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持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字

プレスリリース 18-092-J 2018年12月24日

*このページは、国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」を日本語訳し、まとめたものです。【2018年12月現在】

 

目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

  • 1日1ドル90セントという国際貧困ライン未満で暮らす人々は、7億8,300万人に上ります。
  • 2016年の時点で、全世界の労働者のほぼ10%は1日1人1ドル90セント未満の所得で家族と暮らしています。
  • 全世界の25歳から34歳の年齢層で、極度の貧困の中で暮らす人々は、男性100人当たり女性122人となっています。
  • 極度の貧困の中で暮らす人々のほとんどが2つの地域に集中しています。南アジアとサハラ以南アフリカです。
  • 脆弱で紛争の影響を受ける小さな国々では、貧困率がしばしば高くなっています。
  • 全世界で5歳未満の子どもの4人に1人が、年齢に見合う身長に達していません。
  • 2016年の時点で、少なくとも1件の社会保障現金給付を実効的に受給できる人々は、世界人口のわずか45%にとどまっています。
  • 2017年には、米国とカリブ海を襲った3つの大型ハリケーンによるものを含め、災害による経済的損失が3,000億ドルを超えたものと見られています。

 

目標2:飢餓をゼロに

飢餓

  • 現在、世界人口の9人に1人(8億1,500万人)が栄養不良に陥っています。
  • 世界で飢餓に苦しむ人々の多くが暮らす開発途上国では、栄養不良率が人口の12.9%に達しています。
  • 飢餓に陥っている人々が最も多いのはアジアで、全体の3分の2を占めています。南アジアの割合は近年、低下してきていますが、西アジアの割合は微増となっています。
  • 最も飢餓が広がっている南アジアでは、約2億8,100万人が栄養不良に陥っています。サハラ以南アフリカでは、2014‐2016年の期間予測値で、栄養不良率がおよそ23%に上ります。
  • 栄養不良が原因で死亡する5歳未満の子どもは年間310万人と、子どもの死者数のほぼ半数(45%)を占めています。
  • 世界の子どもの4人に1人は、発育不全の状態にあります。開発途上国に限ると、この割合は3人に1人に上昇します。
  • 開発途上国では、就学年齢の子ども6,600万人が空腹のまま学校に通っていますが、アフリカだけでも、その数は2,300万人に上ります。

食料の安定確保

  • 世界で最も就業者が多い産業である農業は、現在の世界人口の40%に生計手段を提供しています。また、農村部の貧困世帯にとっては、農業が最大の所得源かつ雇用源となっています。
  • ほとんどが天水農業を営む全世界5億軒の小規模農家は、開発途上地域の大部分で消費される食料の80%程度を提供しています。小規模農家への投資は、最貧層の食料安全保障と栄養状態を改善し、国内・世界市場向けの食料生産を増大させる重要な手段です。
  • 1900年代以来、農地からは作物多様性の約75%が失われています。農業多様性をよりよく活用すれば、さらに栄養豊富な食生活、農村の生計改善、営農組織のレジリエンスと持続可能性向上に貢献できます。
  • 女性の農民が男性と平等に資源にアクセスできれば、全世界で飢餓に苦しむ人々を1億5,000万人も減らせる可能性があります。
  • 全世界で40億人が電力を利用できていませんが、そのほとんどは開発途上地域の農村部で暮らしています。多くの地域ではエネルギーの貧困が、貧困を削減し、世界が将来の需要を満たせるだけの食料を生産できるようにするうえで、根本的な障壁となっています。

 

目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

小児保健

  • 1990年以来、1日当たりの子どもの死者は17,000人減少してはいるものの、毎年500万人を超える子どもが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としています。
  • 2000年以来、はしかの予防接種でほぼ1,560万人の命が救われました。
  • 世界的な進歩にもかかわらず、サハラ以南アフリカと南アジアが子どもの死者数に占める割合は増大しています。5歳未満で死亡する子どもの5人に4人は、これら2地域で暮らしています。
  • 貧困な家庭で生まれた子どもが5歳未満で死亡する確率は、比較的裕福な家庭で生まれた子どもの約2倍に上ります。
  • 小学校しか卒業していない母親を含め、教育を受けた母親の子どもは、まったく教育を受けていない母親の子どもよりも生存する確率が高くなっています。

