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プレスリリース 第3回国連世界防災会議、歴史的合意を採択して閉幕。(2015年3月18日、仙台)

2015年03月18日

本メディア用参考資料は国連広報局が318日に発行した英文の抄訳です。

第9回全体会合(夜)

3回国連世界防災会議は閉幕し、歴史的枠組合意は人命、生計の損失を軽減するための目標を定める

日本の仙台で今晩閉幕した国連防災世界会議における各国が参加した会合は本日、世界中の地震、異常気象などの災害による死者や破壊を2030年までに著しく低減する目標を定めた。

当会議の成果である、仙台防災枠組2015-2030を通じて、参加者は国家計画と国際協力を強化することによって、災害による人命、生計、及び重要なインフラの損失を軽減するために、持続可能な開発のためのポスト2015開発戦略に7つの目標を組み込むよう国連総会に要請した。

新たな枠組では、これらの目標達成への進捗状況を、前身の2005兵庫行動枠組採択後10年間の災害損失に照らして評価する具体的な指標を示しており、また、都市部の人口の急増に注目し、新枠組は全世界的に10万人ごとにそのような進展を評価することも求めている。

その目標を達成するために、新たな枠組は、住民を守り、迅速な復興を促進するだけではなく、洪水、山崩れ、及び気候変動の影響にさらされている地域において、不十分な計画の下に行われた都市の成長が引き起こすリスクのような新たなリスクを防ぐ措置を求めている。「人々、コミュニティ、及び国々をより効果的に守るために災害リスクを予測し、それに対して計画し、軽減することが緊急かつ重要である」と枠組は述べている。

新たな枠組は、気候変動を緩和し、それに適応して持続可能な開発を促進する世界的な諸制度との一体化を主要な目標の一つとしており、同じく、経済、ガバナンス、構造、法務、社会、文化、教育、及び医療の各セクター並びに関連する国連機関を通じて包括的にリスクに取り組むことも主な目標の一つとしてあげている。

こうしたすべての目的のために、様々なソースによる国際協力の大幅な増加が開発途上国の能力を押し上げるために必要である、と枠組は述べる。

この新たな防災枠組は、災害リスク並びに人命、生計、及び健康の損失の大幅な削減につながる明確な行動目標と優先事項の概要を示しているため、この枠組みの採択は持続可能な開発の新たな重要な段階となる」と国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の責任者であるマルガレータ・ワルストロム氏は会議を締めくくって述べた。

ワルストロム氏はさらに「今後15年間、仙台防災枠組を実施していくためには強力なコミットメントと政治的リーダーシップが必要」と述べ、この会議の準備段階になされた88のコミットメントに加え、利害関係者がリスク削減計画に対してすでに120の自発的コミットメントを行ったことに言及した。

ワルストロム氏は、当会議において25カ国の首脳、何十人もの閣僚やその他高官を含む187カ国の代表団が新たな枠組をまとめるために懸命な交渉と協議に参加したと報告した。国家声明や交渉の他、政府間のプロセスとして新たな枠組の重要テーマに焦点をあてた5回にわたる閣僚級ラウンドテーブルも実施された。

閣僚級ラウンドテーブルは、「災害復興:ビルド・バック・ベター(より良い復興)」、「ポスト2015防災枠組支持のための国際協力」、「災害リスク管理:困難の克服」、「都市部における災害リスク軽減」、「防災のための公共投資戦略」をテーマとした。これらのフォーラムの公式要旨は最終会合で報告された。

当会議には国会議員、市民団体、国家防災プラットフォーム、地方政府代表、科学学術団体、及び民間セクター並びに国連の諸機関及び政府間組織も参加した。当会議期間中のパブリックフォーラムの参加者は14万3千人に上った。

新たに決定された災害リスクを管理する枠組に加え、本日の成果文書には壊滅的な被害をもたらしたインド洋大津波を受けて採択された2005兵庫行動枠組の評価の概要が含まれた。仙台会議の参加者は兵庫行動枠組の下で過去10年の間に地方、国家、地域の各レベルでリスクの削減に進展が見られ、一部の災害での死亡数の減少につながったことに合意した。

成果文書によれば、10年の間に多くの国が災害リスク管理能力を強化してきた。さらに、地球規模及び地域の防災プラットフォームなど、防災に向けた助言、連携、協力のための国際的システムが発展してきた。

しかし、同じ10年間で災害は70万人を超える死者、14億人を超える負傷者、2300万人を超える家屋喪失者など、大きな被害をもたらし続けてきたと成果文書は言及する。合計15億人超が災害の影響を受けており、繰り返し起きている小規模な、緩やかに進行する災害が地方及びコミュニティレベルで人々に被害を与え、女性、児童およびその他の脆弱者に偏って損失を加えている。

従って、新たな枠組は地区および9つの主要な脆弱者グループ全ての災害リスク状況に詳細に対処しており、さらにリスク管理及びレジリエンスの計画を立てる際の障害者のエンパワーメントにも焦点を当てている。

会議を締めくくるにあたり、高官たちは現在の兵庫行動枠組の実施を通じて得た経験を考慮に入れた代表団に敬意を表した。タイのタニ・トンパクディ メイン・コミッティ共同議長は「今後15年間の防災の指針を示す枠組を実現させるためにこの5日間たゆまず励んだ」すべての人々に感謝の意を表した。

日本の内閣府特命防災担当大臣である山谷えり子当会議議長は、「世界防災コミュニティとの日本の特別な関係は、この世界会議の成果によって強化された。この新たな枠組の実施を成功させることは、既存のレベルの災害リスクの軽減と新たなリスクの形成回避を意味する」と述べた。

現在の世界の諸課題に対する一貫した戦略を目的として、仙台会議の成果は「新しい未来への探求に向けた第一歩」となると潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は3月14日に会議を開幕した際に説明した。

潘事務総長は、会議の強力な成果は、新たな世界目標を核にもつ新たな持続可能な開発という行動方針の道を世界に歩ませるだろうと述べ、今年予定されているポスト2015持続可能な開発戦略の最終制定のみならず11月にパリで開催される国際的気候変動体制の合意に向けた会議および7月にエチオピアのアジスアベバで予定されているこれらの計画を実現させるための開発融資の会議に勢いを生むことに言及した。

今晩の最終会合での新たな枠組の採択後、当会議は会議主催国である日本に感謝する決議を採択した。閣僚級ラウンドテーブルの要旨がエクアドル危機管理庁のマリア・デル・ピラール・コルネホ長官によって発表された。

会議はバングラデシュのシャミーム・アサン氏によって提出された資格審査についての決議も採択した。会議は、当会議の総括報告者であるトニー・フリッシュ スイス防災特別顧問によって提出された報告書草案を採択した。

最後に、新たな枠組の実施を支援する政治宣言を採択することによって、参加者はすべての利害関係者に行動を起こすよう求め、「新たな枠組の実現は、来る数十年の世界が現代及び未来の人類にとって災害リスクからより安全であるために、我々が弛みなく精力的に協力して取組み続けることにかかっている」ことを強調した。

枠組合意を採択して、会議閉幕  UNISDR