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COP24:国連気候会議 - 何が重要で、何を知っておく必要がありますか?

2018年12月10日

深刻な浸食で多くの避難民を出したコミュニティー、シラジガンジ付近で、ボートから海岸を見つめる少年。シラジガンジ(バングラデシュ、2016年)© IOM/Amanda Nero

2018年11月29日-地球の気温が上昇を続ける中で、気候変動対策は遅れを取り、挽回のチャンスの扉は閉じつつあります。国連は12月2日、ポーランドのカトヴィツェで2週間にわたり開かれる気候変動会議、通称「COP24」で、この問題にいかに一致団結して緊急に取り組むべきかを話し合う、極めて重要な交渉を始めます。

世界の指導者、専門家、活動家、創造的な知識人、そして官民と地域社会の代表数千人が一堂に会し、3年前にパリで全世界の国々が行った重要な約束を果たすための団結した行動計画について話し合います。

UN Newsでは、皆さんがお持ちになっているかもしれないいくつかの最大の疑問に答え、会議の様子をつぶさにフォローできるようにするため、このCOP 24ガイドを作成しました。

 

1. 今さら聞けない:UNFCCC、UNEP、WMO、IPCC、COP 24、京都議定書、パリ協定… 一体どんな意味?

こうした略称や場所の名前はすべて、国連のリーダーシップの下、全世界の気候変動対策の前進を支援するために設けられた国際的なツールや用語を表しています。これらはいずれも、環境の持続可能性の達成に私たち全員の関心を集中させるうえで、異なる具体的な役割を果たします。関連づけて説明すると、次のようになります。

国連は1992年、リオデジャネイロで「国連環境開発会議(地球サミット)」と呼ばれる主要イベントを開催しました。ここで採択されたのが国連気候変動枠組条約(UNFCCC)です。

各国はこの条約で、人間の活動の気候システムに対する危険な介入を予防するため「大気中の温室効果ガス濃度を安定化させる」ことに合意しました。現時点で、この条約には197カ国が署名しています。1994年に条約が発効して以来、毎年、前進の道のりについて議論するための「締約国会議」(COP, conference of the parties)が開かれています。現在までに23回のCOPが開催されているため、今年は24回目の「COP 24」に当たります。

UNFCCCは各国に対し、拘束力を持たない温室効果ガス排出量の上限を設けるだけで、執行メカニズムを定めていないため、これらCOPでは、条約のさまざまな「補強・補完」に関する交渉が行われてきました、例えば、1997年の有名な京都議定書は、2012年までに先進国が達成すべき排出量の上限を定めました。また、2015年に採択されたパリ協定では、全世界の国々が、地球温暖化を産業革命以前との比較で1.5℃に抑えるための取り組みを強化し、気候変動対策の財源を充実させることで合意しました。

気候変動に関する国連の科学的活動は、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)という2つの機関が支援しています。両機関が1988年に共同で設立した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、数百人の専門家からなり、データの評価と、カトヴィツェで開かれる会議を含め、気候変動対策交渉への信頼できる科学的エビデンスの提供を専門とする取り組みを行っています。

 

2. 国連はこのテーマで何回も会議やサミットを行っているようですが… 何か成果は出ているのですか?

グローバルな解決を要する課題についてグローバルなコンセンサスを得るためには、こうした会合が欠かせません。前進のペースは、必要とされる水準にはるかに及んでいませんが、野心的であるがゆえに困難も多いこのプロセスは、状況が大きく異なる国々の意見を取りまとめる役割を果たしてきました。それぞれの段階で、前進が見られています。これまでの具体的な行動のいくつかで証明されたことが一つあります。それは、気候変動対策はプラスの影響を及ぼし、私たちが最悪の事態を防ぐことに実質的に役立っているということです。

今でのところ、下記のような例で成果が見られます。

少なくとも57カ国が、地球温暖化を食い止めるために必要な水準にまで、温室効果ガス排出量を削減できています。

– 少なくとも51件の「カーボンプライシング」への取り組みが実施されています。二酸化炭素排出1トンごとに、排出者から課徴金を徴収するという仕組みです。

– 2015年には、高所得18カ国が開発途上国における気候変動対策のために、年間1,000億米ドルの拠出を約束しました。これまでに700億ドルを超える資金が動員されています。

 

3. パリ協定がこれほど話題に上るのはなぜですか?

パリ協定は、気候変動に取り組む唯一の実行可能な選択肢を世界に提示するものであり、184の締約国による批准を受け、2016年11月に発効しました。

パリ協定には、重大な約束が盛り込まれています。

– 地球の平均気温上昇を2°Cよりもはるかに低く抑えるとともに、これをさらに1.5°Cに抑えるための取り組みを追求する

– ドナー国から低所得国への年間1,000億ドルの供与を含め、気候変動対策の財源を増強する

– 2020年までに、自国が定めた目標とターゲットを盛り込んだ国別気候計画を策定する

– 森林を含め、温室効果ガスを吸収する有益な生態系を保護する

– 気候変動に対するレジリエンスを高め、脆弱性を低下させる

– 2018年に、協定を履行するための作業プログラムを完成させる

2016年に協定に加入した米国は2017年7月、離脱の意図を表明しました。しかし、同国は少なくとも、合法的に脱退を要請できる2020年11月まで、パリ協定の締約国に留まります。

 

4. 1.5°Cの気温上昇が限界ラインなのはなぜですか?

