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「国際女性の日」2012 ~東日本大震災から一年、女性たちは今~ 【第1回】

2012年03月08日

3月8日は国連が定めた「国際女性の日」です。社会全体の取り組みによって、女性たちが平等、安全、開発、組織への参加に関してどこまで可能性を広げてきたかを確認し、今後のさらなる前進に向けて考える日です。世界各地では、毎年この日に女性の地位向上や男女共同参画を推進するイベントが開催されています。

今年3月に東日本大震災の発生から1年を迎えることから、国連広報センター(UNIC)は、東北の被災地の女性や支援に携わる人々からお話を伺いました。この一年、被災した女性たちはどのような環境で、どのような課題に向き合ってきたのか、そして支援する側は何を考え、どう取り組まなければならないのか―。2012年の「国際女性の日」を迎えるにあたり、5つのストーリーを今日から5日間にわたってお届けします。

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【第1回】もっとジェンダーの視点に立った支援を

シリーズ第1回目は、ジェンダーの視点に立った支援のあり方について考えます。東日本大震災後の支援において、実際どのようにジェンダー・多様性配慮が組み込まれたのでしょうか。人道支援におけるジェンダー多様性の視点の重要性を訴えている「東日本大震災女性支援ネットワーク」の運営委員を務める田中雅子さん(文京学院大学准教授)にお話を伺いました。

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震災支援を振り返ってみると、女性被災者に対しては、もっとジェンダーに配慮した支援がなされるべきだったと感じます。「東日本大震災女性支援ネットワーク」は、国の復興計画や各地の防災計画に男女共同参画や多様性の視点を入れることを提案しています。それは特別なことではなく、海外にはすでに先進事例があります。

例えば、自然災害が多発するバングラデシュでは、各国からの支援と地元の女性団体などの努力によって、ジェンダー主流化が当たり前となり、災害対策でもその成果が現れています。イスラム社会特有の男女間の役割分担はあるものの、「助かる命を一つでも多く救うためには、女性の参画が必要だ」と男性たちも理解し、女性の災害ボランティア活動への参加に男性が異論を唱えることは今ではほとんどありません。ジェンダーの視点を入れたマニュアルづくりも行われています。この点、日本は遅れていると言わざるを得ません。今回の震災支援の現場で、「日本では、女性への配慮は特に必要ない」という意見も聞きましたが、必ずしもそうは言えないと思います。

東北の被災地では、がれき処理が有償の仕事で進められていますが、雇用されているのは男性が中心です。一方、避難所での炊事当番の多くは、女性の無償労働によって担われ、有償で行われることは非常に少なかったと聞いています。炊き出しが家族の食事の支度の延長上の仕事だと思われたり、日ごろの地域活動の中で炊事を担ってきた女性たち自身がお金を受け取るのを躊躇することもあったようです。しかし、女性たちが自分自身の生活再建を後回しにしながら、避難所で地域の人たちの世話も無償で続けることには限界がありました。

政府や自治体の計画にジェンダーや多様性の視点を反映させるためには、女性団体を含む地域組織やNPO/NGOが関わっていくことが必要です。異なる立場の当事者を代弁できる人たちが共に計画策定から実施段階で協働すること、またその調整機能が不可欠です。そうした支援のあり方は国際協力の場ではよく見られるのですが、日本の支援現場ではまだまだ少ないのではないでしょうか。今回の災害で得た教訓を海外にも発信し、学び合うことが求められています。

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第2回「福島の警戒地域から避難、自分の力を信じて歩み続ける

第3回「被災した外国人女性、新しい職を得て、自らの生き方と周囲を輝かす

第4回「真の豊かさを求めて、仕事づくりで地域の活性化を図る

第5回「雇用対策を初めから復興支援に組み入れる

3月8日は「国際女性の日」。女性のさらなる前進に向けて考えるこの日、世界各地で毎年、様々なイベントが催されている。写真は「国際婦人年」の1975年、メキシコで開かれた世界会議の開会式 © UN Photo/B Lane
三陸沖を震源に発生したマグニチュード(M)9.0の大地震と津波は、東北地方を中心に広範囲にわたって甚大な被害をもたらした ©JRCS
バングラディシュ北東部の町にある地域クリニックを訪れ、地元の10代女性たちと言葉を交わすパン・ギムン事務総長(2011年11月)©UN Photo/Mark Garten
地域住民と仮設住民が協力し、クリスマス・イベント用のお餅料理を準備した(宮城県登米市の南方仮設住宅で、2011年12月25日)©ワーカースコープ
全国から集まった支援物資を配るリヤカーの巡回は、仮設住民の見守りの役割も兼ねている(陸前高田の仮設住宅で、2011年12月17日)©ワーカースコープ