 妊産婦保健

  • 妊産婦の死者数は2000年以来、37%減少しています。
  • 東アジア、北アフリカ、南アジアでは、妊産婦の死者数がほぼ3分の2減少しました。
  • しかし、開発途上地域の妊産婦死亡率(出生数に対する妊産婦死者数の比率)は、依然として先進地域の14倍に上ります。
  • 産前ケアを受ける女性の数が増えています。開発途上地域では、産前ケア受診率が1990年の65%から2012年の83%へと上昇しました。
  • 開発途上地域では、推奨される医療を受けられる女性が全体の半分にすぎません。
  • ほとんどの開発途上地域では、十代の出産件数が減少しているものの、改善のペースは鈍ってきています。2000年代には、1990年代に見られたような避妊具使用の急速な拡大が見られていません。
  • より多くの女性が徐々に、家族計画の必要性を満たせるようになってきましたが、その需要は急激に拡大しています。

HIV/エイズ、マラリアその他の疾病

  • 2017年の時点で、全世界のHIV感染者は3,690万人に上ります。
  • 2017年の時点で、2,170万人が抗レトロウイルス療法を受けています。
  • 2017年には、新たに180万人がHIVに感染しました。
  • 2017年には、エイズ関連の疾病で94万人が死亡しています。
  • エイズの蔓延が始まって以来、7,730万人がHIVに感染しています。
  • エイズの蔓延が始まって以来、エイズ関連の疾病で3,540万人が死亡しています。
  • 結核は依然として、HIV感染者の最も大きな死因となっており、エイズ関連の死者の約3人の1人を占めています。
  • 全世界で、思春期の女児と若い女性はジェンダーに基づく差別や排除、差別、暴力に直面しているため、HIV感染のリスクが高まっています。
  • HIVは全世界の再生産年齢の女性にとって、主な死因となっています。
  • エイズはアフリカで、思春期の子ども(10~19歳)の主な死因となっているほか、全世界で見ても、思春期の子どもの2番目に大きな死因となっています。
  • 2000年から2015年にかけて、サハラ以南アフリカの5歳未満児をはじめとする620万人以上が、マラリアによる死を免れました。全世界のマラリア罹患率は37%、死亡率は58%、それぞれ低下したと見られています。

 

目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

  • 開発途上国の初等教育就学率は91%に達しましたが、まだ5,700万人の子どもが学校に通えていません。
  • 学校に通えていない子どもの半数以上は、サハラ以南アフリカで暮らしています。
  • 小学校就学年齢で学校に通っていない子どものおよそ50%は、紛争地域に住んでいるものと見られます。
  • 全世界で6億1,700万人の若者が、基本的な算術と読み書きの能力を欠いています。

 

目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

  • 全世界で、7億5,000万人の女性と女児が18歳未満で結婚し、30カ国で少なくとも2億人の女性と女児がFGMを受けています。
  • 18カ国では、妻が働くことを夫が合法的に禁止できます。39カ国では、娘と息子の相続権が平等ではありません。女性を家庭内暴力から守る法律がない国も49カ国あります。
  • 15歳から49歳の女性と女児の19%を含め、女性と女児の5人に1人は、最近の12カ月以内に親密なパートナーから身体的および/または性的暴力を受けています。それでも49カ国には、女性をこのような暴力から具体的に保護する法律がありません。
  • 全世界で女性の政界進出がかなり進んでいるものの、女性国会議員の割合は7%と、男女同数にはまだ程遠い状況にあります。
  • 性的関係、避妊手段の使用や保健に関して、自分自身で決定を下せる既婚または事実婚状態の女性は、全体の52%にすぎません。
  • 世界的に見て、女性の農地所有者は全体のわずか13%に止まっています。
  • 100カ国以上が、ジェンダー平等への予算配分を追跡する行動を起こしています。
  • 北アフリカの女性が、非農業部門の有給雇用に占める割合は5人に1人にも達していません。農業部門以外の有給雇用で働く女性の割合は、1990年の35%から2015年の41%へと上昇しています。
  • 46カ国では現在、女性がいずれかの議院で議員数全体の30%超を占めています。
  • 南アジアでは2000年以来、女児の児童婚率が40%以上低下しています。
  • FGMの慣行が残る30カ国で、FGMを受けた15歳から19歳の女児の比率は、2000年の2人に1人から2017年の3人に1人へと低下しています。