IPCCが評価を行った科学研究によると、地球温暖化を産業革命以前との比較で平均1.5°C以内に抑えれば、地球と人間に対して永久に壊滅的被害が生じることを避けられる可能性があります。具体的な被害としては、北極と南極に住む動物にとって取り返しのつかない生息地喪失、致死的な酷暑の頻発、3億人以上に影響しかねない水不足、コミュニティーや海洋生物全体にとって欠かせないサンゴ礁の消滅小島嶼国の将来と経済に脅威を与えている海水面の上昇などが挙げられます。

国連は全体として、気温上昇を2°Cではなく、1.5°Cに食い止められれば、気候変動の影響を受ける人々が4億2,000万人減ると見ています。

私たちは依然として、カーボンニュートラルな未来へと向かう曲がり角から程遠い位置にあり、前進の必要性はこれまで以上に大きくなっています。データを見れば、気温の上昇を1.5°Cに抑えることはまだ可能であることがわかりますが、挽回のチャンスの扉は閉じかかっており、今後は社会のあらゆる側面で、未曽有の変革が必要になるでしょう。

 

5. では、COP 24はなぜ重要なのですか?

ポーランドのカトヴィツェで開催される今年のCOPが特に重要なのは、協定の署名国が、パリでの約束を履行するための作業プログラムの採択期限を2018年と定めているからです。そのために最も重要となる要素とは、すべての国家間の信頼です。

解決が必要な要素は多くありますが、その一つとして、全世界での気候変動対策の資金調達が挙げられます。気候変動への対策は待ったなしの状態となっているため、世界にこれ以上の時間を無駄にする余裕はありません。私たちは一致団結し、大胆で決定的な、かつ野心的で責任ある前進の道に合意せねばならないのです。

 

6. COP 24での交渉では、どのようなエビデンスが用いられるのですか?

議論は、長年にわたり収集され、専門家による評価を受けた科学的エビデンスに基づき行われます。具体的には、主として下記の報告書が挙げられます。

– 10月のIPCCによる「緊急警告」1.5°Cの地球温暖化に関する報告書IPCCプレスリリース日本語訳

– UNEPによる排出ギャップ報告書2018

– WMOによる温室効果ガス濃度速報2018

– WMOとUNEPによるオゾン層破壊評価2018

 

7. COP 24での議論はどのようにフォローできるのですか?

会議の情報をつぶさに知るための方法は数多くあります。

「気候変動」メールマガジン・トピックに登録すれば、ポーランドから毎日、UN Newsのハイライトを受け取ることができます。

このページを定期的にクリックしてください。カトヴィツェから送信されたトップ・ストーリーがすべて掲載されています。

– Twitterでハッシュタグ#ClimateActionをフォローしてください。

 

8. どうすれば議論に参加し、気候変動対策で自分の役割を果たすことができますか?

Climate Action ActNow.botでは、地球を救うための日常的活動を推奨するとともに、実施された活動の数を集計し、集団行動によって及ぼせるインパクトを測定します。ぜひ参加してください。

ソーシャルメディアで皆さんの気候変動への取り組みを共有すれば、さらに多くの人々に行動を促すことで貢献できます。

また、UNFCCC事務局が立ち上げたPeople’s Seatイニシアティブでは、COP 24での対話に直接、貢献することもできます。ぜひハッシュタグ#TakeYourSeatを使い、声を上げてください。

 

9. 気候変動対策として国連が支援している取り組みには、どのようなものがありますか?

国連はその活動全体を通じ、環境の持続可能性を主流に据えているため、UN Newsでは、UNEPや国連開発計画(UNDP)が支援するプロジェクトのうち、気候変動対策への道筋を示す例をいくつか取り上げています。東欧の農村部では、農民と起業家が沼地を一つずつ再生し、排出量削減に貢献しています。チャド湖地域では、干ばつに強い樹木数万本が植えられています。グアテマラでは、小規模農家によるココア生産の再開が、経済と環境双方の問題への取り組みに役立っています。ブータンでは、伝統的知識の力を借りて、生計と自然保護への支援が行われています。東ティモールでは、新世代のグリーン・インフラを整備中です。コンゴ民主共和国では、小さな行動の変化で大きなインパクトが得られています。

 

10. 国連が2019年に気候変動サミットを予定しているのはなぜですか?

COP 24の成果をさらに一歩進め、できるだけ高いレベルで、気候変動に向けた対策と野心を強化するため、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2019年9月、気候変動サミットを招集します。各国による国別気候計画の完成期限を2020年に控え、サミットでは、排出量を抑え、レジリエンスを構築するための実際的な取り組みに焦点を当てる予定です。

気候サミットでは、6つの分野での行動推進に注力します。それらは、再生可能エネルギーへの移行、気候変動対策とカーボンプライシングの資金調達、産業による排出量の削減、解決策としての自然の活用、持続可能な都市とローカルな行動、そして気候変動に対するレジリエンスです。

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原文(English)はこちらをご覧ください。