• プリント

海と海洋法

2017年05月18日

©UNEP

生命の起源は海にあります。広大な海は地球の表面の約72%に当たる1億4,000万平方マイルを覆っています。海は常に、自らが生み出すことに貢献した生物にとって、最も重要な栄養源となってきただけでなく、有史以来、貿易や通商、冒険、発見の場を提供してきました。海は人々を引き離すだけでなく、つなげる役割も果たしてきたのです。

すべての大陸の地図が描かれ、その内部も道路や河川、空路によって往来が可能になった今でも、世界人口のほとんどは海から200マイル以内の地域で、海と密接に結びついた暮らしを送っています。

公海航行の自由

海は長い間、公海航行の自由という原理に服してきました。17世紀に成立したこの原理は本質的に、各国の海に対する権利と法的権限をその沿岸部の狭い海域に限定するものでした。それ以外の海域はあらゆる者にとって自由であり、誰にも帰属しないものであると宣言されていたのです。この状況は20世紀に入ってからも続きましたが、その半ばに入ると、各国が海底資源に対する領有権の拡大を主張する動きが見られるようになりました。

また、遠洋漁船団による沿岸漁業資源の乱獲や、有毒な貨物を積んで全世界の航路を往復する貨物船や石油輸送船による汚染と廃棄物に対する懸念も高まってきました。汚染の危険は常に存在し、沿岸部やあらゆる種類の海生生物を脅かしました。海運国の海軍は、全世界の海面だけでなく、海底にもプレゼンスを維持しようとしのぎを削りました。

国連海洋法条約(UNCLOS)

国連は長い間、個人と人類全体の利益となるような形で海洋の平和的、協調的かつ法律に基づく利用を確保するための取り組みを先頭に立って進めてきました。明確に定義された国家の司法管轄権を超え、海底と大洋底を律する実効的な国際法体系を緊急に求める声が高まったことにより、その後15年にわたるプロセスがスタートしました。その結果、国連海底平和利用委員会が設置され、海底への核兵器の配備を禁じる条約に署名が行われたほか、国家の司法管轄権が及ばない海底の資源はすべて、人類共通の遺産とする旨の総会宣言が採択され、ストックホルム人間環境会議が招集されました。

1982年の海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)採択という国連の画期的な成果は、地球上の広大な共有の水資源に国際法の適用範囲を拡大する決定的な瞬間となりました。海洋法条約は下記をはじめ、海の利用と主権に関する数多くの重要問題を解決しました。

  • 航行の自由権を確立
  • 領海を沿岸から12海里に設定
  • 排他的経済水域を最大で沿岸から200海里に設定
  • 大陸棚に対する権利を最大で沿岸から350海里に拡大するルールを設定
  • 国際海底機構を創設
  • その他の紛争解決メカニズムを創設(国連大陸棚の限界に関する委員会など)

 海洋環境と生物多様性の保護

国連環境計画(UNEP)は特に、その地域海計画を通じ、海洋を保護するとともに、海洋資源の環境上適正な利用を促進する役割を果たしています。「地域海協定・行動計画」は、地域レベルで海洋を保護するための世界で唯一の法的枠組みとなっています。UNEPはまた、陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画も策定しました。この行動計画は、陸上生態系、陸水生態系、沿岸生態系、海洋生態系の間の連結性に直接に取り組む唯一のグローバルな政府間メカニズムです。

国連教育科学文化機関(UNESCO)はその政府間海洋学委員会を通じ、海洋研究、観測システム、危険の緩和、および、海洋・沿岸域の管理改善に関するプログラムの調整を行っています。

国際海事機関(IMO)は、国際海事法の発展を主管する国連機関です。その主たる役割は、海運業界に関し、公正かつ実効的で、普遍的に採用、実施される規制枠組みの策定を行うことにあります。

海運と汚染

輸送のクリーン化とグリーン化を図るため、IMOは、船舶からの大気汚染物質の排出に取り組む規制を採択するとともに、国際海運からの温室効果ガス排出量の削減を図る強制的な省エネ措置を採択しています。その中には1978年の議定書による修正を受けた1973年の画期的な船舶による汚染防止のための国際条約(マルポール条約)と、1954年の「油による海水の汚濁防止に関する条約」が含まれています。

極海コード 

2014年には、輸送と貿易の促進の分野に関する規制に大きな動きが見られました。その中には、極海域における船舶運航のための国際基準(極海コード)の採択(2017年1月1日に発効)や、海上とサプライチェーンの安全と環境問題に関する幅広い規制の動きが含まれています。

海賊行為

近年では、ソマリア沖とギニア湾で海賊行為が頻発するようになっています。海賊行為は、特に船員の福祉や航行と通商の安全を危険にさらすことにより、海上の安全を脅かしています。このような犯罪行為により、人命が失われたり、船員が身体的危害加えられるか、人質に取られたり、通商と航行に大きな混乱が生じたり、船主が金銭的損失を被ったり、保険料や警備費がかさんだり、消費者や生産者のコスト負担が増大したり、海洋環境に被害が及んだりしかねません。

海賊による攻撃は、人道援助の阻止や、被災地への将来的な出荷コストの増大といった悪影響を及ぼすおそれもあります。IMOと国連は、追加的決議を採択し、海賊対策に関する海洋法条約ルールの充実を図っています。

参考資料

海運報告書(UNCTAD)

* *** *

このテーマに関する記事:

国連海洋会議(2017年6月5日~9日、ニューヨーク)背景資料

国連海洋会議(2017年6月5日~9日、ニューヨーク)よくある質問