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移住者の人権に関する国連専門家、訪日調査を終了

プレスリリース 10-019-J 2010年03月31日

* 移住者の人権に関する国連の特別報告者ホルヘ・ブスタマンテ氏は、9日間にわたる訪日調査を終えるにあたり、下記のプレスリリースを発表しました。(邦訳は、非公式暫定訳)

移住者の人権に関する国連専門家、訪日調査を終了

移住者の人権に関する国連特別報告者は、経済危機が移住者へ与える影響を低減するために日本が採った措置を評価する一方で、市民団体から提供された情報によると、人種主義、差別や搾取が存在し、司法機関や警察に移住者の権利を無視する傾向があり、また人権の保護を含む包括的な入国管理政策が欠如しているなど、一連の課題が存在することに注目している。

国連移住者の人権に関する特別報告者ホルヘ・ブスタマンテ氏は、日本における移住者の人権状況を調査し、国連人権理事会に報告するため、日本政府の承認を得て、2010年3月23日~31日、訪日し、本日、9日間の日本滞在の最終日にあたり、以下の見解を表明する。

特別報告者は、東京、名古屋、豊田、浜松を訪れ、大臣、国や地方の行政機関及び国際機関の職員、弁護士、学者や教員、市民団体のメンバー及び移住女性・男性・子ども達と面談し、東日本入国管理センター、外国人学校、移住者団体等を視察した。特別報告者は、実態調査をするにあたり、日本政府や国際移住機関(IOM)、市民社会団体などの諸機関・団体に支援をいただいたことに、感謝の意を表明する。

特別報告者は、移住者が直面する人権問題の深刻さに対処するため日本政府が行っている努力、特に経済危機後に進めた取り組みに注目する。(1)金融危機の結果、私立の外国人学校を退学し、日本の公立学校に転入する移住者の子どものための日本語指導の実施、(2)地方行政により認可された一部外国人学校への助成などは、移住者の子どもが教育を受ける権利を実現する注目すべき取り組みであり、積極的な例として挙げられる。

さらに、地方行政レベルにおいても、国からの助成金を受けて公共職業安定所に通訳を配置したり、日本語学習支援基金の創設(愛知県など)により、企業が移住労働者やその子ども達向けの日本語学習教室を負担するなど、興味深い取り組みが進められていることが分かった、とブスタマンテ氏は述べた。移住者のニーズにどう対応すべきか議論する場として、27の自治体が集まって設けた、外国人集住都市会議も、また積極的な取り組みである、と特別報告者は述べた。

しかしながら、移住者及びその子どもの人権を保護するために、政府が取り組まねばならない課題も残されている、とブスタマンテ氏は述べた。状況改善に向けて最も重要性の高い懸念及び予備的な勧告として、以下のような課題が挙げられる。

○日本は、20年前から移住労働者を受け入れるようになったが、移住者の権利保護を保証する包括的な移民政策は実施されていない。移住者の上陸・在留を管理するだけでなく、移住者の社会統合及び就労・医療・住宅・教育を含む、移住者の権利を尊重する条件を、差別なく作り上げる制度を実現するための、明確かつ包括的な移民政策の実施が必要である。日本政府による、近年の一時的なその場しのぎの措置は、長期的な政策に変換していく必要がある。

○国籍に基づく人種主義及び差別意識は、日本に未だ根強く、職場、学校、医療施設、住宅などにおいて見られる。国連の人種差別撤廃委員会が勧告で示したように、外国人住民を人種又は国籍に基づく差別から、効果的に保護する規定が、憲法や現行の法律に欠けているため、人種差別の撤廃と防止のための特別な法整備が求められる。

○研修・技能実習制度は、往々にして研修生・技能実習生の心身の健康、身体的尊厳、表現・移動の自由などの権利侵害となるような条件の下、搾取的で安価な労働力を供給し、奴隷的状態にまで発展している場合さえある。このような制度を廃止し、雇用制度に変更すべきである。

○特別報告者は、司法組織が国内法の規定に従い、移住者の権利を認めるべきであるにも関わらず、日本人を優遇しがちであるとの証言を多く聞いた。また、警察が外国人による苦情、又は移住者同士の争いなどに対応しない(外国人女性が関わるDVの案件を含む)という実情も移住者から聞いた。一部の移住者によると、司法・法執行機関内で、外国人の権利が差別なく実質的に保障されるよう、緊急な対策が必要である。

○非正規滞在の移住者に対する収容政策、特に庇護希望者、子どもの保護者及び子ども自身を含む、非正規滞在者の全体収容主義、また場合によっては2~3年という事実上無期限収容に相当する長期収容が存在することなどに懸念を表明する。収容を必要な場合のみに制限し、病気を患う者、未成年者の保護者などの収容は避けることができるよう、明確な基準を示すべきである。退去強制過程における最大収容期間を定め、期間が満了した時点で、被収容者を解放すべきである。さらに、収容所において適切な医療が提供されていない、人権侵害に対する有効な不服申し立て及び監視制度がないことも深刻な懸念材料と言える。

○特別報告者は、移住女性及び往々にその子どもに対する家庭内暴力(DV)の頻発に懸念を表明する。外国人女性が、たとえDVの被害者であっても、在留資格の更新において夫の協力に頼らなければならない状況や、またその在留資格の有無に基づいて、子どもの親権が裁判で定められる状況に、特に懸念を表明する。非常に弱い立場に置かれた、シングル・マザー及びその子どもの保護・支援のための適切な政策が不足している。至急、政策を策定し、実施するべきである。

○多くの外国人の子どもが、日本において不就学の状況にある。外国人の子どもが、外国人学校又は日本の学校で学べるよう、また日本語を効果的に学習できるよう促進する措置を、政府は強化するべきである。特別報告者は、日本で生まれ、10~15年間暮らしていた子どもの親が、退去強制処分となったり、収容されたりし、非正規滞在という在留資格のみに基づいて、親子が離れ離れになった数々の実態を聞いた。子どもの最善の利益の原則に則り、家族は分離されてはならない。

○特別報告者は、移住労働者に対する民間雇用者による雇用、昇格機会、労災の際の医療へのアクセス、不当な解雇脅迫における明らかな差別の状況を聞いた。正規・非正規を問わず、移住労働者は多くの場合、短期契約で働いているため、不安定で差別的な条件で雇われ、社会保障及び医療サービスへのアクセスがないと信じている。民間企業が移住労働者の雇用条件を監視する制度に、特別な注意を払うべきである。

今回の訪日の報告書は、国連人権理事会の年内のセッションに提出する予定である。

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