 

目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する

  • 世界人口の10人に3人は、安全に管理された飲料水サービスを利用できず、10人の6人は、安全に管理された衛生施設を利用できません。
  • 8億9,200万人以上が、今でも屋外排泄を続けています。
  • 敷地内で水が得られない世帯の80%では、女性と女児が水汲みの責任を担っています。
  • 1990年から2015年にかけ、世界人口のうち改良飲料水源を利用できる人々の割合は、76%から90%に上昇しました。
  • 世界人口の40%以上は水不足の影響を受け、しかもこの割合は今後、さらに上昇すると予測されています。現時点で17億人以上が、水の利用量が涵養分を上回る河川流域に暮らしています。
  • 40億人が、トイレや公衆便所など、基本的な衛生サービスを利用できていません。
  • 人間の活動に起因する排水の80%以上は、まったく汚染除去を受けないまま河川や海に投棄されています。
  • 毎日、1,000人近い子どもが予防可能な水と衛生関連の下痢症で命を落としています。
  • 河川や湖沼、帯水層から取り込まれる水の約70%は、灌漑に用いられています。
  • 洪水その他の水関連災害は、自然災害による死者全体の70%を占めています。

 

目標7:手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

  • 世界人口の13%は、依然として現代的電力を利用できません。
  • 30億人が薪、石炭、木炭、または動物の排せつ物を調理や暖房に用いています。
  • エネルギーは気候変動を助長する最大の要素であり、全世界の温室効果ガス排出量の約60%を占めています。
  • 世帯エネルギーとしての可燃燃料使用による屋内空気汚染により、2012年には430万人が命を失っていますが、女性と女児はその10人に6人を占めています。
  • 2015年、最終エネルギー消費に再生可能エネルギーが占める割合は5%に達しました。

 

目標8:すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する

  • 全世界の失業率は2017年に5.6%と、2000年の6.4%から低下しています。
  • 2016年の時点で、全世界の労働者の61%がインフォーマル・セクターで雇用されています。農業部門を除けば、労働者の51%がこの雇用類型に当てはまります。
  • データが入手できる45カ国中40カ国で、男性の賃金は女性を12.5%上回っています。
  • 全世界的な男女の賃金格差は23%であり、決定的な対策を取らなければ、賃金平等の達成にはさらに68年を要する計算になります。男性の就労率94%に対し、女性の就労率は63%に止まっています。
  • 女性の社会進出は進んでいるものの、女性による無償の育児・家事労働は依然として男性の2.6倍に当たります。
  • 2016年から2030年にかけ、全世界で新たに労働市場に参入する4億7,000万人に雇用を提供する必要があります。

 

目標9:レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る

  • 多くの開発途上国では依然として、道路や情報通信技術、衛生施設、電力、水道といった基礎インフラが整備されていません。
  • 世界人口の16%は、携帯ブロードバンド・ネットワークにアクセスできません。
  • 低所得国をはじめ、多くのアフリカ諸国では、インフラの未整備により、企業の生産性が約40%損なわれています。
  • 全世界の製造業の付加価値がGDPに占める割合は、アジアの製造業の急速な成長に伴い、2005年の15.2%から2017年の16.3%へと増えています。
  • 産業化による雇用乗数効果は、社会に好影響を与えます。製造業で雇用が1件増えれば、他の部門で2.2件の雇用が生まれるからです。
  • 生産加工と製造に携わる中小・中堅企業は、産業化の初期段階で最も欠かせない存在であり、最も多くの雇用を生み出すのが普通です。こうした企業は、数にして全世界の企業の90%以上を占め、雇用の50~60%を創出しているからです。
  • 後発開発途上国には、食料・飲料(農産業)と繊維・衣料産業の分野で巨大な潜在能力があり、持続的な雇用創出と生産性向上を達成できる見込みも十分にあります。
  • 中所得国は、基礎・組立金属産業への参入で利益を得られます。幅広い製品で、国際的な需要が急成長しているからです。
  • 開発途上国の国内で加工される農産物は、わずか30%にすぎません。高所得国では98%が加工されます。このことは、開発途上国に大きなアグリビジネスの機会があることを示しています。

