勾留者©UN Photo/Marco Dormino

人権とは

人権とは、人種や性別、国籍、民族、言語、宗教その他いかなる地位とも関係なく、すべての人間に固有の権利を指します。人権には生存権、自由権、奴隷制と拷問からの自由、言論と表現の自由、労働権、教育を受ける権利など、多くの権利が含まれます。これらの権利は誰にも分け隔てなく与えられています。

国際人権法

国際人権法は、個人と集団の人権と基本的自由を推進、擁護するために、政府が一定の行動を起こすか、一定の行動を控える義務を定めています。

国連にとって最大の成果の1つとして、包括的な人権法体系、すなわち、すべての国が加入でき、すべての人々が希求する普遍的で国際的に保護された規範の創設が挙げられます。国連は市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利を含め、幅広く国際的に認められた権利を定義しています。また、こうした権利を推進、擁護し、各国がそれぞれの責任を担うことを支援するメカニズムも確立しました。

この法体系の基盤をなすのは、国連総会が1945年に採択した国連憲章と、1948年に採択した世界人権宣言です。国連はそれ以来、女性や子ども、障害者、少数者その他の社会的弱者集団にも、人権法の適用範囲を徐々に拡大した結果、これらの人々は現在、かつて多くの社会で広く見られた差別から身を守る権利を持っています。

 

世界人権宣言

世界人権宣言(UDHR)は、人権の歴史における大きな節目となった文書です。世界の全地域から、法的・文化的背景を異にする代表が集まって起草が行われたUDHRは1948年12月10日、パリで開催されていた国連総会の決議第217A(III)により、すべての国民と国家が達成すべき共通の基準と宣言されました。宣言は初めて、普遍的に擁護すべき基本的人権を定めました。1948年の採択以来、501を超える言語に翻訳され、世界で最も広く翻訳された文書となっているだけでなく、多くの新興独立国や新興民主主義国の憲法にも着想を与えました。UDHRは、市民的、政治的権利に関する国際規約とその2つの選択議定書(申立手続きと死刑に関するもの)、および、経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約とその選択議定書とともに、いわゆる国際人権章典を構成しています。

経済的、社会的、文化的権利

経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約は、1976年に発効し、2016年10月末時点の締約国は164カ国となっています。この規約が推進と擁護を図っている人権には、下記が含まれています。

• 公正かつ好ましい条件のもとで働く権利
• 社会保障、適切な生活水準、到達可能な最高水準の身体的、精神的福祉を享受する権利
• 教育を受ける権利、文化的自由と科学の進歩の恩恵を享受する権利

市民的、政治的権利

市民的、政治的権利に関する国際規約とその第1選択議定書は、1976年に発効しました。2010年末時点の締約国は167カ国となっています。第2選択議定書は、1989年に採択されました。

規約は移動の自由、法の前の平等、公正な裁判と推定無罪の権利、思想、良心および宗教の自由、言論と表現の自由、平和的な集会、結社の自由、公職と選挙への参加、ならびに、少数者の権利擁護などを規定しています。また、恣意的な生命の剥奪、拷問および残酷な、または品位を傷つける取り扱いまたは刑罰、奴隷制と強制労働、恣意的な逮捕または抑留、私生活への恣意的な干渉、戦争の宣伝、差別、ならびに、人種的または宗教的憎悪の唱導を禁止しています。

人権条約

1945年以来、一連の国際人権条約やその他の協定が採択されたことにより、国際人権法体系は拡大してきました。その中には、集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(1948年)、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(1965年)、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(1979年)、児童の権利に関する条約(1989年)、障害者の権利に関する条約(2006年)などが含まれています。

人権理事会

2006年3月15日に総会が自らに対する報告義務を与えて設置した人権理事会は、それまで60年にわたり活動していた国連人権委員会に代わり、国連で人権を担当する主たる政府間機関となりました。47カ国の代表で構成される人権理事会は、人権緊急事態への対応を含め、人権侵害の状況を審査し、これに関する勧告を行うことにより、全世界で人権の推進と擁護を強化する役割を担っています。

人権理事会の最も革新的な特長として、普遍的・定期的レビューが挙げられます。この独創的なメカニズムは、国連に加盟する192カ国すべての人権状況を4年に1回審査するものです。人権理事会のもとで進められるこの協調的な国家主導型のレビューは、各国がその人権状況を改善し、国際的な義務を果たすために講じた措置と、これに関連する課題を明らかにする機会となっています。このレビューには、各国の普遍的かつ平等な取り扱いを確保する目的があります。

国連人権高等弁務官

国連人権高等弁務官は、国連による人権活動の最高責任者です。高等弁務官には、深刻な人権侵害に対処し、予防的処置を取る任務が与えられています。

人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、国連による人権活動を主管するフォーカル・ポイントです。人権理事会や条約機関(条約の遵守状況を監視する専門家委員会)その他国連人権機関の事務局も務めています。また、人権に関するフィールド活動も展開しています。

ほとんどの主要人権条約には、批准国による各条約の履行状況を審査する監督機関が設けられています。権利の侵害を受けた個人は直接、人権条約を監督する委員会に苦情を申し立てることができます。

人権と国連システム

人権は、平和と安全、開発、人道援助、経済・社会問題という主要分野に関する国連のあらゆる政策とプログラムを横断するテーマです。よって事実上、国連のあらゆる部局と専門機関は多かれ少なかれ、人権の擁護に関わっています。例えば、開発の権利は、持続可能な開発目標(SDGs)の中心となっているほか、食料確保の権利は国連食糧農業機関(FAO)が中心となって擁護し、労働権は国際労働機関(ILO)が定義、擁護し、ジェンダーの平等はUNウィメンが広めています。また、子どもや先住民、障害者の権利を擁護する機関もあります。

毎年12月10日は人権デーと定められています。

参考資料:

18の国際人権条約批准状況
人権指標
世界人権インデックス

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原文(English)はこちらをご覧ください。

関連ページ:世界人権宣言70周年 ~人権のために立ち上がろう~