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国際母語デー(2月21日)に寄せるイリーナ・ボコヴァUNESCO事務局長メッセージ

プレスリリース 14-010-J 2014年02月21日

国連教育科学文化機関(UNESCO)とそのパートナーはこれまで14年間、「国際母語デー」の記念行事を行ってきました。世界中で様々な活動や会議、コンサート、セミナーを開催し、言語の多様性と多言語使用の重要性を訴えています。

母語の保護と普及は、地球市民の育成と本質的な相互理解の実現においてカギを握っています。複数の言語を理解し、話すことは、私たちが暮らす世界の文化交流の豊かさに対する理解を深めることにつながります。現地語を認識することで、さらに多くの人々が意見を伝え、自分たちの運命共同体へ積極的に参加できるようになります。人類が話す7,000の言語が、調和を保って共存するよう促すため、UNESCOが全力を尽くしている理由もここにあります。

今年、私たちは「科学に着目し、地球市民育成のための現地語を考える」というテーマを掲げ、言語が知識の取得、伝達、多元性をどう確保しているのかを示すことに力点を置いています。一般的な常識に反し、現地語には数学、物理学、テクノロジーなど、最も現代的な科学知識を伝達できる能力が十分にあります。こうした言語を認識することは、ともすれば見過ごされがちな多くの伝統的科学知識を取り入れ、私たちの全体的な知識基盤をさらに豊かにすることも意味します。

世界的に見て、科学の分野で用いられている言語の過半数は、現地語にあたります。こうした言語は最も大きな存続の危機にさらされています。言語を排除すれば、その話者は科学知識の入手という基本的人権からも排除されることになります。

その一方で、「地球村」の住民たちが関係を深めるにつれ、文化間の理解と対話はこれまでにも増して極めて重要になっています。今日の世界では少なくとも、1つの現地語、1つの共通語、そして1つの国際語という 3つの言語を用いて、ローカル、グローバル双方のレベルでコミュニケーションを図ることが標準的となっています。創造性、革新性、包摂性という点から見て、こうした言語と文化の多様性は、私たちの将来にとって絶好のチャンスを提供できる可能性を秘めています。このチャンスを逃してはなりません。

「国際母語デー」は過去10年以上にわたり、幅広い意味での意識の形成において言語が果たす多くの役割を強調し、個々の社会の暮らしと課題解決に貢献できる手段を備えた地球市民を育成することに役立ってきました。私はUNESCOの全加盟国、2014年の国際デー開催に協力している国際フランス語圏機関、市民社会の活動家、教育者、文化団体、メディアに対し、こうした言語的多様性の利点を平和と持続可能な開発の実現に向け、最大限に活用するよう呼びかけます。

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ー国際母語デーに寄せる国連事務総長メッセージ(英語)は以下をご覧ください。

http://www.un.org/en/events/motherlanguageday/2014/sgmessage.shtml