 

目標10:国内および国家間の不平等を是正する

  • 2016年の時点で、後発開発途上国から世界市場への輸出品のうち、64.4%に対する関税がゼロとなっていますが、この割合は2010年以来、20%増大しています。
  • 20%の最貧層世帯の子どもは依然として、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高くなっています。
  • 社会保障は全世界で大幅に拡大しているものの、障害を持つ人々が極めて高額な医療費を支払わねばならない可能性は、平均の5倍にも上っています。
  • 開発途上国の大部分で、妊産婦の死亡率は全体として低下しているものの、農村部の女性は依然として、都市部の女性に比べ、出産中に死亡する確率が3倍も高くなっています。
  • 所得の不平等の中には、男女間を含む世帯内の不平等に起因するものが30%に及びます。女性は男性に比し、平均所得の50%未満で暮らす可能性も高くなっています。

 

目標11:都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

  • 現在、世界人口の半数に当たる35億人が都市で暮らしていますが、2030年までに都市住民は50億人に達するものと予測されます。
  • 今後数十年間の都市膨張の95%は、開発途上地域で起きると見られます。
  • 現在、スラム住民は8億8,300万人に上りますが、そのほとんどは東アジアと東南アジアで暮らしています。
  • 面積にして地球の陸地部分のわずか3%にすぎない都市は、エネルギー消費の60~80%、炭素排出量の75%を占めています。
  • 急速な都市化は、真水供給や下水、生活環境、公衆衛生に圧力を加えています。
  • 2016年の時点で、都市住民の90%は安全でない空気を吸っており、大気汚染による死者は420万人に上っています。全世界の都市人口の過半数は、安全基準の2.5倍以上に相当する水準の大気汚染にさらされています。

 

目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する

  • 2050年までに世界人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を持続させるためには、地球が3つ必要になりかねません。
  • インフラと建設部門で非金属鉱物の利用が増える中で、物質面の生活水準には大幅な改善が見られています。開発途上国の1人当たり「マテリアル・フットプリント」は、2000年の5メートルトンから2017年の9メートルトンへと増大しました。
  • 世界最大の250社のうち93%は現在、サステナビリティー報告書を作成しています。

  • 全世界の水資源のうち(飲用に適した)淡水は3%に満たず、しかも2.5%は南極や北極、氷河で凍り付いています。よって人類は、全体のわずか0.5%の淡水で人間生態系の淡水ニーズを満たさねばなりません。
  • 人間は、自然が河川や湖沼で再生、浄化できる以上の速さで、水を汚染しています。
  • 淡水にアクセスできない人々は、依然として10億人を超えています。
  • 水の使い過ぎは、世界的な水ストレスを助長します。
  • 水は自然から無償で手に入るものの、給水のためのインフラには大きなコストがかかります。

エネルギー

  • 全世界の人々が電球を省エネ型に変えたとすれば、全世界で年間1,200億米ドルが節約できます。
  • 技術の進歩による省エネの促進にもかかわらず、経済協力開発機構(OECD)諸国のエネルギー使用は、2020年までにさらに35%の増大を続けると見られます。世界的に見て、エネルギーの使用が最も急速に拡大しているのは輸送部門ですが、商業用・住宅用のエネルギー使用がこれに次いでいます。
  • 2002年の時点で、OECD諸国の車両保有台数は5億5,000万台に達しています(うちマイカーは75%を占める)。2020年までに、車の所有台数は32%増大すると見られます。また、自動車の走行キロ数も40%増大すると見られているほか、世界全体の空路輸送距離も同時期に3倍に増える見込みです。
  • 家計は地球全体のエネルギーの29%を消費することにより、二酸化炭素(CO2)排出量の21%を占めています。
  • 2015年、最終エネルギー消費に占める持続可能エネルギーの割合は、17.5%に達しました。

食料

  • 食料による環境への大きな影響は、生産段階(農業、食品加工)で生じていますが、家計は食べ物の選択や食習慣を通じて、こうした影響を左右します。その結果として、食料関連のエネルギー消費と廃棄物の発生による環境への影響も生じています。
  • 毎年、生産される食料全体の3分の1に相当する13億トン、価値にしておよそ1兆ドルの食料が、消費者や小売業者のゴミ箱で腐ったり、劣悪な輸送・収穫実践によって傷んだりしています。
  • 全世界で20億人が体重超過または肥満となっています。
  • 土地の劣化、土壌肥沃度の低下、持続不可能な水利用、漁業資源の乱獲と海洋環境の破壊はいずれも、天然資源基盤の食料供給能力を低下させています。
  • 食料部門は、全世界のエネルギー消費の約30%と、温室効果ガス排出量全体の約22%を占めています。

 

目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

  • 2018年4月現在、175カ国がパリ協定を批准し、168カ国は国連気候変動枠組条約事務局に初回の自国が決定する貢献を伝えています。
  • 2018年4月現在、開発途上10カ国は、気候変動対策のための第1次国内適応計画 を完成、提出しています。
  • 先進締約国は引き続き、緩和対策のために2020年までに年間1,000億ドルを共同で動員するという目標の達成に向けて前進しています。

気候変動に関する政府間パネルの活動により、以下が明らかになっています。

  • 1880年から2012年にかけ、地球の平均気温は摂氏0.85度上昇しました。大局的に見ると、平均気温が1度上昇するごとに、穀物の収量は約5%ずつ低下します。1981年から2002年にかけ、トウモロコシや小麦その他の主要作物の収量は全世界で毎年4,000万トンと、大幅な減少を示しています。
  • 海水温が上昇し、雪氷の量が減少した結果、海面が上昇しています。1901から2010年にかけて、温暖化で海洋が広がり、氷が融けることで、世界の平均海水面は19センチメートル上昇しました。北極の海氷面積は1979年以来、どの10年間を取っても縮小を続けており、各10年間の縮小幅の平均は107万平方キロメートルに及んでいます。
  • 現状における温室効果ガスの濃度と排出の継続を勘案した場合、1850年から1900年の期間を基準とする地球の平均気温上昇は、一つを除くすべてのシナリオで、今世紀末までに摂氏1.5度を上回ると見られています。世界中で海洋の海水温の上昇と氷の融解が続きます。平均海面上昇は2065年までに24~30センチメートル、2100年までに40~63センチメートルに達すると予測されます。排出量の増大が止まったとしても、気候変動のほとんどの影響は、数世紀にわたり持続することになります。
  • 全世界の二酸化炭素(CO2)排出量は1990年以来、50%近く増大しています。
  • 2000年から2010年にかけての排出量は、直前の30年のどの10年間よりも大幅に増えています。
  • 幅広い技術的措置を講じ、行動を変えれば、地球の平均気温上昇を産業革命以前との比較で摂氏2度に抑えることはまだ可能です。
  • 大幅な制度的、技術的変革が起きれば、地球温暖化がこの水準を超えない可能性は50%以上に高まります。

 

目標14:海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

  • 海洋は地球の表面積の4分の3を占め、地球の水の97%を蓄え、体積で地球上の生息空間の99%を占めています。
  • 海洋と沿岸部の生物多様性に依存して生計を立てている人々は、30億人を超えています。
  • 世界全体で、海洋と沿岸の資源と産業の市場価値は年間3兆ドルと、全世界のGDPの約5%に相当すると見られています。
  • 海洋には、確認できているだけでおよそ20万の生物種が生息していますが、実際の数は数百万に上る可能性があります。
  • 海洋は、人間が作り出した二酸化炭素の約30%を吸収し、地球温暖化の影響を和らげています。
  • 海洋は世界最大のたんぱく源となっており、海洋を主たるたんぱく源としている人々は30億人を超えています。
  • 海面漁業は直接的または間接的に、2億人以上を雇用しています。
  • 漁業への補助金は、多くの魚種の急速な枯渇を助長するとともに、世界の漁業と関連雇用を守り、回復させようとする取り組みを妨げており、それによって海面漁業の収益は年間500億米ドル目減りしています。
  • 外洋地点の観測によると、産業革命の開始から現在までに、酸性化の水準は26%上昇しています。
  • 沿岸水域は汚染と富栄養化によって劣化しています。協調的な取り組みを行わなければ、沿岸の富栄養化は2050年までに、大型海洋生態系全体の20%で進むものと見られています。

 

目標15:森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

森林

  • およそ16億人が、森林に依存して生計を立てています。その中には、約7,000万人の先住民が含まれます。
  • 森林には陸生種の動植物と昆虫の80%以上が生息しています。
  • 2010年から2015年にかけ、世界では330万ヘクタールの森林が失われました。農村部の貧しい女性は、共同利用資源に依存しているため、森林破壊による特に大きな影響を受けています。

砂漠化

  • 26億人が農業に直接依存していますが、農地の52%は土壌荒廃による中程度の、または深刻な影響を受けています。
  • 耕地の喪失は、かつてのペースの30倍から35倍の速さで進んでいるものと見られます。
  • 毎年、干ばつと砂漠化によって1,200万ヘクタール(1分間に23ヘクタール)の土地が失われています。これは1年間で2,000万トンの穀物が栽培できる面積に当たります。
  • 全世界で貧困層の74%が、土地劣化の直接的影響を受けています。

生物多様性

  • 野生生物の密猟と密売は、依然として保全に向けた取り組みを損なっており、報告されている7,000種近い動植物の不正取引には、120カ国が関与しています。
  • 確認されている8,300の動物種のうち、8%は絶滅し、22%が絶滅の危機にさらされています。
  • 8万を超える樹種のうち、潜在的な利用可能性が検討されているものは1%にも達していません。
  • 魚は約30億人に動物性タンパク質の20%を提供しています。わずか10の魚種で海洋捕獲漁業の漁獲高の約30%を占める一方、養殖漁業生産の約50%も10種で占められています。
  • 人間が摂取する食料の80%以上は植物に由来します。コメ、トウモロコシ、小麦の3つの穀物だけで、エネルギー摂取量の60%を占めています。
  • 開発途上国では、農村部の住民の80%にも上る人々が、基本医療を伝統的な植物ベースの薬に依存しています。
  • 微生物と無脊椎動物は、生態系サービスにおいて鍵を握る存在ですが、その貢献度はあまり知られておらず、認識されることもほとんどありません。

 

目標16:公正、平和かつ包摂的な社会を推進する

  • 腐敗が最も広がっている制度の中には、司法と警察が含まれています。
  • 贈収賄や横領、窃盗、脱税は、開発途上国に年間およそ1兆2,600億ドルの被害を及ぼしています。これは、1日1ドル25セント未満で暮らす人々を少なくとも6年間、1ドル25セント以上で生活させることができる金額に相当します。
  • 5歳未満児の73%は出生届の対象となっていますが、サハラ以南アフリカでは出生届率が46%に止まっています。
  • 紛争被災地域には、小学校就学年齢で学校に通えていない子どもがおよそ2,850万人います。
  • 法の支配と開発の間には、有意な相関関係と相互補強関係があるため、国内と国際の双方のレベルで法の支配を確保することが、持続可能な開発に不可欠となっています。
  • 有罪判決なしに拘禁されている受刑者の割合は最近の10年間、受刑者全体の31%を占め、ほぼ横ばいとなっています。

 

目標17:持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する

  • 2014年の政府開発援助(ODA)総額は1,352億ドルと、過去最高の水準を記録しました。
  • 先進国は、開発途上国からの輸入品の79%に関税をかけていません。
  • 開発途上国の債務負担は、輸出収入の3%程度で安定しています。
  • アフリカのインターネット利用者は、過去4年間でほぼ2倍に増えました。
  • 世界の若者の30%は、オンライン歴5年以上の「デジタル・ネイティブ」です。
  • しかし、40億人以上がインターネットを利用できておらず、しかもその90%は開発途上地域に暮らしています。

* *** *

原文(English)はこちらから、各目標の Facts and Figures をご覧ください。

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